HHKB押下圧変更プロジェクト【その5: ラバードームの交換編】
注意
ここからはピンセットを使って作業してください。
基盤やバネを指で直接触ると、指の汗や脂で錆を誘発する恐れがあります。
また、HHKBのバネは小さく繊細なので大人の指だと上手く扱えないと思います。ぴょんぴょんと跳ねるので紛失しやすいため、ピンセットでしっかりと摘まむことが望ましいです。
(1) ラバードームの取り外し
基盤を持ち上げると写真1のようにラバードーム群が現れます。
灰色のラバードームをdeskeysのラバードームに換装するのが今回の目的ですね。
※グリスアップをする場合は
分解したついでにグリスアップをしようと考えているならば、この段階でグリスを塗布します。
グリスアップの方法はこちらの「HHKBのグリスアップ【その1:グリスは必要か?】」をご覧ください。
オリジナルのラバードームは若干の粘着性で基盤に張り付いています。
ラバードームの下にはバネが入っています(写真3)。乱暴に持ち上げるとバネが飛んでいってしまうためピンセットで一枚一枚慎重に剥がしていきます。
取り外したバネはきちんとトレーに保管しましょう。
(2)ラバードームの交換
いよいよdeskeysのラバードームの登場です。
購入したdekeys のラバードームを設置していくのですが、これらは写真6のようにカバー側(キー軸)へ設置します。
先ほどオリジナルのラバードームを剥がしたときには基盤にくっついていたため、新しいラバードームも写真7の様に基盤に載せなければならないと考えるかもしれませんが、それではズレてしまい作動不良を招きます。
繰り返しますが、写真7は誤った載せ方です。写真6の様にカバー側(キー軸)に載せてください。
deskeys のラバードームは4個1組になっています。写真8のようにハサミで簡単に切り離せますので適宜切り分けて全てのキーに設置します。
ラバードームの設置時に気をつけなければならないのがスペースキーと左シフトキーです。
写真9はスペースキーのアップですが、よく見るとラバードームの向きが他と違うことが分かりますね。切り欠きが上下を向いています。取り付けるときはこの向きになるようにしてください。左シフトキーも同様です。
写真10は基板を外した直後のラバードームです。赤丸で囲っている場所がスペースキーと左シフトキーです。オリジナルでもこの2キーの向きが異なっていることがわかります。
バネが足りない?!
バネを設置していくと途中でバネが足りないという状況になるかもしれません。
ああ、部屋中を大捜索しなければ……
いえ、ちょっと待ってください。
設置したバネをよく見てみましょう。ひょっとしたらひとつのキーにふたつのバネを設置していませんか?
バネは細いため、二つのバネが重なっていてもよく見ないと気付きにくいのです。
もしバネの数が足りない場合はまずそれを疑ってみましょう。
(3)混載
写真11は私が設置したラバードームのパターンです。
私の場合は、全てのキーをdeskeysの35gラバードームに換装しているのではなく、一部のキーではオリジナル(45g)をそのまま利用しています。理由は誤タップの防止です。
30gの押下圧では、指を軽く置いただけでキーが沈んで入力されるのですが、オリジナルの重いキーは指を置いた程度ではキーが沈みません。これにより誤タップが減らせるのです。
皆さんは好みに応じて適宜入れ替えてください。もちろん全てを換装するのも良い選択です。
あるいは、deskeysのサイトでもっと重たいラバードームを購入するのも選択肢の一つでしょう。
(4)組み立て
ラバードームを設置し終えたら、あとは逆の手順で組み立てるだけです。
基板を被せ、ネジ止めし、ケーブルを繋げるまでは問題ないでしょう。
ただし、カバーを被せるときは少し慎重になってください。
上下のカバーの構造は手前(スペースキー側)から閉じるようになっています(写真12)。
写真13のようにスペースキー側にツメがあって、この爪で上下のカバーが噛み合うようになっています。写真12のようにツメが正しく噛み合うと、上下のカバーは手で押さえなくてもピタッと閉まります。
もし、手で押さえてないと閉まらない場合は手前のツメが正しく噛み合っていません。力任せに閉じようとするとカバーを割ってしまいます。
カバーが正しく閉まれば、裏面のネジを締める前にテストをしましょう。
この時、電池を入れたりUSBケーブルを挿してはいけません。無電源状態でテストします。
全てのキー軸を綿棒などで軽く押下します。キートップを装着する必要はありません。黒いキー軸を押してください。
もしラバードームが正しく設置されていなかった場合は押下した感触が異なるはずです。特に、底打ち感がない場合はラバーの端をケースが噛んでいる可能性があります。
問題なければ裏面のネジをしっかりと締めます。
そして、キートップを嵌める前にもう一度入力テストしましょう。今度はHHKBをPCに接続して電源を入れ、全てのキーを押下し画面に正しく表示されるかを確認します。
動作確認が終ればキートップをはめて作業完了、となるのですが、キートップをはめる前に2つできることがあります。
1.グリスアップ
2.天板の穴を塞ぐ
この2点です。これらはそれぞれ別ページに記します。
キートップをはめて全てのキーが正常に入力できることを確認したら全作業完了です。
お疲れ様でした!
(5)結果
作業の結果、押下圧はいくつになったのでしょうか?
測定の結果、私のHHKBの押下圧は29gでした。
検証方法と測定結果はこちらのページをご覧ください。
【その4:分解編】へ戻る | 【その6:結果検証編】へ進む
【補足】
こちらのnoteでは、株式会社PFU製のHappy Hacking Keyboardの改造方法と、改造のための分解方法等を解説しています。
このnoteに記された改造等を行う前には必ずこちらの免責事項をお読みください。
オリジナルのHHKBの押下圧は45gですが、私の場合は、押下圧を30gに低減するためにdeskeys.io というサイトのラバードーム(des-dome V2 rounder-bke style)を用いました。
deskeys は怪しいサイトですので利用をためらう方も多いと思い、私が実際にdeskeys を利用して購入した状況もこちらで解説しています。
また、私は利用していませんが、deskeysはREALFORCEの静音化リングやCHERRY MXスイッチ(軸)と互換性のあるアイテムも販売していますので、それらに興味がある方にとっても参考になるかもしれません。
REALFORCEシリーズのキーボードは、HHKBと同じ静電容量無接点方式を採用していますのでリアルフォースの静音化、押下圧低減などの改造にもこのブログが参考になるかもしれません。
皆様の快適なキーボードライフに当noteが貢献できたならば幸いです。
このnoteは令和5年10月に書きました。商品や部品の情報などは初回投稿時以降に更新していません。