学生だけで運営するビジネスコンテスト~Business Contest WING②イベントレポート
9月14日(土)~16日(月・祝)の3日間、「Business Contest WING実行委員会」主催のBusines Contest WING 2024 9月コンテストが開催されました。
WINGは関西の大学生によるビジネスコンテストの運営団体で、2023年10月に発足。企画から学生の集客、スポンサー企業の営業まで、すべて学生だけで運営しています。
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9月コンテストには東京からも含めて約30人の学生が参加し、3連休をすべて返上してビジネスプランを練り上げました。その様子をレポートします!
コンテスト概要
開会式~プランニング開始
今回のコンテストは、サイバーセキュリティ事業を手がけるエムオーテックス株式会社さんの本社で行われました。新大阪から徒歩5分ほどの場所で、立派なホールとミーティングスペースを備えています。
開会式
アイスブレイク
開会式に続いて、初対面の参加者が打ち解けられるようアイスブレイクが行われました。
ケース発表
続いて、今回のコンテストのテーマとなるケースを発表。WINGでは毎回のコンテストで大まかなビジネステーマを決めており、それを「ケース」と呼んでいます。
そして今回、発表されたケースはこちら!
基調講演
続いて行われたのは基調講演。今回は医療機器関連の事業を手がける株式会社Kistの代表取締役、白井幸夫さんが登壇し、経営や事業開発に必要なマインドについてお話されました。
白井さんは、社長就任後に経営塾でダメ出しを受けたことや、経営に対する姿勢に社内からも批判を受けた経験について紹介。その上で、なりたい未来像から逆算して自分を変えることの大切さを説きました。
「ここにいる人たちは未来のリーダーばかり。失敗してもいいので、みずから率先垂範してほしい。できるだけ早く多くの失敗をすることで、成功の芽をつかむことができる」とエールを贈りました。
レクチャー
次に、事業開発のノウハウについてのレクチャーが行われました。登壇したのは、JR西日本で新規事業開発を担当されている安井貴大さん。実際にゼロから事業を生み出している方のリアルなアドバイスに、学生たちも興味深々です。
安井さんからは「覚えて帰ってほしいこと」として、「新しい事業を作ることとは『自分で顧客を見つけて』『自分で課題解決策を提供し』『自分で売ってくること』」という3つのポイントが紹介され、事業の土台として「課題設定」と「顧客設定」をしっかり考えることの重要性が語られました。
その上で「今はVUCAといわれる変化の激しい時代。ダーウィンが進化論で示したように、変化に対応する能力を身に付けてほしい」とエールが贈られました。
基調講演とレクチャーを聞いた学生からは
「ビジネスの内情や、身の回りのものが成り立っている仕組みを知ることができてよかった」
「将来、経営を学ぶ予定なので、実践的な話が聞けて非常に有益だった」
「お二人ともご自身の経験を基に話をされているので重みがあり、とても有意義だった」
とポジティブな感想が寄せられました。
プランニング開始
昼食をはさんで、いよいよ各チームに分かれてビジネスプランの考案に入ります。今回は4~5人ずつ6チームに分かれてのプランニング。
各チームには、参加者のメンタルケアなどを行うCS(ケアスタッフ)と、手順の説明や議論の進行をサポートするTF(チームファシリテーター)という2名のスタッフが付いてプランニングをサポートします。
プランニングとコンサルティング
1日目の午後から始まったプランニングは、3日目の午後まで延々と続きます。その間、本物の経営者や企業の幹部を招いて「コンサルティング」という時間が設けられています。
これは、経営者や企業幹部がコンサル役となり、各チームのプランを聞いてフィードバックをするというもの。3日間それぞれ、1時間ほどの時間を使って行われます。
どのチームもコンサルからのフィードバックやアドバイスを受けて、軌道修正を繰り返します。特に1日目のコンサルティングでは「ボロボロだった」というチームも。
しかし、最終日にはどのチームからも「このコンサルティングが本当に役立った」「ものすごく勉強になった」という声が聞かれました。
最終ピッチ~結果発表
3日間のプランニングを終えて、いよいよ最終ピッチが始まりました。1チームあたり5分のプレゼンと、12分の質疑応答で行います。
発表①荷物の受け取りの不便を解消
1番目に登場したチームは、通販などで買った商品の受け取りを便利にする案を発表。「配達ユーザー」として登録した人が一旦受け取り、ピンポイントで受け取りたい時間に届けてもらう、というビジネスモデルです。
ピンポイントでの受け取り時間指定や、22時以降の受け取りが可能になることで、時間の有効活用を手助けしてくれるサービス。審査員からは「配達ユーザーになりたいと思う人を増やすには?」といった質問が寄せられました。
発表②男性のメイクを後押し
2番目の発表は、近年マーケットが広がっているメンズメイクに関するビジネスアイデア。男性のメイクは広がっているとはいえ、まだ周りに経験者が少なく、アドバイスが受けにくいのが現状。
そこで、メイクしたい男子大学生と、メイクに詳しい美容学生をマッチングしてオンラインでレクチャーを受けられるというサービスを考案。これに対し「オンラインで色などを正しく教えられる?」などの質問が飛んでいました。
発表③旅行×NFTコンテンツ
3番目の発表は、ダラダラとスマホを見て過ごしてしまった自分への後悔から生まれたプラン。「旅に出て有意義に時間を過ごしてほしい」という思いを込めて、旅先でしか手に入らないNFTコンテンツを開発するサービスです。
観光客の減少に悩む地方の課題解決にもつながるアイデア。審査員からは「NFTに希少価値を感じる学生は多い?」「学生が何度も旅に出るのは金銭的に難しいのでは?」といった質問が飛び交っていました。
発表④イベント終了後の混雑を緩和
4番目のチームが目を付けたのは、プロスポーツの試合やコンサートなどの帰りが混雑すること。会場から何千人もの人が一気に出ていくので、周辺や近くの駅まで混雑が続きます。
これを解消するアイデアとして、イベント終了時に抽選会を行い、はずれた人から帰ってもらうというもの。来場者が会場を出る時間を分散させることで、混雑の緩和を図り、警備員の人員削減につなげます。
審査員からは「余韻に浸りたい来場者はやっぱり滞留してしまうのでは?」「花火大会などの地域イベントにも使えそう」などの意見が寄せられました。
発表⑤AIで遊びのプラン決め
5番目の発表は、複数人で遊ぶときに「プランを決められない」という悩みをAIで解決するアイデア。遊びに行くメンバーたちのチャットの内容をAIが分析し、自動で遊ぶ内容やお店を提案してくれる、というサービスです。
身の回りに「自分が決めるのはイヤ」とか「幹事をやるのはしんどい」という学生が一定数いることから、課題として着目しました。審査員からは「レコメンドする店舗の情報に信頼性を持たせるには?」などの質問が投げかけられました。
発表⑥趣味のある人生を手助け
最後の発表は、動画やSNSをダラダラと見てしまう「受動的な娯楽」への危機感から生まれたアイデア。簡単なWEB診断をすると、自分におすすめの趣味を紹介してくれる上、それを習得するための学習コンテンツ配信や道具のレンタルまでサブスクで提供しようというものです。
質疑応答では「学生は経済的に厳しいので社会人をターゲットにしてもよいのでは」「扱える趣味が少ないと、価値が生まれない」などの意見が寄せられました。
結果発表
全6組のプレゼンが終了し、3人の審査員によって優勝とピッチ賞が選ばれました。
審査員総評
最後に、3人の審査員から、今回のコンテストに対する総評が行われました。
大学生のペインに対するアプローチが多い印象でしたが、収益性を考えて、もっと上の世代も意識されると良いでしょう。この3日間で起業のスタートラインに立ったと思うので、次はぜひ実行に移してみてください。
(日本エンジェル投資家協会・山本敏行さん)
プランの優劣を分けたのは決して能力やスキルの差ではなく、「どの課題に着目するか」という着眼点でした。学生の課題だけでなく、よりマーケットが広がる課題に着目すると良いと思います。
(株式会社京信ソーシャルキャピタル・国本丈弘さん)
わずか3日間で練り上げたことを考えると、課題設定などはしっかりできていたと思います。起業は選択肢のひとつなので、もし企業に就職したとしても新規事業などで今回の経験を生かせると思います。
(Creww株式会社・志岐遼介さん)
交流会
すべてが終了し、最後は交流のためのフリータイム。ここで、ようやく大学名や年齢を伝えることが許されます。プランを作るプレッシャーからも解放され、笑顔にあふれた交流会となりました。
また、審査員やコンサルを務めた社会人も交じり、双方に学びのある有意義な時間となりました。この取り組みが将来の起業家を育むとともに、挑戦する若者を増やす場として発展していくことを願っています。
次回コンテスト概要
次回コンテストは11月30日(土)~12月1日(日)の2日間だそうです!興味ある方はぜひ参加しましょう!
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