私は里親
私は国際結婚をしているので、アメリカに住んでいます。何年か前に里帰りをした時に、戸籍の関係で、役場を訪れる事がありました。座って自分の番を待ってる時、ふと目に付いたポスター。それは…
里親募集中
それを見たとき、日本の里親制度が、活発になってきていることに、とても嬉しくなりました。
私には実子が5人います。家には4つ寝室があります。一つは私と夫、後の3つは子供達。でも、上の3人が家を出たとき、余ってる部屋を活用しようと、里親をすることに決めました。以前はあまり実感として感じなかったのですが、実際に母親になった時、子供に対するネグレクト、暴力、性的暴力が他人ごとでは無くなりました。ずっと、里親として、子供達を上記の境遇から守りたいと思っていた私は、3番目の子が大学に上がったのと同時に、主人にその旨を伝えました。元々、里親制度でボランティアをしていた主人は、私の申し入れに同意を示してくれて、早速登録をしました。
日本ではどうなっているのか分からないのですが、アメリカでは、トレーニングを受けなければいけません。そのトレーニングが終わった後で、色々な書類の提出があります。(結構分厚いです)主に、自分の生活環境・性格・何故里親になりたいか、健康に対する質問事項、資産、第三者による推薦状など、など。 そして、身の上調査。指紋の提出と、ドラッグ検査。州郡の福祉の人が家の点検に来ます。この時に、多くのチェックリストがあり、全てパスしなければいけません。それが終わると、はれてライセンスがもらえます。
ライセンスは毎年更新する必要があります。その時は、簡単な8時間のトレーニングをオンラインで受けて、テストに合格すれば、更新のライセンスを受けることが出来ます。
里親になって、4年が過ぎました。その間に、数えきれないほどの子供たちが家の戸を叩きました。中には夜中の2時、3時などにくる子もいます。ちなみに子供たちは州郡の福祉の人に連れられてやってきます。一人一人、違った問題を抱えて家にやってきました。大体子供たちはごみ袋に自分の服を投げ入れて持ってきます。ほとんどがヨレヨレです。時には、手ぶらでやってくる子供もいます。子供たちの多くがトラウマを抱えています。それが原因で完全に崩れてしまっている子供達もいます。ほとんどの子供達にはカウンセリングが必要です。
最初は、なぜ登録をしてしまったのだろう?と思うことが沢山ありました。それくらい子供たちは常識からかけ離れた状態でやってくるのです。すべてがそう言うわけではありません。それでも、このような子供達には助けの手が必要です。家庭の中で、一人の子供として、普通に他の子供と同じように育ててあげるのは、彼らにとって、とっても重要な事なのです。何を持って普通というの?と思われる方もいるかもしれません。それは、ドラッグに手が届かない家で育つこと、両親に殴られない事、ホームレスで無い事、アルコールに手が届かない事、性的な暴力を親から受けていないこと、放置されて何日も食べていないこと、家の中がカオスになっていない事、上げるときりがありませんが、今述べた事は、家に来た子供たちが実際に経験してきたことです。
両親は州郡が用意したプランを通して、子供達をもう一度迎え入れることが出来るようになります。大体1年を必要としています。ケースバイケースで、延長をすることもありますが、大体、1年を過ぎると、親権剥奪の対象になってきます。
生まれてすぐに家にやって来た、口唇裂・口蓋裂の女の子の赤ちゃんがいました。シングルマザーだったのですが、結局お母さんは更生できずに、養子になることが決まりました。私たちは最初は養子をとる計画はありませんでした。ほとんどの子供たちが親の元に帰って行くと思っていたからです。でもその意識は間違っていました。沢山の子供たちが、親の更生が出来ず、養子に出されます。私の実子は長女26歳を筆頭に一番下が15歳です。今では上4人は家を出て、子育てが楽になって来たところでした。孫と言っても過言ではないその子も今年3歳になりました。凄い葛藤は在りましたが、3年も生まれた時から育てていると、我が子同然です。長い話し合いの結果、家で引き取ることに決めました。そして3月に養子縁組が無事終わり、法的に家の子となりました。
私は全ての子供たちを助ける事は出来ませんが、自分の出来る範囲でがんばろうと思います。それが今私に出来る事だと強く思います。
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