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第46回 マンション防災を考えよう

マンション防災の全体像4

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという共同住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今日は、これまで考えてきましたマンション防災の考え方のまとめ4として、管理組合の備えについてまとめていきましょう。

前回までにまとめたマンション居住者の宅内の備えとは別に、管理組合での備えはマンション全体での命、資産価値、被災生活を守ることを念頭に考えなければいけません。
そのため、いくつかの分類と、個人(各戸)との区別をして考えることが必要です。
大きくは以下の4つに分類されると思います。
防災の準備として必要な要素は、ある団体が「ハード、ソフト、ハート」と提唱していますが、それは「備蓄・組織・意識」だと思っています。そして、私はそのソフトの中の「情報」というものを特別なものとして取り出し、3+1の準備として考えています。

<1>備蓄
個人(各戸)での備蓄とは分けて、マンション全体で必要になる資機材を中心に準備が必要です。食料・水、災害用トイレ、カセットコンロの三種の神器を中心としたものは各戸での備蓄を促し(そのためにもマンション全体での意識を持つことが必要ですね)、全体では個人で持つことが資金的、物理的にも難しいものを中心に揃えます。例えば発電機、要配慮者等の避難用階段降下器具、マンホールトイレ、投光器、資機材運搬用リヤカーなどです。
各マンションの立地や建物、環境に合わせて考えて揃えていきましょう。

<2>組織
管理組合という組織は分譲マンションでは必ずありますが、その組織で防災活動まで担うのは理事役員の負担が大きくなる、防災にはある程度の専門知識があった方がいいなどの状況、条件もありますので、管理組合の下部組織として防災委員会を組織する、区分所有者ではなく居住者の組織として自治会を組織して(町内会との棲み分けは注意が必要ですが)防災活動を担うこと場合があります。
また、防災準備として、その組織を中心に災害時の組織(災害対策本部)とその仕組み、災害時活動の内容を取り決めていくということが必要になります。

<3>意識
防災活動は必要だと思っている個人が行うものではなく、組織として必要な活動として行うものなので、その構成員には協力する意識、そもそも防災活動の必要性があるという意識が必要です。そのために、防災を担う組織は、平時から防災活動の必要性、活動の内容、災害時の行動などについて啓発活動を行うことが必要です。これは、ともすると防災活動そのものよりも大切なものである可能性が高いと、私は考えています。なぜなら、防災の意識が高くなれば、ほぼ自動的に準備をしなければならないという考えにならざるを得ないからです。
そのためにも災害が発生する可能性や、その時に特にマンションはどうなってしまうのかを想像する、可能性のあるその姿を示すことで、(恐怖心を単にあおるのではなく)正しく理解して、準備が必要だと思ってもらえることが大切だと思います。

<4>情報
人が何かを判断するとき、自分の中にある情報を基に決めます。これは大切な大きな判断ではなくても、例えば道のどっち側を歩こうとか、今日のお昼ご飯は何を食べようかな、なども同じです。持っている情報を集め、その情報を基にしてどっちが有利なのか、得なのか、しなければならないのか、しなくても良いのか、などの判断をします。災害時には、命を守る、資産を守る、生活を守るために、さまざまな場面で「判断する」「決める」ことが必要になります。その時、何も情報が無ければ判断することができません。それほど情報は重要なものなのです。だから、デマなどの情報が混じると判断を誤る、判断ができないということになってしまう可能性が高まります。したがって、正確な信頼できる情報を多く集めることが必要になるのです。
マンション小防災活動を行うにあたり、どんな情報を、誰が誰から入手し、どのように使うのかを考えて準備をすることが必要です。

今回はここまでです。次回はいま出てきた<4>情報について、今までの一般的な防災活動にはあまり出て来ない内容なので、少しだけ補足したいと思います。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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