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遠野郷八幡宮~妖怪の里の八幡さま~
今回は、柳田国男の『遠野物語』の舞台である岩手県遠野市にある遠野郷八幡宮を紹介したい。
八幡宮の由緒は詳らかではないものの、文治5(1189)年の奥州合戦の戦功により、源頼朝から遠野郷を賜わった阿曽沼氏の氏神として、阿曽沼氏の居城(横田城)の鬼門である東北の方角に八幡宮を祀ったことに始まるという。
江戸時代になると、阿曾沼氏に代わって八戸から南部直栄が転封され、遠野の領主になる。八幡宮は南部氏の氏神でもあったため、南部氏からの崇敬も篤く、寛文元(1661)年に現在地に遷座した。
昭和25年に八幡神社から現在の「遠野郷八幡宮」に社名を改め、出雲大社の分霊を合祀し、現在は五柱の神々を祀っている。
早速参拝。第1駐車場からすぐのところに、立派な両部鳥居がある。
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手水舎にはカッパがいた。さすが妖怪の里。
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参道の途中には、流鏑馬で使用される馬場があった。遠野郷八幡宮では、毎年9月に、南部師行(南部家4代目当主)が建武2(1335)年に創始した遠野南部流鏑馬(遠野市無形文化財)が奉納されるそうだ。
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ちょうど紅葉の時期だったため、紅葉と朱塗りの拝殿が綺麗だった。
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拝殿の横には十二支社(12の干支を祀る社)と稲荷社などの境内社がある。
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この遠野郷八幡宮は、『遠野物語』と関わりのある神社で、第110話に登場するゴンゲサマ(権現様)がいる。
ゴンゲサマというは、神楽舞の組ごとに一つずつ備われる木彫の像にして、獅子頭とよく似て少しく異なれり。甚だ御利生のあるものなり。新張の八幡社の神楽組のゴンゲサマと、土淵村字五日市の神楽組のゴンゲサマと、かつて途中にて争いをなせしことあり。新張のゴンゲサマ負けて片耳を失いたりとて今もなし。毎年村々を舞いてあるく故、これを見知らぬ者なし。ゴンゲサマの霊験はことに火伏にあり。右の八幡の神楽組かつて附馬牛村に行きて日暮れ宿を取り兼ねしに、ある貧しき者の家にて快くこれを泊めて、五升枡を伏せてその上にゴンゲサマを座え置き、人々は伏したりしに、夜中にがつがつと物を噛む音のするに驚きて起きてみれば、軒端に火の燃えつきてありしを、桝の上なるゴンゲサマ飛び上り飛び上りして火を喰い消してありしなりと。子どもの頭を病む者など、よくゴンゲサマを頼み、その病を噛みてもらうことあり。
ゴンゲサマは神楽舞で使用される木彫りの像のことで、獅子頭とよく似ているが、似て非なるもの。火伏に霊験があると言われている。『遠野物語』には、火事を未然に防いだ話が載っている。
なお、御朱印は参道入口の鳥居横にある社務所でいただける。
見開きの御朱印や季節限定の御朱印など、様々な御朱印が用意されていた。今回は季節の御朱印(11月)をいただいた。
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ちなみに、平成28年に参拝した際にいただいた御朱印はこちら。
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【所在地】岩手県遠野市松崎町白岩23-19
【祭神】少彦名神、大国主神、譽田別尊、事代主神、御年神
【駐車場】第1~3駐車場あり