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第64回 マンション防災を考えよう

マンション防災の組織体制

皆様こんにちは。マンション防災研究所の城戸です。

このマンション防災を考えようのシリーズでは、マンションという集合住宅では戸建てとは違ったさまざまな設備や管理運営の仕組みがあることから、一般的な地域防災とは別の考え方が必要になる内容も多いため、「マンション防災」としての考え方をいろいろと考えています。

これまでも数回、マンションの防災活動を担う組織について考えてきましたが、防災活動をする際にはもう一つ大切な組織を考えなければいけません。それは、災害時の活動組織です。

これはマンションで防災活動を始めたとき、始めようとしたときに事前に考え方を整理をして方針を決めておくことが大切なのですが、事前の準備や体制を整える、居住者への啓発活動、防災訓練を計画実行する組織として始めるのか、それとも災害発生時にもその組織メンバーが中心となって災害対策本部(以後、略して災対本部)活動を行うのかということです。

これまでも災対本部というのは、事前に決めていた役員などの人員が発災時にマンション内にいない可能性があるので、組織の形・役割だけ決めておき、その時マンション内にいた人で組織を組んで
活動するということが基本だと言ってきています。
一方で、過去に私が防災活動に関わったマンションでは、事前準備活動(防災委員会など)のメンバーがそのまま災対本部を組織するという考え方を持っているところが少なからずありました。
これは、防災委員会や自主防災会等の事前準備組織のメンバーがすでに会社を定年退職、引退した方々が中心となって組織されている場合に非常に多くあります。少子高齢化が進んだ日本ではマンション居住者の年齢も高くなっています。新築マンションでこれから防災活動を始めようという場合はそのメンバーも30~50代と現役世代が多く、いざという時には勤務先にいる可能性が高いですが、既存マンションの場合は、その築年数によってはリタイア組が中心となるケースが多いのです。
もちろん災害発生時にマンション内にいる可能性が高いという点では頭ごなしにダメだということではありません。むしろ、準備段階からその内容に精通しているということもあるので良いことだと思います。ただし注意しなければならないのは、筋力体力が若い世代とは違いますので、その点を考慮して無理をしない活動内容にすることが求められるということです。いずれにしても発災時にはマンションにいた皆さんでの共助活動になるので、互いにカバーをしながら動くことが前提ですが。

ちなみにですが、災対本部メンバーが急遽その場にいる人で結成される場合は勿論のこと、ある程度固定メンバーでスタートする場合も、やはりFirst Mission Boxを用意しておいた方が良いと思います。First Mission Box(またはFirst Action Box)というのは、災害発生時に誰もが災対本部や各階の安否確認と報告集計、資機材搬出などの詳細な方法を習得しているわけではないので、最初から順番に「すること」をまとめて、解りやすい指示が書いてある紙などを箱にまとめておくものです。これを災対本部集合場所や各階・ブロックごとの集合場所に設置しておくことで、だれでもすぐに行動を行っていくことができます。
誰でもわかるようにということは、「●●を倉庫から出す」のような指示が1枚の紙(厚紙などで)に指示が一つだけ書いてあり、その場所もわかりやすく書いてあることが必要です。指示が一つでも、「単に倉庫から出す」と言っても倉庫の場所や鍵のありか、倉庫内のどこに置いてあるか、どれだけ持ってくるかなどの情報も無いと、結局誰かに聞く、相談する、その場で決めるなどの手間や無駄、組織の混乱が生じることになるので、注意が必要です。

このような災対本部結成とその考え方に沿った活動指示の準備を決めておくことが必要だとうことを十分に認識して、準備を始めましょう。

今回はここまでです。
次回ですが、特別に時事的な話題が無ければ、特に最近のマンションでhア必要になる外国人対応について少し考えたいと思います。

また次回以降も引き続きご覧いただければ幸いです。

マンション防災研究所 所長
防災士 福祉住環境コーディネーター
城戸 学

マンションに限らず防災関連のセミナーや講演、コンサルティングなどのご依頼をお待ちしております。よろしくお願い申し上げます。

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