須佐之男命（スサノオ）をカジュアルに深掘り解説
はじめに
日本神話に登場する須佐之男命（スサノオノミコト）は、嵐と海を司る神様です。
太陽の女神・天照大御神（アマテラス）や月の神・月読命（ツクヨミ）と同じく、イザナギの禊ぎ（みそぎ）から生まれた三貴子（さんきし）の一柱で、アマテラスの弟にあたります。
スサノオという名前は「荒れすさぶ」様子に由来し、その名の通り暴風雨の神として知られています。一方で厄除けの神様として信仰される側面もあり、荒ぶる力で災いを祓う存在でもあります。
しかし、スサノオはただの荒々しい神様ではありません。神話をひもとくと、暴れん坊で泣き虫、でもここ一番では英雄になるという、なんとも人間味あふれるキャラクターが浮かび上がってきます。天上の世界で大暴れしては姉の天照大神を怒らせたり、地上に降りて恐ろしい怪物を退治したりと、そのエピソードは波瀾万丈。この記事では、初心者にもわかりやすく、このスサノオの魅力あふれる神話ストーリーと人間くさい性格, そして現代まで続く影響についてカジュアルに深掘り解説していきます。
神話における役割 ～ 天照大神との確執とヤマタノオロチ退治 ～
スサノオの物語は、天界での騒動から始まります。父イザナギから「海原（うなばら）を治めよ」と命じられたスサノオでしたが、亡き母イザナミに会いたい一心で泣いてばかり。母を慕って号泣し、与えられた海の国を治めようとしなかったため、ついに父の怒りを買ってしまいます。
イザナギは激怒し、スサノオを高天原（たかまがはら）＝天界から追放することにしました。追放が決まったスサノオは、最後に姉のアマテラスに別れを告げようと高天原へ向かいます。しかし突然弟が天空にやって来たものですから、アマテラスは「まさか高天原を奪いに来たのでは？」と疑い、武装して迎えました。
そこでスサノオは潔白を証明するために有名な「誓約（うけい）」という占い勝負を提案します。お互いの持ち物（アマテラスの勾玉とスサノオの剣）を交換して神々を生み出し、どちらの子が生まれるかで善悪を占うこの勝負、結果はスサノオの勝利でした。「自分には野心がない」と証明されたわけです。
ところが、勝負に勝った途端にスサノオは慢心してしまいます。安心したのも束の間、彼は高天原で次々と乱暴狼藉をはたらいてしまいました。田んぼを荒らし作物をダメにし、挙句の果てにはアマテラスの神殿に逆さまに剥いだ馬の皮を放り込みます。この暴挙にアマテラスは大ショック！
織女の神が驚いて命を落とし、アマテラスは怒りと悲しみのあまり天の岩戸（あまのいわと）という洞窟に隠れてしまいました。
太陽神であるアマテラスが岩戸に閉じこもったために、世界は真っ暗闇。作物も育たず八百万の神々も大困りです。最終的にアマテラスは他の神々の機転で岩戸から出てきますが、この一連の騒動の元凶となったスサノオには厳しいお仕置きが下されます。髭や手足の爪を抜かれるという罰を受けた上で、スサノオは遂に高天原から追放されてしまいました。追放されたスサノオは、天界を追われ地上の出雲国へと降り立ちます。
ここから彼の物語は英雄譚へと一転します。スサノオが降り立ったのは出雲国の鳥髪山（とりかみやま）、現在の島根県奥出雲町にある船通山（せんつうざん）とされる場所でした。
そこで出会ったのが、クシナダヒメという美しい少女とその両親です。彼らは今まさに恐ろしい怪物に娘を生贄として差し出そうとしているところでした。その怪物とは、八つの頭と八つの尾を持つ巨大な大蛇「ヤマタノオロチ」です。毎年一人ずつ娘を喰らうオロチに、クシナダヒメも狙われていたのです。事情を聞いたスサノオは、姫を救うことを決意します。
スサノオはまずクシナダヒメを櫛（くし）に姿を変えさせて自分の髪に挿し、彼女を安全な状態にしました。次にオロチ退治の作戦開始です。スサノオはオロチの大好物である濃い酒（八塩折の酒）を八つの桶にたっぷり用意し、家の周りに並べました。現れたヤマタノオロチが酒の匂いにつられて頭を突っ込むと、案の定ぐびぐび酒を飲み干してしまいます。やがてオロチは酔いつぶれて眠り込んでしまいました。チャンスとばかりに、スサノオは十拳剣（とつかのつるぎ）を抜いてオロチに斬りかかり、見事これをずたずたに討ち取ります。
かくしてクシナダヒメは無事救出されました。スサノオがオロチの尾を斬り落としたところ、なんとその尾の中から一本の立派な剣が現れます。それが後に「草薙剣（くさなぎのつるぎ）」と呼ばれる名刀です。スサノオはこの剣を天照大神へと献上しました。この草薙剣は天皇家の三種の神器の一つとして伝えられ、現在は愛知県の熱田神宮に御神体として祀られています。
オロチ退治という大偉業を成し遂げたスサノオは、その功績によって乱暴者の汚名をそそぎました。彼は櫛にして守っていたクシナダヒメを元の姿に戻すと、正式に彼女を妻とします。そして二人で出雲の須賀（すが）という地に新居を構えました。スサノオは新しい住まいを作った喜びのあまり、次のような歌を詠んだと伝えられています。
「八雲立つ 出雲八重垣 妻籠みに 八重垣作る その八重垣を」
（現代語訳：「八重（幾重）にも雲が沸き立つ出雲の国に、八重の垣根をめぐらして新妻を中に籠らせよう、その八重垣を」）
これは日本最古の和歌とも言われる有名な一節で、スサノオが自分と妻のために家（垣）を築く喜びを歌ったものです。こうしてスサノオは出雲の地で家族を持ち、新天地を開拓して暮らすことになりました。
乱暴者だったスサノオが地上では人々を救う英雄となり、家庭を築いて落ち着く――このギャップが神話の面白いところですね。
性格や特徴 ～ 荒ぶる魂と人間くさい一面 ～
スサノオのエピソードから浮かび上がる性格は、実に多面性に富んでいます。
まず何と言っても目立つのがその荒々しさとエネルギッシュさ。高天原では我慢がきかず暴走し、姉の田畑を荒らしたり天の岩戸事件を引き起こしたりと、豪快すぎる振る舞いが目立ちます。「暴れん坊」「乱暴者」と評されるのも納得ですよね。
さらに、感情表現が非常にストレートです。与えられた使命を放り出して母神恋しさに大泣きしてしまうところなどは、人間臭くて親しみが湧いてきます。
悲しみや寂しさを隠さず大声で泣く神様なんて、ちょっと可愛らしくも感じられませんか？
怒りっぽい一面も見逃せません。食べ物の女神オオゲツヒメ（大気都比売）が口や鼻から食事を生み出すのを見て嫌悪し、思わず殺してしまったという逸話もあります。（※古事記ではスサノオの所業とされ、別伝では月読命が行ったとも）。
高天原でもカッとなって天馬を投げ込むという荒技に及びました。衝動的で短気なところはまさに血気盛んな若者といった感じです。このように、スサノオは喜怒哀楽が激しく奔放な性格ですが、決して根っからの悪神というわけではありません。
古事記にはスサノオを「性悪の神」と断じる記述はなく、むしろ試練を経て成長する姿が描かれています。
実際、スサノオには正義感の強い英雄としての顔があります。ヤマタノオロチ退治はその代表例で、目の前の人々を救うために知恵を絞り、命懸けで戦いました。酔わせて切るという作戦からも分かるように、スサノオは荒武者であると同時に知恵者でもあります。
思い付きそうで思いつかない大胆な方法でピンチを切り抜けるあたり、ただの乱暴者ではなく頭の回転が速いことがうかがえます。神話の中でも「実は賢い一面を持つ多面性のある神」と評価されており、荒々しさと聡明さをあわせ持つ点がスサノオの魅力です。
また、情に厚いところも見逃せません。オロチから救ったクシナダヒメを妻とし、生涯大事にしたと伝えられるスサノオは、家族思いの一面も持っています。新居の歌からは、新妻への愛情と家庭を築く喜びがにじみ出ていますよね。娘（クシナダヒメ）を助けてもらった両親（アシナヅチ・テナヅチ）ともども一緒に祀られている神社もあるほどで、スサノオは家内安全や縁結びの神様としても信仰されているんです。
乱暴者だった青年期から一転、地上では立派に妻子をもうけて国造りに励む様子は、まるで人間の成長物語を見るようです。
このように、スサノオ命は激しさと優しさ、幼さと勇ましさという相反する特徴をあわせ持つ非常に人間味あふれる神様です。神でありながら失敗し叱られ、更生して活躍する姿に、「なんだか憎めない」「応援したくなる」という気持ちが湧いてきます。
まさに「暴れん坊だけど頭がよく正義感が強い」存在として、多くの人に親しまれてきたのでしょう。
他の神々との関係
スサノオの家族関係や他の神々とのつながりも、その物語を語る上で重要なポイントです。まず家族構成ですが、スサノオは伊邪那岐命（イザナギ）と伊邪那美命（イザナミ）という日本創生の男女神から生まれた子供です。
兄弟姉妹には、日本神話の最高神で太陽を司る姉・天照大御神（アマテラス）と、月を司る兄・月読命（ツクヨミ）がいます。
この三柱は特に「三貴子」と呼ばれており、日本神話でも別格の存在ですね。
姉のアマテラスとの関係は前述の通り葛藤に富んだものです。スサノオは子どものように姉に甘える一方で、はしゃぎ過ぎて迷惑をかけ、ついには絶交されてしまいます。岩戸事件以降、高天原から追い出されたため直接の交流は途絶えますが、地上でオロチ退治を成し遂げたスサノオが草薙剣をアマテラスに献上したことで、結果的に姉弟は和解したとも解釈できます。
アマテラスの子孫（天皇家）が草薙剣を受け継いでいることを考えると、スサノオの功績が最終的には姉の一族を支える宝となったわけです。いがみ合いながらも最終的には家族の絆が感じられるエピソードに感じます。
兄のツクヨミとの絡みは神話ではあまり多く語られていません。ただし日本書紀の異伝では、食物神を斬ったのはスサノオではなくツクヨミだとも言われています（ツクヨミの記事参照）。
いずれにせよ、月読命も寡黙でミステリアスな存在で、少し影のあるスサノオとはどこか共通する雰囲気があります。二人とも姉のアマテラスとは対照的に夜や嵐といったダークなイメージを持つため、後世の解釈では「実はスサノオとツクヨミは同一神では？」なんて説も生まれたりします（諸説ありますが面白い視点ですね）。
スサノオの両親にも触れておきましょう。父は伊邪那岐命、母は伊邪那美命です。スサノオが「母に会いたい！」と泣きわめいた母神イザナミは黄泉の国にいる女神でした。
イザナミはスサノオが幼い頃に亡くなっているため直接の交流はなく、スサノオにとって母は幻影のような存在です。そのためスサノオは常に母恋しさを胸に抱えていたのでしょう。その想いが強すぎて父イザナギを怒らせてしまったのは前述の通りです。親子関係で見ると、父に反発する反抗期の息子といった構図にも見えてきますね。
地上に降りてからスサノオが築いた新たな家族も重要です。妻となったのは救出した稲田姫ことクシナダヒメで、彼女との間には八島士奴美神（やしまじぬみのかみ）という子が生まれます。
さらにこの系譜の先には、出雲神話の中心人物である大国主神（オオクニヌシノカミ）が登場します。
一説では、スサノオは大国主の曾祖父（あるいは岳父＝妻の父）にあたるとされています。
実際、古事記ではスサノオの娘スセリビメ（須勢理毘売）を大国主が妻に迎える話があり、スサノオは娘婿の大国主にさまざまな試練を与えて鍛える厳父として描かれています。最終的に大国主は国譲りの際にアマテラスの孫に国を譲りますが、その大国主を陰で支えた強力な祖先がスサノオというわけです。高天原の系譜（アマテラス系）と出雲系（スサノオ～大国主系）をつなぐ架け橋のような存在とも言えます。
このように見てくると、スサノオは神話世界の中でさまざまな立場を経験した珍しい神だと言えます。神々の世界ではやんちゃな弟であり、地上では一家の長となり、さらに子孫を通じて国造りの神へと繋がっていく…。天つ神から国つ神への世代交代の要にもなっており、日本神話全体の中でも重要なポジションを占める神様なのです。
スサノオが祀られている神社
スサノオ命はその人気と重要性から、全国各地の神社で主祭神として祀られています。代表的な例をいくつか挙げてみましょう。
まずは出雲地方。スサノオが活躍した地だけあって、ゆかりの神社が多数あります。島根県出雲市の出雲大社（いづもたいしゃ）は大国主神を祀る日本有数の神社ですが、その境内奥には素鵞社（そがのやしろ）と呼ばれるお社があります。ここでは出雲大社の主祭神・大国主大神の祖先にあたるスサノオノミコトが祀られています。素鵞社は本殿の真後ろ、神聖な八雲山の麓にひっそりと建ち、出雲大社を見守るように鎮座しています。出雲大社に参拝した際は、ぜひ本殿裏の素鵞社にもお参りしてみてください。オロチ退治で知られる出雲神話屈指のヒーローであるスサノオのパワーを授かれるかもしれません。
出雲地方でもう一つ有名なのが、島根県出雲市佐田町にある須佐神社です。名前に「スサ（須佐）」と入っている通り、ここはスサノオを主祭神とする神社。実は全国に数多くあるスサノオゆかりの神社の中で、スサノオの御魂（みたま）を直接お祀りする唯一の神社ともいわれます。
祭神はスサノオと、その妻クシナダヒメ（稲田比売命）、そしてクシナダヒメの両親（脚摩槌命・手摩槌命）という、まさにヤマタノオロチ神話の主要メンバーが勢揃いしています。オロチ退治の地に近いこともあり、スサノオがこの地で一家とともに余生を過ごしたとか、スサノオの終焉の地だという伝承もあります。須佐神社は古くから「災難除け・開運」の神徳が高いとされ、具体的なご利益として良縁成就、子孫繁栄、家内安全、諸障退散などが伝えられています。
スサノオが家族を守り国を開いた神様であることから、家庭円満や繁栄につながるご利益が信じられているのですね。
続いて京都に目を移しましょう。京都市東山区の八坂神社（旧称・祇園神社）は、実はスサノオノミコトを主祭神としています。
八坂神社ではスサノオは牛頭天王（ごずてんのう）という名でも祀られています。これは神仏習合の時代に、インド由来の疫病神である牛頭天王とスサノオが同一視されたためです。
京都の夏の風物詩である祇園祭は、この八坂神社の祭礼であり、もともとは平安時代に疫病退散を祈願して始まった祇園御霊会（ごりょうえ）が起源です。貞観11年（869年）に都で疫病が大流行した際、「これは祇園の牛頭天王の祟りではないか」と噂され、人々は鉾を立てて牛頭天王（＝スサノオ）を鎮める祈りを捧げましたこれが祇園祭の始まりであり、疫病対策の祭りとして発展していきます。
祇園祭では神輿に乗せられたスサノオ（中御座）がお旅所へ渡御し、町中を巡行します。その道中の露払い（道を清め先導する役割）として山鉾巡行が行われるなど、祭り全体が本来はスサノオによる疫病除けの意味を持っているのです。。現代では華やかな山鉾巡行ばかりに目が行きがちですが、その背後には「スサノオ様、どうか病や災厄からお守りください」という先人たちの願いが込められているんですね。
この他にも、関東の武蔵一宮氷川神社（埼玉県さいたま市）もスサノオを主祭神としています。
氷川神社は古事記にも由来が記される古社で、関東地方に約280社もある氷川神社系統の総本社です。江戸時代には徳川将軍家からも信仰された由緒ある神社で、関東におけるスサノオ信仰の中心と言えるでしょう。名前の「氷川（ひかわ）」は出雲の簸川（ひのかわ）に通じ、スサノオが天降った斐伊川（ひいがわ）とも関係があるとも言われます。まさに出雲と関東を結ぶ不思議なご縁ですね。
さらに全国を見渡すと、熊野大社（島根県）、津島神社（愛知県）、広峯神社（兵庫県）、素盞嗚神社（各地に複数）など、数えきれないほど多くの神社でスサノオが祀られています
土地によってはGion（祇園）さん、牛頭天王さんなどと呼ばれ親しまれていることもあります。これほど広範に信仰されているのは、スサノオが災厄を払い福を招く守護神として人々の生活に深く根付いてきた証拠でしょう。神社巡りが好きな方は、各地のスサノオゆかりの社を訪ね歩いてみるのも面白いかもしれません。それぞれの土地でどんなスサノオ像が伝えられているのか、比較してみると新たな発見がありそうです。
ポップカルチャーとの関係
荒ぶる英雄スサノオの物語は、そのドラマチックさから現代のポップカルチャーにもたびたび登場します。神話の神様というと遠い存在に感じるかもしれませんが、実はアニメやゲームの中でスサノオの名前やモチーフを見かけることは珍しくありません。
例えば人気漫画・アニメ『NARUTO -ナルト-』をご存知でしょうか。その作中に「須佐能乎（スサノオ）」と呼ばれる技（瞳術）があります。これは作中最強クラスの術の一つで、武神のような巨大な精霊を身にまとう大技です。うちは一族の忍者しか使えない禁断の力で、発動すると紫色や橙色の鎧武者のような霊体が現れ、絶大な攻撃と防御力を発揮します。名前の由来は日本神話の英雄神「須佐之男」から来ているとされています。
物語中でも“スサノオ”は災厄を払う守護者的なイメージで描かれており、神話のスサノオが持つ「荒ぶる力で悪を打ち倒す」というイメージをうまく投影した設定と言えるでしょう。
また、カプコンのアクションゲーム『大神（Ōkami）』でもスサノオは重要なキャラクターとして登場します。『大神』は日本神話をモチーフにしたゲームで、狼の姿をした太陽神アマテラスが主人公です。その物語序盤、神木村という村に「自称・偉大なる剣士スサノオ」という男性が住んでいます。彼は伝説の英雄イザナギの子孫を名乗っており、実は100年前に大妖怪ヤマタノオロチを封印した英雄の血筋という設定です。
最初は酒好きで怠け者のおじさんとして描かれ、頼りないのですが、物語が進むにつれてオロチ退治に立ち向かうことになるという展開です。スサノオがヤマタノオロチを退治する伝説がゲーム内でコミカルかつ熱く再現されており、プレイヤーは現代のエンターテインメントを通じてスサノオ伝説を体験できるわけです。大神のスサノオはどこか憎めない愛嬌のあるキャラで、豪快だがお調子者、でもいざという時は勇気を振り絞るという性格付けがされています。神話のスサノオをうまく現代的にアレンジしたキャラクターとして、非常に人気があります。
他にもゲームやアニメの世界でスサノオの名は色々な形で顔を出します。例えばRPGゲーム『ペルソナ』シリーズでは「スサノオ」という名のペルソナ（召喚できる神格）として登場し、雷や嵐の力を操る存在として描かれます。また、『デジモンフロンティア』では「スサノオモン」という究極体のデジモンが登場し、10人の伝説の戦士の力を結集した最強の存在と設定されています。さらには、1963年公開の東映アニメ映画『わんぱく王子の大蛇退治』では、主人公の少年がスサノオとなってヤマタノオロチを退治する物語が描かれています。
この作品は古事記のスサノオ神話をベースにした児童向け冒険譚で、多くの子供たちに神話の存在を印象付けました。文学の世界でも、芥川龍之介が『素戔嗚尊』という短編小説を書いていたり、現代小説でもスサノオを題材にしたファンタジー作品がいくつも発表されています。
このように、スサノオはフィクションのキャラクターやモチーフとして生き続けています。強大な敵を倒すヒーローとして、あるいは荒ぶる力を秘めた存在として、物語にスリルと魅力を与えているのです。スサノオを知ってからこうした作品を見ると、「あ、このキャラはあの神話が元ネタなんだ！」と気付けて、より深く楽しめるかもしれません。
まとめ（現代の信仰やスサノオの影響）
嵐を呼ぶ乱暴者にして大蛇を倒す英雄──須佐之男命（スサノオ）の物語と魅力を、はじめての方向けにざっくりとご紹介してきました。神話初心者から詳しい人まで楽しめるよう、逸話を交えてカジュアルに深掘りしてみましたが、いかがだったでしょうか。
スサノオの物語は古代から語り継がれ、そして現代においても神社信仰や祭りという形で生き続けています。各地のスサノオを祀る神社では、今なお多くの人々がお参りに訪れます。お願い事は様々ですが、「厄除け」「病気平癒」「家内安全」「縁結び」など、その御利益はスサノオの神話に由来するものが多いようです。
嵐を鎮め、疫病を払い、家族を守り、魔物を退治する──そんなスサノオのイメージが、人々の願いと重なっているのでしょう。京都の祇園祭しかり、各地の天王祭しかり、私たちは知らず知らずのうちにスサノオの加護を願い、お祭り騒ぎをしながらその偉業を称えているのかもしれません。
また、スサノオの人間くささや成長物語的側面は、現代の私たちにも勇気を与えてくれます。失敗して落ち込んでも、それを乗り越えて立ち直り活躍できる。荒々しい性格でも、最後には周囲に受け入れられ愛される存在になれる。スサノオ神話にはそんなメッセージが込められているようにも思えます。実際、乱暴者から英雄へと生まれ変わったスサノオの姿は、「神様でありながら親しみや憧れを抱かせる」と語り継がれてきました。
私たちも人生の中で嵐のような試練に見舞われることがありますが、スサノオのように情熱と知恵でそれを乗り越えれば、その先に晴れやかな未来が待っているかもしれません。
スサノオは、日本人にとって古代から身近で頼もしい神様でした。現在でもその影響は各方面に及んでおり、神社で手を合わせる人々から、漫画やゲームに熱中する若者まで、実に幅広い世代が何らかの形でスサノオと関わっています。時代を超えて愛されるスサノオの存在は、日本の文化や精神性の中に確かな足跡を残していると言えるでしょう。ぜひ皆さんも機会があればスサノオゆかりの地を訪れたり、神話の物語に触れてみたりしてください。きっと、嵐の中に凛と立つスサノオの姿が、今まで以上に魅力的に思えてくるはずです。
最後までお読みいただきありがとうございました。スサノオのカジュアル深掘り解説、楽しんでいただけましたなら幸いです。これからも神話の世界に興味を持っていただければと思います。それでは、「ヤマタノオロチも恐れぬ」頼もしい嵐の神・スサノオノミコトに、心からの敬意と感謝を込めて…！
参考文献（引用）
【1】Wikipedia: 「スサノオ」古事記・日本書紀の記述（神話での活躍）
【2】Discover Japan（ディスカバー・ジャパン）ウェブ: 「暴れん坊だけど頭がよく正義感が強い『須佐之男命』日本人なら知っておきたいニッポンの神様名鑑」2020/11/20
【3】島根県観光連盟: 古事記神話館「アマテラスとスサノオ ＜高天原追放＞」
【4】島根県観光連盟: 古事記神話館「アマテラスとスサノオ ＜高天原追放＞」
【5】島根県 「しまねまちなび」現地レポート: 「素鵞社と須佐神社」(出雲大社・素鵞社の紹介とスサノオの人物像)
【6】出雲観光協会: 出雲観光ガイド「須佐神社」解説（祭神と御利益）
【7】ピクシブ百科事典: 「須佐能乎(NARUTO)」 （NARUTOに登場する術「須佐能乎」の解説）
【8】ピクシブ百科事典: 「スサノオ(大神)」 （ゲーム『大神』の登場キャラクター・スサノオの解説）
【9】ピクシブ百科事典: 「スサノオ(大神)」人物像（ゲーム『大神』スサノオの性格描写）
【10】Historyjp.com: 「祇園祭のゆかりと山鉾巡行 – 疫病対策から始まる祇園祭」
【11】Historyjp.com: 「祇園祭のゆかりと山鉾巡行 – 祇園祭の祭神は牛頭天王、スサノオ」
【12】Wikipedia: 「スサノオ」概要・系譜（イザナギの禊による誕生）