第79回 マンション防災を考えよう
マンション防災の評価 各自治体の評価制度2
皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。
前回、マンション防災の二つの評価制度以外の各自治体の評価制度について、東京都が実施しているマンションの防災に関する評価制度「東京とどまるマンション」について考えてみました。
今回は、神奈川県横浜市のマンションの防災に関する評価制度を見てみましょう。
横浜市には、「よこはま防災力向上マンション認定制度」というものがあります。
この認定制度の内容としては、マンションの建物全体への対策を対象として「ハード認定」、防災活動などの実施などを対象とした「ソフト認定」の2つで構成され、それぞれに地域との連携がとられている場合は+(プラス)認証が設定されています。
横浜市の認定制度は、その認定を取得しようとする管理組合への支援として行っている施策として、「マンション防災アドバイザーの派遣」があります。これは、マンションの防災対策に関する知識や経験を持つ専門家、団体等から、原則として年度5回(2年まで)、1回3時間、アドバイザーを派遣し、防災組織の検討からマニュアル制作、訓練、備蓄、地域連携、浸水対策その他の検討にアドバイスしてもらえるというものです。
また、ハード+(ハードプラス)認定を受けた建築物で、地域の防災力向上に資する施設を設ける場合に容積率を緩和する許可制度などもあります。
このような制度は、認定を取得する行動をとるだけで防災に関する専門家の力を借りて整備が進むという、よく考えられた制度だと思いますし、行政がちゃんと防災力を高めてほしいという意図も感じられるので、単に「行政として防災を主導しなければ」というお題目だけで予算化したのではないと思える制度ですね。
横浜市HP
https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/bousaimansion.html
以上、首都圏で代表的な大都市、東京都、横浜市を見てみましたが、その他の自治体でも評価制度、認定制度を独自に設定しているところがありますので、ご自宅マンションの所在地の自治体の制度を調べてみましょう。
ちなみに、このような評価、認定に限らず自主防災組織の結成、届出で補助金、助成金があるところは多いですし、また地域コミュニティ、地域連携、自治会コミュニティなどの活動資金という名目で助成金制度があり、防災備蓄品の購入や安否確認・情報共有サービスの導入費に充てられるものもありますので、そのような方向でも探してみましょう。
この評価制度、認定制度を利用することは、マンションの名誉として表示ができるという対外的な効果はどれだけあるかは不明確な部分がありますが、評価を得る、認定を取得する作業の行程において、マンション内の役員などかかわった組織の方、区分所有者、住民の皆様に共通の目標が設定されることや、共同作業をすることでの一体感、防災意識の維持向上にもつながりますので、一概に「別に役に立たないでしょ」と判断してしまわず、何ができるか、だれとできるか、どのようにできるかなどを検討してみると良いと思います。
せっかく補助金などがもらえるのであれば、使わない手はないですね。
今回はここまでです。次回は、また少し動きがあったマンションの第三者管理と防災について考えてみたいと思います。またよろしくお願いいたします。
マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学
マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。