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『会社にいれば安泰なのになんでわざわざ起業するの?』と言われました。

起業相談のよくある質問だ。

”起業したい”と周囲に話をした経験のある人の中には、家族や知人からいきなりこんな質問をされて、答えに困った人もいるのではないだろうか。

会社員であれば将来安泰なのだろうか。本当にそうだろうか。

今日はお金の話にテーマを絞って『会社にいれば将来安泰なのになんでわざわざ起業するの?』という質問への答えについて考えてみた。

忙しい人のために先に答えを言うと、会社員として得られる収入・身分保障は少しずつ変化しておりこの先も安泰とは限らない。むしろ、将来に対して何も準備をしないことがリスク、ということだ。

もし、ちょっと時間があるようであればコーヒーブレイクに読んでみてほしい。

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トヨタ自動車のクラウンという車を例にあげてみたい。

クラウンといえば、『いつかはクラウン』というキャッチコピーで一世を風靡した、サラリーマンのステータスシンボルであり、普段はバイクが相棒のオレも大好きなクルマだ。

会社員のキャリアをマイカーの買い替えになぞらえ、”新入社員でカローラ、係長でコロナ、課長になったらマークⅡ、部長はクラウンでゴール”という例え話があった。年功序列で賃金が右肩上がりの時代を象徴する話だ。

次の表を見てほしい。

■33年前(1988年)の会社員の世帯年収とクラウンの価格
  8代目クラウン(1987年~)の車両価格:313万円
  会社員の世帯平均年収:611万円

8代目クラウン(出所:gazoo.com)

■今の会社員の世帯年収とクラウンの価格
  15代目クラウン(2018年~)の車両価格:509万円
  会社員の世帯平均年収:706万円(2019年調査)

15代目クラウン(出所:gazoo.com)

※会社員の世帯年収は厚生労働省国民生活基礎調査、クラウンの価格(8代目は2500ロイヤルサルーンHT、15代目は2.0RS)はhttps://car.motor-fan.jp/より。

2つのクラウンが発売された約30年の間に、会社員の世帯年収は95万円上昇しているのに対してクラウンの車両価格は196万円上昇している。つまり、相対的に会社員世帯の購買力が100万円分低下しているということだ。

”会社員は安泰”という意味が、昔も・今も・将来も購買力が変わらないという意味であるとすると、冒頭の質問をした人は少々古い時代の見方に立って質問をしている可能性がある。

クルマに限らず、ガソリンやアイスなどいろいろなモノが値上がりしている昨今、”モノの価格は上がっているけど給料は上がらない”という会社員の置かれている環境については共感してもらえるのではないだろうか。

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話を戻そう。

そうはいっても起業はやはりリスクの高い選択だ。確実に収入を得られる保証はなく、社会保険や年金制度を見るとキャリアとしての会社員を選択する方がまだまだ有利とされる点は多い。

しかし、先ほど述べたように、会社員として得られる年収、身分についても昔と比べると様変わりしてきており、今後はより厳しい方向へ変化が加速していく可能性もある。

つまり、”会社員は安泰”だと考えて、自分のキャリアについて何らの心配なくひたすら働く、という選択肢にもそれなりのリスクがあるということだ。もしかすると、将来どこかで起業と逆転する可能性もあるかもしれない。

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起業の世界に目を向けると、今、”小さく始める”という起業スタイルが増えつつある。ITサービス系の起業のように固定店舗・事務所をもたず、初期の設備投資を極力抑えることでよりリスクの少ない起業を行うものだ。

また、少しずつではあるが、副業・兼業といった働き方が普及しつつあり、副業でビジネスを始め、ビジネススキル・経験を貯めつつ事業が軌道に乗ってきたら本格的な起業に進むといった選択をする起業家も出てきている。

VUCA※といわれる時代、起業の姿も会社員の姿も少しずつ変わってきており、時代の変化に気づき、適応しないと知らないうちに大きなリスクを背負っていた、ということだってある。
※「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑さ)」「Ambiguity(曖昧さ)」の頭文字:将来の予測が困難であり、先行きの見えない様を指す

人の意見は参考にしながらも、社会の変化への感度を高め、自分にとって必要なことを考えて行動する。それがベストな答えだと思う。

起業するにせよ、起業しないにせよ、キミの選択を応援したい。

最後まで読んでくれてどうもありがとう。

おわり

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