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みらい文庫大賞に惨敗したので反省会


完敗!

みらい文庫大賞の結果が出ましたね。
私の結果は、この記事のタイトル通りです。
2作とも落ちました。
見事な完敗です。
しかし、ここで「あーダメだったかー残念」と落ち込むだけで終われません。この敗北を意味のあるものにできるかどうかは、PDCAのAにかかっています。改善できなきゃサークルは坂を登れない。
というわけで、二作品それぞれの「何がダメ?」を分析していきましょう。そして「こうすればいいのでは?」という改稿案をまとめます。

一作目

一作目は、お花を使って病原菌を模した化物を浄化する話でした。キミノベル大賞で落ちたものを改稿したものになります。つまり、まだまだ改稿の余地があるということ。
この作品のよくないところは「主人公の存在が、問題解決に直結していない」ことです。
お花に詳しい主人公が、特定の花の育成方法を思い浮かべる必要があるんですが。いかんせん、化物と戦ってるヒーロー役の方が貢献している感が否めない。もっと「主人公じゃなきゃ、この問題は解決できない」感を出さないと。
そしてもうひとつが、主人公の成長の過程が弱いこと。
病弱で誰かに頼りっぱなし、自己肯定感の低い主人公が自分を認められるようになる。
この流れが弱いんです。

で、この2つの問題を同時に解決する方法。
「主人公の病気が、化物退治に必須である」という設定を加えることです。
こうすれば「主人公でなければ問題を解決できない」説得力が増します。さらに「病気のせいで誰かに迷惑をかけてしまい、自己肯定感を失っていた主人公」が「病気のおかげで化物を退治できるように」なります。主人公の成長過程を、客観的な形で示すことが可能です。

この設定を加えて改稿し、3月〆の小学館ジュニアに出します。これで落ちたらもう、題材自体がダメだってことでしょう。3回落ちたら流石に必然ですから。そうなったらエブリスタ様で公開ですかね。最初に応募したのがキミノベルだったので。

二作目

二作目は、タロットカードから出てきた精霊と一緒に、捻じ曲げられた未来を修復する……という話でした。
で、この作品の問題点ですが、実は見当がついています。
ルールが分かりにくい
これにつきますよ、ええ。
怪物が出てきます→封印するタロットを選びます→タロットの意味から、消された未来を予測します→本来起こるはずだった出来事を発生させるために奮闘します
この流れのどこが分かりにくいか。
「タロットの意味」ここです。
タロット占いの醍醐味は、「タロットの解釈が占い師に委ねられる」ことです。
しかし、これは小説、まして児童文庫。
曖昧な解釈を提示されても、「で、結局何をすればいいの?」になっちゃう。
「デビルのカードは、堕落だったり、停滞っていう意味があってー。でも逆位置だと解放だったり、脱却って意味もあってー」
こんなん言われても「で?っていう」じゃないですか。結局何が問題なの?って話じゃないですか。

この改善案はひとつ。
「タロットの意味を作中で決め打つ」ことです。
本来のタロットカードは複数の意味を含有していますが、作中ではあえてひとつに絞らせます。
ちょうど、現状のままだとクソの役にも立っていない精霊がいるじゃないですか。
精霊の見た目は単なるカードの擬人化だったんですけど、それをやめる。
例えば、デビルのカードを「解放」という意味で使いたいなら、鎖で雁字搦めになってる精霊を出す。タロットに詳しい設定の主人公に「今回は「解放」がキーワードね!」とか言わせる。で、問題解決と同時に鎖を外す。

こうすれば「占い対象を何かから「解放」すればいい」ということが伝わりやすくなります。これなら読み手にも「何が問題なのか」が伝わりやすくなるでしょう。
バケモノ倒す→タロットの意味を3つくらい列挙→精霊の見た目から単語の意味を決め打ち→占い対象に単語を当てはめ、問題を明示→問題解決に奔走
これでだいぶ分かりやすくなった。各ステップで「今は何を考えないといけないのか?」が明確になりました。

あとは「非日常」を起こすのが遅すぎた。
第一章の時点でタロットババアを出します。とりあえず不思議なことを起こしておいて、主人公の環境説明は後に回しましょう。

この2点を改稿した後、夏の児童文庫戦線の弾丸にします。小学館ジュニアは、昨年の大賞がルノルマンカードを題材にしているので厳しいでしょう。

今後の作品で気をつけること

洗い出した課題点をもとに、次の作品で気をつけるべき事項を列挙しましょう。
短編の賞では何度か賞をいただいたり、優秀作に選んでいただいているので、日本語がおかしいとか文法が破綻しているとか、そういう問題ではないと思うんですよ。
長編向けの構成力とかキャラとか、そのあたりでしょう。

今から書き始める作品は
「ルールをシンプルにする」
「非日常は遅くとも3ページ以内で起こす」
「主人公の能力や存在が、問題の解決に必須となるようにルールを定める」
「主人公の成長の過程を、物語の進行とリンクさせる」
以上の4点を意識していきましょう。

冷静に結果を受け止めているように見えますが、めちゃくちゃ落ち込んでます。
そりゃあそうですよ。みんな、渾身の作品を送っているんですから。

でも、こうして問題点を整理していたら「早く書きてえ!」に変わってきています。
これはきっとゲーム制作脳から来てるんでしょう。
ゲーム制作でも、思い通りに動かないプログラムに対して、一個一個の問題点を検証していく作業が、地味ですが楽しい。思い通りに動いた時の達成感はひとしお。
私は多分、問題点が明確になっている時が一番燃えるんでしょうね。よく分からんふわふわした敵よりも、目の前の悪党。「こいつ 絶対 ぶっ殺す」状態が一番ハイになるって、根っからのゲーム脳だなぁ。
それから、ゲーム制作の場合って、PDCAを回すのが数年単位なんですよ。その結果大爆死だった時の落ち込み具合を想像してください。ええ、経験者です。年単位で作った作品をボロクソ叩かれた経験の持ち主だぞ!!!それに比べりゃ、数ヶ月でサイクルを回せる小説はなんて良心的なんだ!!!!

それで、だ。
現状の問題点が見えたところで、執筆計画の変更が必要になった。
プロットのできているものが、盗賊ものと裁判ものの2つありました。で、先にプロットのできていた盗賊ものから書こうと思ったんです。
でも、この盗賊もの、「事件の解決に主人公が必須」という点をクリアしていないことが分かった。
これは設定の練り直しが必要です。
なので、先に裁判ものを書きます。
これは「主人公が問題解決に必須」「主人公の成長が物語の進行とリンクしている」「ルールをシンプルにする」という点をクリアしています。
唯一の懸念は非日常を起こすタイミング。
裁判ものである以上、どうしても聞き込みや推理パートが必要なので。まあここは、冒頭に裁判シーンを持ってきて解決します。あとは、簡単な事件を一個起こしてしまうとか。そうだな、それでいこう。

ここまで読んでいただいた方は、お前の小説、問題点だらけじゃねえか! と思うかもしれません。でもこれは恵まれた状況です。
ゲーム制作者の方ならお分かりいただけると思うのですが、一番嫌なバグって「原因が分からないバグ」なんですよ。
「なぜだ! 完璧なコードを書いたはずなのに、これで動かないなんておかしい!」と泥沼化している状況が一番まずい。
その点、「ここがおかしい」というのがはっきりしているのは楽です。そこを直せばいいんだから。

さて最後に、ゲーム制作者らしく気合を入れましょう。
今はまだ、レベル上げの最中。
経験値をためれば、必ずレベルは上がる。
さあ、次の敵を倒しに行くぞ!

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