隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)
久万高原町出身の全国区の有名人というと、残念ながらほぼ皆無といっていいと思います。あえて上げるとするなら初代『仮面ライダー』を演じた俳優の藤岡弘さんでしょうか。
ただ彼の場合はお父さんが警察官で、久万高原町東明神の派出所勤務だったため、転勤でに引っ越してきて、小学生時代を過ごしたということです。
他にいないかなと調べていると、いました、いました。しかも全国区が一人、いや一匹というべきでしょう。
それは「隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)」です。
この名前を聞いてもぴんとこない人もいるかと思いますが、たぶんほとんどの人は、一度や二度はこの名前を耳にしているはずです。
ジブリ映画作品の『平成狸合戦ぽんぽこ』で、新興住宅地の多摩ニュータウンに、神通力によって百鬼夜行を具現化させた後、力尽きて死んでしまったあの狸です。
他にも『ゲゲゲの鬼太郎』や『ぬらりひょんの孫』などの妖怪物のアニメにも多数ゲスト出演しています。
知る人ぞ知る超有名狸なのです。
隠神刑部とは
隠神刑部(いぬがみぎょうぶ)は、伊予国松山(愛媛県松山市)に伝わる化け狸で、『証城寺の狸囃子』『分福茶釜』と並んで日本三大狸話の一つに数えられる『松山騒動八百八狸物語』に登場する神通力をもつ狸です。
『松山騒動八百八狸物語』について、他にもネットに上がっている話の概要を追ってみると、勧善懲悪ものの単純なおとぎ話ではなく、本筋は善悪入り乱れた非常にリアリティのある話だと分かりました。
「乗っ取り」だの「ハニートラップ」だの、何やら物語の中の登場人物や松山藩の状況が、現在日本のおかれている状況に酷似しているなと思い、もっと詳細を知りたくなり、出版物になっていないかなと色々探しましたが、古本も含めて販売されているものはありませんでした。
ネットでいろいろ検索するうち、国立国会図書館に講談本として『奇談松山八百八狸』がデジタル化されて残っているものがありましたので、早速ダウンロードしてみました。
出版が明治29年ということで、仮名遣いも現代語とはちがい、印刷状態もよくありませんが、目下兄の協力を得て随意現代語訳中です。
完成しましたら、note に上げてみたいと思います。
この物語の中のお家騒動というのは、実は江戸時代に実際にあった「久万山騒動」というのにヒントをえているそうです。隠神刑部も久万山の岩屋生まれということで、原作者もなにか久万山に関係のある人だったのかな?
「久万」つながりということで、「久万山騒動」も追って記事にしてみたいと思っています。
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