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僕がhiphopを聴く理由

僕はワルとは真逆ですが、hiphopが好きです。

発祥した1970年代から50年経ち、日本でも徐々にhiphopブームを感じます。

その中でも大きな人気を誇るのは、本場アメリカから輸入した様なタイプのノリやすく、己のかっこよさを前面に押し出したタイプのHIPHOPだなと思います。
ジャンルでいうならば、TRAPと言われるタイプのHIPHOPがここ4,5年全盛期になりました。

僕はTRAPが嫌いではありませんが、TRAPにしか出会えてなかったら、ちょっとしたブームとしてでしかhiphopを聴かなかったのかなと思います。

hiphopにはflexといって自分の得た名声、富を歌詞に落として自慢する文化があります。これは、貧困であったり差別であったりと日の目を浴びなかった人たちにとって、ある種の存在証明でもあった訳です。

一方、全くワルでもなく、育ちも普通、人から怒られる事が嫌いでビビリな僕はラッパー達の内省を感じられるリリックにくらいます。僕がHIPHOPを生涯聴き続けるのだろうなと感じるのはこの様なタイプのHIPHOPがあるからです。

バックグラウンドはラッパーによって様々ですが、それぞれが己を顧みて、押し出さずとも心の中の熱い想いを吐き出すラップをされると自分も頑張ろうと思えます。

その中で今年僕がくらったhiphopを2つほど紹介したいと思います。

OMSB「大衆」

7年ぶりのアルバム、ALONEから大衆。

友達 単純にクエスチョンなんで黒いの?
シンプルな一小説 今もよく覚えてる
根に持っちゃないよ 覚えてるだけ
なぜ皆んなと違う? なぜ皆んなと違う?

中2の夏女子たちは一つ何かを越えた
エミネムの話題で盛り上がったあの子と比べると少し自分がまだ子供に思えた。
不貞腐れ家に帰りまたエミネムを聴く

ティーンエイジの暮れ 仲間ができた
わかんねーやつにもわからせにきた
SIMI LAB なんたってみんなオリジナル
捨てたもんじゃねえな 俺のままでいいんだ
でも、人は増えるほど 見る向きは違う
1人の身軽さ 俺は浮き足立つ

このように、人との違いを見つめ直した上で

早く走るあいつより好きな走り方
大丈夫遅くても進んでいればいいから

誰にもなれないし自分の普通をやる毎日
仲間はずれじゃなくてそこに居なかっただけ。だろ?

です。様々な思いや葛藤を越えて、人生は素晴らしいと言い切るOMSBの半生と寛大さを詰め込んだ一曲は間違いなくHIPHOP史に残る一曲です。

LIBRO「64bars」

redbullの螺旋と並ぶ恒例企画である64bars。2022年の9月、SweetWilliamの哀愁漂うJazz風のトラックに乗せたのはLIBRO。

直接的な表現は少ないものも、どこか力強いメッセージと言葉遊びにくらいました。何より、LIBROの言葉は情景がはっきり伝わります。

都内某所は朝から猛暑で
時空が溶けていくスローモーションで
ラジオからジャニスのサマータイム
日陰のタイルで猫ちゃん腹這い

まだ宿題が終わんない自由帳
トンボでグランドならす球場
アドバルーンが屋上から浮上
記憶と言葉のイリュージョン

めちゃくちゃ韻踏みながらこんなに簡潔に情景を落とし込めるのがすごすぎる。

その流れのまま
アラームが鳴り止まない
ずっと鳴り止まない
起きないと本当の夢が始まらない
もう間に合わないは似合わない
のパンチライン。油を売らずに行動しなければ、と思わされます。

OMSBさんもLIBROさんも自分を俯瞰して内省しているのが伝わるリリック。その上にラップ自体がめちゃくちゃ上手いし、韻も踏みすぎ。

こんなHIPHOPを聴くと心の内から活力が湧いてきます。

曲なのでしばらく聞かなくなる時期が来るんだろうけど、ふと沈んだ時に聴きたくなった時にまたくらわされるんだろうなと思う。

寄り添ってくれて、優しくもあるがどこか力強いラップ。僕を助けてくれています。

皆さんもよければ聴いてみてください。





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