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第84回 マンション防災を考えよう

要配慮者、傷病者の避難対策

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。
このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

今回は要配慮者、傷病者の避難対策です。
マンションでは避難所に行かず、マンション内での在宅避難が前提で、管理組合での祖手記的な防災活動の中で被災生活を送ることになります。その際に要配慮者やけが人、病気の人はどうすればいいのでしょうか。けがなどもなく普通に移動などができるようでしたらマンション内で生活し、備蓄資器材を運び、宅内で調理などをして食事をし、トイレは災害用トイレを使え、水や食料の追加調達のために外出もできます。
ところが要配慮者の方は、その配慮されなければならない原因にもよりますが階段を使ったマンション内の移動もできない場合があります。また、ケガをしてしまった方への対応や、コロナ禍以降は感染症を含む疾病患者の扱いも課題として取り上げられるようになりました。

地震など災害が発生すると、マンション内で安否確認を行います。その際に要配慮者、けが人などがいるか、どの程度の人数なのか、状態は、などの情報が入ってきますので、災害対策本部で集約することになります。

まず要配慮者ですが、そのまま自宅内でいられるようでしたら、ある程度の期間はそのままでもいいでしょう。その後、状況によっては下層階(1階)に設けられている場合が多い集会室などを利用して、集まって過ごしていただくことも検討が必要です。集会室は災害対策本部が設置されるという想定のところも多いのですが、その場合は部屋内を分けるか、その他の施設を利用するかなどを事前に考えておきます。
そして事前に各自治体の地域防災計画で福祉避難所の設置場所、入所方法などを確認しておき、そちらに移動してもらうことも一つの方法として検討しておきます。
いずれにしてもマンション内で階段の移動などがあるので、その方法も検討が必要です。最近は一人で運ぶことができる階段輸送用の機器なども発売されているので、そのようなものを購入することも一つの手段です。

次にケガ人ですが、ケガの程度により応急手当で大丈夫そうな場合は管理組合で用意しておいた救急箱などで対応します。居住者の中で医療介護関係のお仕事に従事されている方などを事前に把握しておき、協力を得ることも手段として検討します。
重傷の場合などは、これも事前に地域の拠点病院を確認しておき、そこまで運びます。

注意としてほとんどの自治体では町の開業医などは災害時に開院せず、地域の拠点病院に召集がかかるなどの対応をするため、近くの病院が対応できない場合もあることを理解しておきましょう。また、マンション内居住者の医療介護関係に従事されている方も召集されて不在になる場合があるので、これも注意が必要です。

さて、疾病の患者さんですが、一番難しい課題です。基本的には自宅内でとどまっていただくことが前提となるのですが、マンション内で感染が広まってしまった場合などは、隔離部屋を作るなどの対応が必要になる場合があります。但し、学校を利用する避難所と違い、教室ごとに分けて使用するなどができないため、よほどの場合でなければ、やはり医師の指示に従うことが必要になりますので、これもやはり拠点病院との連携が必要です。さらに、発災後すぐにはできませんが、医薬品の手配も考えなければいけません。薬を切らさずに飲まなければならない病気の場合は、備蓄として多めに持っておくことと併せ、発災後の入手経路を確認しておきたいところです。

いずれにして難しい課題なので、自際に現場での臨機応変な対応が求められることが多く、どこまでを事前に想定しておくかも、居住者のリストと突き合わせて検討しましょう。

今日はここまでです。
次回から少し、マンション防災の計画準備をするにあたっての考え方を整理したいと思います。
またよろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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