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第52回 マンション防災を考えよう

マンション防災と第三者管理4

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

前回は「第三者管理方式(管理者管理方式)」のデメリットについて、さらに「防災」視点でのデメリットについて考えました。

前回の「防災上のデメリット」を整理しましょう。
ベースになるのは、マンション内コミュニティ活動の衰退、管理組合活動への参加意識の希薄化です。
その状態で災害が発生した場合には、
・コミュニティが衰退することで互いに助け合う「共助」への意識が無くなる。
・共有資産であるマンションの維持管理、資産価値の維持向上の意識が低く、災害時の組織的防災活
動への参加が無くなる。
・管理者(理事長)、理事役員がマンション内にいないため、災害時に組織的な防災活動を主導する、
リーダーになる担当者がいなくなる。

さてこのような防災上のデメリット=リスクをどのようにして解消するのがいいのでしょうか。
第三者管理(管理者管理)形式を避けることができない場合、最低限でも以下のようなことを考え、工夫して導入することを検討すべきだと考えます。

一つは、有志による「防災組織の結成」です。
第三者管理を導入するということは、実際にはマンション居住者が高齢化して役員のなり手が無い、新築時より導入されていてそのようなマンション内活動が無い、という場合がほとんどですが、防災活動を担う組織だけは自主的に行っておく必要があります。
また最低限の防災マニュアルの整備、管理組合備蓄資機材の購入などはしておいた方がいいでしょう。
現在は国や各自治体が推奨している「自主防災組織」を結成しておけばほとんどの自治体では毎年の補助金、助成金の精度が整備されていることもあり、居住者の組織を組成して登録しておくだけで、災害時に備える最低限は準備ができる可能性があります。
ただし、本来は義務付けられている消防訓練、それに加えての防災訓練を実施することも大変重要であることには変わりありません。これには管理会社の協力も必要なところがありますので、第三者管理方式を担っている管理会社に相談をしてみるのもよろしいかと思います。

もう一つ、重要なのは「災害時だけでも使える情報共有のしくみ」を構築することです。
このシリーズでも話を繰り返ししていますが、マンション居住者は災害時には共助による在宅避難が基本になりますが、どうしても必要になるのが連絡手段です。互いに連絡を取り合う、情報を共有する手段を、「災害時だけ使う」状態でも準備しておくことで、必要な情報を必要な時に、互いに助け合うために重要な手段となります。
ただし、第三者管理を導入している場合には平時の活動が無くなってしまう場合がほとんどなので、このようなシステム、ツール、サービスが公式に導入されていること、またその使用方法を周知しておくことも必要です。

<マンション専用情報共有サービス>
マンション居住者専用に開発された災害時の情報共有サービスとして、災害共助SNS『ゆいぽた』というものが存在します。他の安否確認サービスとは一線を画したマンションで必要な機能がそろっているので、ぜひ一度検索してみてください。

本日はここまでです。ここまで数回にわたり第三者管理(管理者管理)方式について、一般的な考え方、メリットデメリットと、防災上のリスクと解決策について考えてきました。
次回は、少しマンション管理規約と防災について考えていきます。

今回もお読みいただきありがとうございました。また次回以降もご覧いただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

マンション防災研究所 所長 城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングのご依頼をおまちしております。よろしくお願い申し上げます。

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