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ゼノブレイド3 ネタバレ全開 クリア後感想③

■良かった点


①ランツのサイドストーリー


ランツは、かつてヨランを守れなかったという後悔から、誰よりも仲間を守れる兵士であろうとし続けたキャラクターだ。屈強な外見とは裏腹に、その内面には仲間への思いやりと繊細さがある。

戦うことだけ考えていられたのは楽だった、という率直な気持ちを吐露する。ここは、この世界に生きる一人の兵士としての悲哀と困惑を示すシーンとして良かった。一方で、シティーには大道芸人という職業があり、人を楽しませることが自分の仕事と語る男性の姿に、ランツは衝撃を受ける。生まれてから戦うことが生の意味であり、兵士としての生き方しか知らないランツには知らない生き方だったから。

ノアの語る、選べる自由のある未来を、実はランツは想像できていない。ヨランを死なせてしまった、というサバイバーズギルトを抱える、ランツというキャラクターが自由に生きるという意味を探し始めるきっかけとなる。キャククターを掘り下げてうまみを出す、お手本のようなサイドストーリーであり、本作の評価されるべき点と思う。


②ミオのサイドストーリー というかシャナイア(弱者)の物語


シャナイアは、本来は絵が好きな内気な少女だったが、名家の呪縛に囚われた母親からの虐待によって兵士の道を選ばされた。理解ある父親の死により、母親からの呪いを一心に受けた悲運の子供である。呪いに縛られて自分の内心を殺し、恵まれたる者であるゴンドウへの嫉妬、更に主人公達によってウロボロスとなれる可能性すら奪われた、この世界の被害者である。

シティーには職業選択の自由が残されている。彼女は必ずしも兵士の道を選ぶ必要は無かったが、彼女は自分自身の意思でその自由を行使することが出来なかった。母親からの虐待を日常的に受け続け、劣等感にさいなまれ続けていた彼女の精神状態はとっくに病人であり、先天的強者であるゴンドウはそれに気づくことが出来ない。(ここにこの二人の決定的なすれ違いがある。セナは彼女に近しいものの、ミオというメンターに既に救われているし、毒親がいなかった)
説得がその死の最後の瞬間まで通じないのは当然だ。エヌと同様にすでに彼女も心を壊されているから。

それでも、自由があったことは事実なのだ。もっとも、人は自由をうまく使いこなせない。自身の生まれ持ったものが弱いと嘆き、自分自身以外に原因を求める。シャナイアは、この自由を使いこなせない我々の弱さを表現したアバターなのだと思う。

・・・と、とても本作のテーマを凝縮したキャラクターのはず・・・なのだが、どうも首尾一貫しない。

自分自身の望むものが手に入らない悲惨な現世に絶望し、例え10年の生であったとしても、自由の牢獄に閉じ込められるよりも、無限に自分として再生されてやり直しの機会を得られるほうがマシだ、と彼女は語っていた。
これはかつてのノア達のように、アイオニオンの民として生まれ直すことを、どう考えても指しているように思うし、少なくとも私はシンプルにそう受け取っていた。

だが、蓋を開けてみると、なんとメビウスになっている。
しかもセナのサイドストーリーにのみ登場する怪人Sとして、である。これは飛躍、というよりも、シャナイアを敵役として再登場させるためだけの乱暴な話運びでは? と言われてもしょうがないと思うのだ。

メビウスになること自体はXに勧誘されたからというのはわかるが、メビウスになるんだったら「あたし超強いメビウスになるからあんたらよりもずっとすごい存在になるんだ」という主張になってしまい、ノア達が目指す未来に対するアンチテーゼになっていない。

更に、英雄ゲルニカ・ヴァンダムの孫、長老モニカ・ヴァンダムの娘として、恵まれた立場+恵まれた才能で生まれてきたゴンドウとの対比はわかるのだが、ミオとの対比はそこと比べると一歩弱い。セナのサイドストーリーというより、メインに据え置くべき話を強引に切り離した印象が強いのも残念な点ではある。

③ミオのサイドストーリー ミヤビの物語



垂れ目のミヤビかわいい。チェインアタックのカット好き。
失礼。
優秀な兵士であり、エリート志向だったミオが前線から外されて、劣等生と見下していたミヤビとの
出会いで「命をおくること」の意味を知る、文句のないプロットである。
「ミオちゃんうまいすごい」に「そういうのいいから」でばっさり切るあの会話シーン、まさに嫌いな人間に
対する態度という感じで、ミオの当時の人間性を垣間見せる良いシーンだと思う。この頃のほうが人間・・・。


だが、お得意の「想いを届けるんだ!」で、ミヤビだけ記憶を取り戻させる展開はさすがに強引ではないだろうか。カムナビとムンバとハクトは記憶を失わせたまま放置なのに。同じように三人に対しても笛吹いてやれよ!と思うんだが違うのだろうか。(カムナビの覚醒クエストにまだたどり着いていないが、これちゃんと語られるんだろうか)

また、この時のミオがなぜ前線にいることにこだわるのか?も、一つ理由付けがあると若き日の過ちとして
更に奥行きのある話になってよかったと思う。なぜ当時の軍務長がミオをおくりびとに据えたのかの理由も含めて。

④リクとマナナ


かわいい。すこ。
……失礼。
リクはこれまでの一見お気楽な仲間ノポンとは異なり、主人公のある種のメンター(助言者)としての立ち位置に据えられているのが本作の面白いポイントの一つだ。

職人気質なリクは言葉を選ばない。遠慮がちなノアに変わりその胸に秘めているであろうことをずばすばと語る。良くも悪くも、リクは人や感情ではなく「事実」に忠実であることを選ぶ性格なのだろう。衝突は多いが、その率直さに好感を抱く者も少なくないだろう。

これに対してどこまでも欲求に忠実で無垢なマナナがリクの嫌味を中和しており、本作の中でも実は随一のグッドパートナーだ。(ユーニとタイオンもいい線いってるが、あと少し運命力が足りない)
一方で、リクにはまだまだ語られていない謎も多い。DLCに期待しよう。

しかしPTメンバーのクラスをヤムスミスのままでストーリーを進めることは推奨しない。もじゃもじゃ被ったままめちゃくちゃシリアス+長っっいカットシーンに突入することになる。あやうくお茶吹きかけた。

■なぜそうしてしまったんですか選手権

①メビウスとウロボロスに関する説明不足

インタリンクのデザインはそれぞれ特色があり、少し不気味さとかっこよさの混合で良いデザインだと思う。
危険性を秘めた力として、あえて相似形として作られているのは間違いない。
また、ウロボロス誕生秘話をDLCでやる可能性は大だと思う。

だが、そうなった経緯は話さないまでも、なぜそうなのかは作中で言及があっても良いはず。
声の合成を含めて不気味さを秘めるなら、その理由をきちんとユーザーに伝えて納得させる仕組みがあって然るべきだった。世のレビューを見ても、生物的で不気味という印象で止まったユーザーも多い。

個人的にはノアのデサインがヴェルトールに似てて、最初の変身の瞬間は胸熱だった。あの時の純粋な気持ちに戻りたい・・・。

②”終の剣”とはいったい何だったのか?

終と書いてオリジンと読む。その意味のわからん中二病は置いておくとして、おそらく多くのユーザーの疑問を残したポイントだろう。

・オリジンの構造材がなぜ火時計を壊せる特別な材質なのか
・ってかオリジンと同じ材料だからオリジンの剣だったんかい
・オリジンの剣とはラッキーセブンのことを指しているのか?
 なら何故エヌにゼットはオリジンの剣を持つものよ~みたいな投げかけをしていたのか?
・リクの師匠は何故こんなやばいもん持っていたのか?
・リクとは何者か?

時計をぶっ壊すもの、運命を斬るもの、みたいな意味をくっつけたのかもしれないが、消化不良になっているポイントの一つではある。
DLCで語ってくれることを期待。
(この本編の根幹に関わる説明不足をDLCで補う形式は全く関心しない。語ることが出来なかったわけではないのは明らかだからだ。が、エキスパンションパス買ってしまってるので、どうか私の不信と怒りをぶっ壊す超絶傑作であってくれることを切に願う)

③エヌとエム周りの物語のすべて


力尽きたので次回。本当にここは勿体ないだらけ。

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