ラストマイルの犯人が、何故あの結末を選んだか。
注:この記事には映画の結末を含むネタバレがあります。
ラストマイル、筧まりかはなぜ死を選んだのか。
ラストマイル初見では彼女の意図は何となく理解できても、どうしてもここが腑に落ちませんでした。
でも何回か観るうち、彼女は
「自分が恋人を苦しめていたのだとしたら、その罪を自分の死をもって贖うつもりだったんじゃないか」
ということに気づいて、ゾッとしました。
筧まりかがアメリカにいるエレナを訪ねた時、彼女は
「もしも私のせいなら、私が罪を贖う」
と言います。それに対してエレナは
「どうやって?(そんなの無理じゃない?)」
と答えるんです。
この時ふと、もしかしたら彼女は罪を贖うには『彼を苦しめていた自分が死ぬ』しかないことに気づいてしまったのではないかと思いました。
だからこそ、願いも込めてあの行動に出た。
もしも本当に彼女のせいで山崎佑が飛び降りたのであって、DAILY FASTは全く悪くなかった(=クリーンでホワイトな企業だった)なら。
最初の筧まりかが犠牲となった爆発の時点で、これ以上被害を出さないために物流をストップさせるはずです。そうすれば他の被害者は出ないはずで、この場合、罪を贖ったのは社会ではなく、恋人を苦しめた筧まりか本人だけ、ということになります。
でも、DAILY FASTは結果としてそうではなかった。
筧まりかが薄々気づいていた通り、人命より業績を重視する企業だったために、初回の爆発の後もラインは止まらなかった。そして、あれだけ多くの人が巻き込まれることになり、結果として、社会全体に罪を贖わせることになりました。
また、どなたかも言っていましたが「贖う」には罪をつぐなう以外に「買い求める」という意味もあるそうで。
罪をつぐなうため、戸籍、アパート、爆弾、広告、そして爆弾を仕込んだ商品と(おそらく自分の全財産を注ぎ込んで)たくさんのものを買い求めた。
もし本当に脚本でここまで考えられてるとしたら正直怖いです。
もちろんこれは私の想像で、筧まりか本人から答えを聞くことはもうできませんが……。
いずれにしてもいろんなことを考えさせられる作品でした。