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No.11 クラーベを反転させる

クラーベの向きは曲が一度スタートしたら途中で変わることはありません。
でも、ラテン音楽を聴いていると「途中でクラーベの向きが逆になる!」というのを耳にすることがあると思います。
これは
奇数小節のフレーズを入れてクラーべを反転させています。

具体的には…
全てが偶数小節でできている曲を2-3クラーベではじめたら、
最後まで2-3クラーベのままです。
でも、曲の途中に奇数小節でのフレーズがあったらその次の小節からは3サイドが先に聞こえてそこからは3-2クラーベに変わるというわけです。ちょっとこう文字で書いていてもわかりにくいので、
実際の曲で例示していきます。
ラテン・ジャズのスタンダード
みんな大好き「Maria Cervantes」です。

この曲はテーマ部分は3-2なのですが、モントゥーノというかソロの部分の手前で奇数小節をはさんで2-3クラーベになっています。

①まず、イントロテーマとだーっとありますので
2:33位から聴いてみて下さい。
3-2クラーベが鳴っているのがわかると思います。
②2:47の部分に1小節のキメがありここが奇数小節になっています。
③2:49〜のモントゥーノに入ると2-3クラーベになります。
④4:57〜ソロが終わりヴィブラフォンでトゥンバオを弾いて。
⑤5:05〜でキメからの1小節ブレイクして奇数小節をはさむ。
⑥5:07〜再び3-2クラーベになって後テーマを弾く
というような流れになっています。
このような感じでテーマが3-2クラーベで奇数小節を挟んで、
モントゥーノは2-3クラーベという手法は頻繁に用いられます。
クラーベについて記載した記事でも書きましたが、
3-2クラーベは落ち着いたフィール、2-3クラーベは前に進むようなフィールがありますのでモントゥーノでガツンと盛り上げようというような時にはもってこいなアレンジな訳です。
譜面を確認するとわかりやすいとは思うものの、
面倒だったのでMaria Cervantesについては譜面は省略。
Latin Real Bookを買ってそこに掲載されている譜面を確認してみましょう。
もう1曲。
今度は譜面を眺めながらクラーベを叩いて確認してみましょう。
"Bilongo"というSonの定番曲です。
色々なアレンジがあるのですがこの動画のバージョンはかなり頻繁にクラーベが逆さになっています。

この曲のCoro-Cantaのところまで簡単なコード譜をあげてみましたので、これを追いかけながら確認してみましょう。
さっきのMaria Cervantesと違ってクラベスがなっていないのでわかりにくいかしら…?

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①まず3-2クラーベで曲がスタートします。
イントロの終わりに1小節奇数小節を入れてクラーベが反転。
②歌が入ったAセクションからは2-3クラーベでスタート。
管楽器のリフ後に最後1小節のブレイクが入りここが奇数小節となりクラーベが反転。
③0:40〜 Bセクションは3-2クラーベでスタート。
Bセクションが7小節と奇数小節で構成されているので再びクラーベが反転。
④0:49〜 Cセクションは2-3クラーベでスタート。
⑤1:13〜 Cセクションの終わりでブレイクが入ってここで奇数小節が入ってクラーベが反転。
⑥1:14〜 Dセクションは3-2クラーベでスタート。
このセクションも7小節と奇数小節で構成されているのでクラーベが反転。
⑦1:23〜 Coro-Cantaが2-3でスタート。
というように、目まぐるしく毎セクション奇数小節を入れ込みクラーベが反転しています。
とはいえ、曲の始まりからクラーベを止まらずそのまま進ませていけばずれたりはしないわけです。
前述した通り、クラーベは曲がスタートしたら決して止まらず刻まれ続けます。
2サイドが2回連続するとか、3サイドが2回連続するみたいなことはありません。
そこで、このように曲のアレンジ上で奇数小節を挟んでクラーベを逆転させるという手法を用いるわけです。
これを演奏前に確認しておくとちょっと安心して演奏できますね。
ただ、こう書いておいてなんなのですが…
このルールに則っておらず奇数小節を挟んだわけでもないのに、突然クラーベが逆転しているという例外的な手法を使っている曲も案外存在します…
曲のメロディーなどなどの都合でその方がよい場合もあるので、
そういうった場合には例外的な手法で用いることもあるようです。
クラーベディレクションにこだわるあまりに、曲の価値を損なわせてしまうようでは本末転倒ですからね〜。
まあ、そういう曲に遭遇することも時にはあるかもしれません。
ただ、クラーベを間違ったサイドで演奏することはやっぱりダメです。


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城戸英行
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