うたとえ2023「来シ方ノ」及川恒平
作詞・及川恒平 作曲・太田惠資
演奏・ペーパーランド
(歌とギター/及川恒平 ベース/幸田実 コーラス/Gavilinker )
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1
仰ぐでもなく空の在り 捜さざりとも人の居り
言わずもがなのことなれど 胸の裡にて独り言つ
悪路に喘ぐ日々の先 いずこに辿り着くのやら
夢としりつつみる夢に 終の住処をみつけるや
2
仰ぐでもなく空の在り 捜さざりとも人の居り
ジリに溺れた街灯り 迷えば此処も衝き中り
飢えて塗れて漸くに ひとを知らずと心づく
顔も姿も鮮やかに 憶えたままで見失う
3
闇に横たう風のごと 茜の夢の果てとして
ふわり目醒めし暮れ六つの 部屋の隅こそいとおしき
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「来シ方ノ」は、発想してからここに載せるまでに、
「うたとえ」の中で一番時間がかかった。
それだけ楽しむ時間が長かったともいえる。
太田くんの作曲と録音が私に届いてから、
曲調とは違和感のある歌詞の手直しを始めた。
あまり自分の書いた曲以外を歌い慣れていない私としては、
その練習が始まった。
しかも構造がしっかりした曲なので、
私のいい加減な歌い方は通じにくかった。
その後も他の事情で発表に至らずにいるうちに、
じつは曲想を私自身に近づける編曲をはじめてしまった。
その歌とギターのみの録音に太田くんのヴァイオリンを絡めて欲しかった。
いや、
歌のみを残してヴァイオリンとのみの編曲でも問題ないとおもつていた。
そしてーー
尚も時が過ぎて他の音をすこしずつ加えたり、
歌詞を変えたりして、
今回の形になってしまった。
つまり、
太田くんの演奏とのコラボはまだ未完で残ったままなのだ。
みなさん、「来シ方ノ」其の二、ご期待ください。
歌詞について少し説明したい。
「昭和だな」という言い回しが流行っているが、
多分この言葉の持っているニュアンスを私の気分に変換すると、
「明治は遠くなりにけり」だろうか。
1948年生まれのぼくにとって半世紀前とは19世紀なのだ。
そんなわけで、
私にとっての「ショーワ」な古い言い回しの歌詞にした。