同僚と秘密の関係
最近職場の女性と秘密の関係になった。
お相手は僕より10近く年下だろうか、はっきりとした年齢は知らない。
僕が技術職で彼女は総務。2人のデスクは事務所の端と端にある。
たまに挨拶ついでの短い世間話をする程度の間柄だった。
そんな2人の秘密の関係とは
『おやつ友達』
好きな甘いものをオススメし合ったり、買ってきたおやつを物々交換したりする。
『オヤトモ』
それはただおやつを愛する、全く色気のない秘密の関係なのである。
きっかけは総務に差し入れされたお菓子が余った時だった。
そんな時はおこぼれが他の社員に回ってくる。
たいていは若者か女性陣に優先的に配られる。この時も女性と若い男子に配られた。
44歳のおじさんにはなかなか回って来ない。
おじさんはカワイイ甘いお菓子なんか食べないという先入観が腹立たしい。
シュークリームもパフェも大好きなおじさんだっているんだ。
あのキャピキャピした女子達よりも僕の方がスイーツを愛しているに違いない。
だがしかし、僕は後輩たちに譲るんだ。
だって大人なんだもの。メソメソ。
そんな腹の内を見透かされたのか
後にオヤトモとなるその人が「甘いもの好きですか?」と業務用のチャットでメッセージを送ってきた。
プリンをもらう後輩が羨ましすぎてだらしない顔をしてたんだろうか?
「しかしなぜチャットで、、?」
と思いつつも返事をした。
「甘いものめっちゃ好きですよ!」
(直属の後輩でない限り基本的に敬語な僕です)と言うと、
「失礼しました!今度は着ぐるみさんに持って行きます!」と返ってきました。
そこから聴き取り調査が始まりました。
苦手なものを聞かれたので
「苦手な甘いものはシナモン入ったやつ、生チョコ、フルーツに火を通したやつ、レーズン入ったやつ、バタークリーム入ったやつ。
あんこはこし餡より粒あん派です!」
だいたいこれを言えば好みが分かってもらえます。
それからというものオヤトモの関係が始まった。
僕のデスクは事務所の出入口や給湯室に近くて通路に面しているので、オヤトモは用があって近くを通る時にそっとおやつを置いて行く。チョコやクッキーやアメちゃん。
僕も買ったおやつが美味しいとオヤトモが通る時に声をかけてお裾分けする。
流れるように行われるおやつの交換はまるで悪いお薬の取引かスパイの情報交換のよう。
「お客さん、いいの入ってるよ」みたいな。
立ち話やメッセージで「下のコンビニに期間限定のお菓子あるよ」とか「〇〇ってお菓子うまいですよ」とか情報をくれる。
僕は仕事で遠方へ外出する事も多いので、たまにだけどおやつをお土産に買っていく。
ただ何となく自分の中でルールみたいな物があって、お高い物は買わない。
高くてもせいぜい1個200円くらいとか、他の同僚にも配れるような6個入り1000円くらいのおやつにする。
それがセンスの見せ所であり、休憩にちょこっと摘まむおやつを愛する者の流儀な気がして。
こないだは仕事で外出していると「芋ようかん好きですか?」とメッセージが来た。
「子供の頃から好きですよ!」と返した。
帰ったらデスクに置いといてくれるのかとワクワクしながら帰社したが、どうやらただ聞いてみただけだったらしくてちょっとガッカリした。。
もはやオヤトモの味覚を信頼している僕はオヤトモがあまりにオススメするお菓子をAmazonでポチった。
『千寿せんべい』というお菓子です。
奥さんと美味しく頂きました。
今日オヤトモへお礼に1つ千寿せんべいをあげたらカプリコになって帰ってきました。