ら、
ぼくらはそれを、韻律の奥に記憶する。
la rhapsodie.
上階からピアノの失敗ばかり降りてくる部屋で
僕はなにも悲しくない。
時間は、生クリームを少しずつ液体にする機械。
僕は息を殺して、立体額縁の中におたまじゃくしのいない譜面を飾る。
Allegro moderato(in a frozen sweet room or gelato.)
景観を伴わない窓。トイレに詰まった涙。
冷蔵庫に置き去りの花束とコインロッカーベイビー。
ピリオドまみれの詩。ただの指輪。
すべてが瞼の裏に書かれている。
押さえる強さで少女だとわかる。
八小節の延長線上になめらかな黒鍵を積み上げてゆく間、
苺のないショートケーキが皿からずり落ちてゆく。
バイバイ、こんにちは。
君がここにいないおかげで、
僕はこんなに幸せ。
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