第61回 マンション防災を考えよう
小規模マンションでの防災活動と管理組合
皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。
前回、マンションの防災を担う組織について管理組合、理事会、防災委員会、自治会等の場合を考えましたが、今回は、同じマンションでも小規模のマンションでの防災活動について考えていきます。
なぜ「小規模マンション」を限定して取り上げるかという点について説明します。
マンション管理組合の理事会はほとんどが毎年の理事会メンバーを持ち回りで担当するのですが、大型マンションでは戸数が多いので、一度理事会メンバーの年を経ると、次にその順番が回ってくるのは、ともすると20年後1になるなど、サイクルが非常に空く形になります。
ところが小規模なマンションでは次の順番は数年後、戸数によっては2~3年ごとに理事会メンバーになってしまうという事態が生じます。
戸数が少ないマンションはコンパクトで立地が良い場合も多くあり、また管理組合での意思統一が図りやすいなどの良い面もありますが、やはり数年ごとに理事を担当するのは負担になってしまいます。
最近ではこれを解消するために第三者管理者方式の導入など、負担軽減の方策を取るところも出てきていますが、また別の課題が生じるなど、なかなか難しいものがあります。
そのようなマンションでの防災活動はどうするのでしょうか。
理事会では負担が大きく面倒を増やすことになるのでできない、でも防災委員会を結成して実行するほどのメンバーもマンションにはいない、一般的によほどの高級マンションでないと小規模マンションは働いている世代が多く居住しているのでリタイア組の活動もそれほどない、ましては自治会を結成するなどもしていない、など防災活動を行える状況ではないと思われます。
しかし、やはり「防災活動は必要だ」との認識は居住者にもあるので、そこにジレンマ、悩みが生じます。これはどうやって解決するのでしょうか。
一つの提案として以下のような手立てがあることも検討いただいてはいかがでしょうか。
マンションの防災活動で必要なことの中で、命を守る事、被災生活の食料やその他消耗品は個人(各戸)でそろえる事になるので、そこは告知をよくすることとして、管理組合、全体で必要なこととして、安否確認、救助・援助の体制、マンション内状況の共有、避難所への支援物資の確保要請、周辺地域の被害情報や行政からの情報入手、管理会社との連携、その他情報の共有があります。
そしてこれらは物理的に必要なものではなく、情報として共有することが主となります。
そこで、このような情報を共有できるシステムなどを導入し、平時から熱心な活動を手間ヒマかけてしなくてもいいような体制を取っておくことで解決につながります。
現在、マンション専用として開発された「ゆいぽた」というサービスが注目されています。
災害時だけ安否や情報を共有できるので普段からめんどくさい関係にならず、災害時には役位に立ち、操作もシンプルなので普段は防災訓練時に使っておくだけでいざという時も使えます。
居住者の負担が少ないので、理事会で何か活動を続けなければならないということも無いので、実際にそのような理由で導入されている小規模マンションも多数あります。
なぜ特別に商品名を出すかというと、そこまで考えられたマンション専用のサービスが現状では他にないからなのです。
是非一度検索してみて、検討してみてはいかがでしょうか。
今回はここまでです。
次回ですが、この1月に発生した能登半島地震に関連して、水の確保についての問い合わせご相談が結構ありましたので、マンションの水の確保について少し考えたいと思います。
また次回以降も引き続きご覧いただければ幸いです。
マンション防災研究所 所長 城戸 学
マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。