500年前に描かれたケモノ
菩提寺の雲洞庵。
新潟県魚沼市にひっそりと佇むそのお寺は、わたしの父が幼少の頃は子どもたちの遊び場のうちの1つだったそうだ。
10年前、大河ドラマ「天地人」が放映された。
その時に直江兼続が幼少の頃に過ごした土地である、この新潟県魚沼市が注目され、一気に観光地へと化した。
直江兼続公が幼い頃の役が、当時一躍お茶の間の人気者となった加藤清史郎くん。
魚沼の人たちは、今もあの当時の加藤清史郎君のことが可愛くて仕方がないようで、街のいたるところに、チビッコ直江兼続の名残が残されている。
前置きが長くなったが雲洞庵は、そんな直江兼続公が小さな頃に実際に過ごしたお寺だ。
そんな雲洞庵にある「宝物殿」。
その中に、何やら目を引く絵画を見つけた。
犬なのか。、タヌキなのか。。。それとも…?
多分犬だろう。
わたしはこの絵を見てとてもびっくりした。
なぜかというと、現代でも「かわいい」とされる基本的な価値基準を満たしているような気がしたからだ。
丸っこくて、小さめで、目がくりくりしていて、毛並みがふわふわしていて、口元がキュと丸みを帯びつつふくふくしているその姿。
2019年のいま、わたしが見ても「かわいい」と思える。
しかし、この当時の人はというと…
基本的にみんな浮世絵。
男女問わずうりざね顔に細い目で描かれていて、お世辞にも「かわいい」とは思えないのだ。
人間の姿はこの500年で良いとされる条件も描かれ方も変化している。そして何より、価値基準が変化していて「良いとされる器量」がほぼ通用しないのに、犬ときたらこいつは…
500年前に描かれたケモノは、今見ても
めっちゃかわいい!!
と思えるのがすごい。
ケモノ(犬や猫)の可愛さは、この先500年もきっと変わることなく愛されるだろう。な。
と思った。