2:タバコと薬
私の1日はタバコに火をつけることから始まる。
寝ぼけ眼にボサボサの髪をかきあげながら、ベッドの横のソファーに深く腰掛けて1日中締め切っているカーテンの隙間を眺めるのだ。
部屋はいつもタバコの匂いとムスクのお香で満たされている。
1日の始まりといっても何もする事もなければ、もうお昼すぎだ。
私は朝から行動するのが苦手だ。
別に今日だってする事なんて何も無い。
仕事だってしていないし、やりたい事も誰かに会うことも昼間は何もかも億劫だ。
3本目のタバコを吸い終わるとやっと目が覚めてきた。
薬を飲まなければならない。
パキシル、デパス、メイラックス、マイスリー、サインバルタ、エチゾラム、エビリファイ、ソラナックス、ガスモチン、デパケン、プリンペラン、ハルシオン、ルボックス
薬箱の中には飲まなくなった物も、飲まなければやって行けないものも一緒くただ。
処方された薬は1回で10錠以上ある。
分包されているから、自分が今何を飲んでいるのかよく把握していないが、これが私の朝ごはんだ。
もう薬物中毒のようになっているのも知っているけれど、そんなことどうでもいい。
もう一度布団に横になる。
天井は黄ばんで、床にはゴミと薬とタバコの吸殻が散らばっている。
今日も1日が始まる。
18時になったら化粧をして、着替えて美味しいご飯を食べに行こう。
お酒もタバコも好きなだけ。
深く深呼吸をして、もう一度目をつぶった。