サンタさんからのプレゼント
はじめまして。
The Child's Eyeのメンバー
ミロティーチャーのMITSUKOです。
25年間 おもに小学校で教師をしてきて、
今は『いのちの話』を幼児さんから大学生までを対象にお話ししています。
こちらでは、教師をしていたときの体験から知ったことを中心に記事にしていきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
もうすぐ2学期も終わりますね。
今年はコロナ禍の影響で学校で過ごす時間が減った上に、ソーシャルディスタンスを取った学校生活で、先生や子ども同士でのコミュニケーションが少なかったのではないでしょうか。
オンライン授業も盛んに行われたことにより、「学校に行かなくてもよくなるのじゃないか」という声を耳にするたびに、かつて実感した学校の役目や楽しさを思い出していました。
学校は「体験して知る場」で、それは学習内容だけではありません。
生活の仕方やルール、友だちのこと、自分のこともです。
様々な家庭で育った子どもたちが集って、それぞれが身に着けている考え方ややり方を無邪気に出し合っているのですから、毎日新しいものでいっぱいです。
まるで才能という宝の山のような「学校」で、相手から自分の盲点を知るという視点が使えると、
だれでもコミュニケーションが楽しくなり、自然に上達していっちゃいます。
どうですか? なんだかワクワクしてきませんか!
さらには、視点から思いも寄らなかった本当の自分を知っていくことができるのです。
学校が極上のテーマパークのような場所になったら、子どもも大人も幸せですよね。
今日は、ミロスと出合ったたった一日で、担任したクラス(2年生)で起こった出来事から知ったことを綴ろうと思います。
それは、もうすぐ冬休みという頃のこと。
12月といえば、クリスマス! クリスマスといえば、子どもたちが待ちに待っているサンタさんからのプレゼント!
私は子どもたちはどんなプレゼントを待っているのかを保護者面談で親御さんにお伝えできると思い、子どもたちにサンタさんへの手紙を書いてもらいました。
ゲームがほしい
映画を観に行きたい
家族で旅行したい など
いろいろな思いが書かれた中で、拙い文字で綴られてあるカードに目も心も釘付けになりました。
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サンタさんへ
ぼくは、まだ、かぞくみんなでゆきがっせんをしたことがありません
ゆきをいっぱいふらしてください
ゆきがっせんがしたいです
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これがサンタさんへの唯一のお願い!?と言いたくなるほど純な願いで、
胸の奥から熱いものがこみ上げて来て、家族で楽しく雪合戦をしているAくんが鮮明に目に浮かびました。
自覚があろうとなかろうと、常に大人は子どもたちに何かがもっとできるようにしてあげたい、ほしがっている何かを与えたいとなりますよね。
それが、なんと、子どもたちも同じ気持ちだったのです!
子どもたちもいつも家族と自分を一番大事にしていることが、この文からすごく伝わって来ました。
感動しますよね。
幼さの奥に宿っている子どもの精神性の高さをいかに深く理解していくかは本当に大事なことなのです! なぜなら、本来の自分を知ることができるからです。
そのためには、まず子どもの話しに興味を持って聴くとよいですね。
例えば、「えっ」とひっかかったところには自分も思ったことがないかを思い出したり、詳しく聞いてみたりするとか。また、わくわくしたところには「それいいね!」「うん、うん」として伝えるとか。
自分の気持ちをそのまま話すこともですね。
子どもたちにとっても、きっとこれが一番嬉しいことだと思うのです。
さて、サンタさんへの手紙のお話の続きですが、
早速Aくんに了解を得て、クラスの子どもたちの前でAくんの書いたお手紙を読み上げると、
私と同じくAくんの純粋さに心を打たれたBくんが、突然立ち上がって、
「雪降れ!雪降れ!」
と叫んで踊り出したのでした。
その声に合わせて周りの子たちも嬉しそうに立ち上がり、
あっという間に男子7人が円陣を組んで
「雪降れ!雪降れ!わっしょい!わっしょい!」
と言って円をぐるぐる回りながら楽しそうに踊り、ほかの子たちも手拍子を打ち掛け声を合わせて、心一つになっていきました。
このストレートさ、素直さ
目の前に広がる子どもたちの純粋さにもの凄く感動し、それが私の中にある純粋さと共鳴したとき、
「先生もおいで!一緒に祈ろうや!」
と、子どもたちにまるで友だちのように声をかけられ——。
すごいですね、子どものもともと持っている感知能力の鋭さ!
子どもたちが初めての場で初対面の子とあっという間に仲良くなるところなど、このアンテナが生かされているのかもしれませんね。
そうなると、私はきっと輪の中に入りたくてたまらなかったということになるのですが、
しかし、その瞬間、私は泣き出し、
「私はだめ!私が入ったら、せっかっく叶う願いも叶わなくなっちゃう。
みんなは純粋だから、みんなが願えば絶対に実現する。
だけど、私は、長く生きてきた間に、心が真っ黒になっちゃったの。
せっかく真っ白できれいなみんなの願いに私が入ったら、混ざってねずみ色になっちゃう。」
と言っていたのでした。
初めて自分の中の大きな不安、罪悪感や自己嫌悪でいっぱいな気持ちを人前で吐き出しました。
Bくんは、それを聞いて、
「何を言いよるん!自分を信じぃ!先生、いつもぼくらに言いよるじゃん。
『自分を信じぃ』って。
自分を信じい!
どうしても信じれんのんなら、ぼくらのことは信じれるやろ。
なら、ぼくらが言いよるんやから。大丈夫やけぇ、信じぃ。」
と、笑顔ながらも真剣に語りかけてくれました。
一人の想いがどんどん広がって、みんなで「信じぃ!」と。
いつもおとなしくて気弱な女の子までも、私の顔を見て嬉しそうに「信じぃ」と言って、コロコロ笑っていました。
このクラスを担任する2年前、この小学校に着任して直ぐに学級崩壊を経験した私は、ひどく混乱して「この子なんか来なかったらいいのに!」「子どもはもう嫌いだ!」「どうして学級崩壊したんだろう」ばかり思っていました。
その後、新しいクラスになっても教師としての歓びも楽しさもわからなくなったままで、何も感じない自分に自信なんて持てず、ただ子どもたちの力になりたい一心で教職を続けていました。
教師としての自信が微塵もなかった自分・・・・・
楽しみたさにダメだとブレーキをかける自分・・・・・
片方を選ぶともう片方が同時に湧いてきて、不安で仕方なかったのでした。
そんな私のことを子どもたちは丸ごと受け入れて「自分を信じていいよ」と言い続けていました。
あのときはまだ解っていませんでしたが、
私がどれほど嬉しかったかを、目の前の女の子がコロコロ笑って見せていました。
私が自分のことをどれほど受け入れていたか、子どもたちが見せてくれていました。
弱さも強さも
不安も自信も
苦しさも愛しさも感じられている
この私でいい!
子どもたちのひと言ひと言に、自分の中の不安や罪悪感、自己嫌悪の不信感が涙とともに自然に溶けて消えていきました。
その日の晩、この出来事を母に話したところ、
「いい子どもたちね。聴いてもらえて嬉しかったね。話せてよかったね。」
と言われたのでした。
『学校の先生なんだから、言葉遣いや行動はきちんとすべし』が母の教えだと思っていたので少し驚きましたが、母もこれまでずっと話しを聴いてほしかったんだなぁと思いました。
そして、どんな自分も「これでいいよ」と言われたかったし、言いたかったんだと思うと、
母の言葉が胸の奥に浸み入って、熱くなりました。
どんなに深く傷つき、自信を持てずにもがいても、
それを隠さず素直に言えたとき、必ず理解者が現れます。
自分を理解して言えた同じ分だけ、相手からも鏡のように同じに理解されています。
子どもは、言葉でなく感覚で感じるので、
どんな言葉を並べて言おうが、核心を返してくれます——
そして、冬休み。
クリスマスイブの晩から街には例年よりずいぶん早く雪が降り。しかもそれが記録的な降雪量で。
子どもたちの「信じる力」は現実化しました!!!
Aくんから届いた年賀状には、大きな雪だるまとAくんが並んだ写真と
「クリスマスにゆきがふって、みんなでゆきがっせんをしました。」
という大きな文字がありました。
サンタさんからのプレゼントは、
~みんなでつくる歓び~
でした☆
聞きたかった言葉はいつもちゃんと届けられますね。
コロナ禍により学校現場は日々変わる対応を求められ、先生方は大変なご苦労をしていることと思います。
かつて私も国公立学校で勤務した経験があるから解るのですが、どんなに大変な時があっても教師を続けられるのは、「子どもたちがいるから」なのです。
純粋であるがままの子どもたちと引き合っている教師の純粋さに、いつも感謝しています。