春愁秋思|空気公団 【あの頃、おしゃれポップと|#2】
第2回にして、早くも自分の好みがわかってきたような気がする。
音楽に、匂いや温度、生活にとけこむような質感があるものが好きなのかもしれない。
空気公団は、学生時代に出会ったバンド。
なんというかもう、環境音楽である。
わたしという人生の映画音楽を作ってもらってるような感覚。
平熱くらいのあたたかさで、日常を過度にならない程度に引き立ててくれる、無添加の塩みたいなバンドである。
特に「春愁秋思」に収録されている「春がきました」は是非とも聴いていただきたい。
三寒四温と言われるような冬から春が顔を出す季節、「日陰は寒いけど、おひさまが当たってるところはあったかいわよね」なんて言いながら、散歩している時に聴いていただきたい。
耳からじんわり春がきて、気候と音楽のシナジーでとろけてしまいそうである。なんか今日しあわせだなあ、と思えてしまうから不思議である。
他にも「なんとなく今日の為に」は、よく晴れた土曜日に、大切な人と過ごしてお昼寝から起きた後、聴いてほしい。
別のアルバムだけど「レモンを買おう」は、夕暮れ時、まな板の上で野菜をトントンと切りながら聴いてほしい。
それぞれの「この瞬間」がありそう。
シチュエーションと音楽のペアリング、非常に興味深い。