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「料理のことを書く。食べることを書く。」

大根を皮ごと乱切りにして、大きめのボールに入れ、塩をひとつまみ。
ボールを両手で持って、ザッザッザとあおる。全体に塩がまわり、そのうち大根の水分がボールの底にたまる、ざるに上げる。
油を熱して大根を6分くらい揚げる。表面がうっすら色づくくらい。
(大根の皮がプクッと膨らんですごくかわいい)
トマト乱切り、長葱斜め千切り、フェンネルシード、ナンプラーを和える。ここに揚げたての大根を揚がった側からどんどん放り込む。
味がしみ込むまでしばらく。

大根のトマト和えの出来上がり。

               ⚪︎


茄子はへたを切り落とし、真っ二つに切る。それを縦に半分。
塩水にさらし、しばらく。水気を軽く手でしぼりながら、大きめのボールに入れる。
茄子に片栗粉を振りかけて、ボールをザッザッザとあおる。
(片栗粉の感触が苦手で素手で扱うと鳥肌が)
茄子を高温でどんどん揚げていく。
(くっつくので、箸でそっとはがしながら)
醤油、味醂、塩、出汁を煮立たせておき、ここに揚がった茄子を放り込む。
いんげんも素揚げする。
仕上げに白すり胡麻をたっぷり和える。
(黒すり胡麻でもいい)

茄子といんげんの出汁胡麻和えの出来上がり。

               ⚪︎

青パパイヤはなるべく細く千切りにする。水にさらしてざるに上げる。
(貝印のスライサーがいい仕事をしてくれる)
米酢、きび糖、ナンプラー、唐辛子、レモングラスオイルを合わせておく。
パパイヤとちりめんじゃこを上記の合わせ調味料で和える。

野菜パパイヤのじゃこ和えの出来上がり。


                                             ⚪︎

島豆腐を網にのせ、下にバットをしき、重しをのせ、しっかり水気をきる。
(一晩置くと、予想以上の水が出ている)
ボールには、豆腐、干し椎茸の粗みじん切り(戻し汁は他の料理に使おう)玉ねぎみじん切り、人参千切り、おろした山芋。
片栗粉、醤油、塩。
よく混ぜる。(山芋がかゆくなる方は手袋を)

平たい丸に形成し、きつね色に揚げる。
おろし生姜を添えて、がんもどきの出来上がり。

                ⚪︎

料理のことを記すとき、わたしは普段よりずっと慎重になる。
とて、その作り方はおおまかで調味料の分量すら無記載だけども、だいぶん几帳面に書いている。
それはたぶん、「なりわい」としている分野だからだろう。
反対に、「なりわい」ではないこと、例えば子どものこととか猫のこと、音楽や占星術、手相などはかなりお気楽で制約がないぶん、ときに軽口を叩いて自爆する。
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友達が店に来た。
開口一番、「今夜、水餃子を作ろうと思ってるんだけど、薄力粉しかないから、強力粉を分けて欲しいんだけど」と。
なるほど、薄力粉と強力粉を合わせて使いたいんだね。
薄力粉と同じ量の強力粉を用意してあげた。
「ここで皮をこねてもいい?」
ちょうどそのとき、店はめちゃめちゃ暇だったので快諾した。
せっかくだから、ワインでも飲みながらやろう!って。
ボールを出したら、彼女はさっそく粉やら水やらを投入してこね始めた。
彼女の手は大きい。おまけに指がすごく反り上がっていて、指の可動域がすごく広い。
「わたしけっこう粉仕事得意なんだよね。チャパティもいっとき主食かってくらい作ってたし」
そのあいだにお客さんがぱらぱらと来て、「なにが始まるの?!」とびっくりされた。そりゃそうだ。店内のテーブルで粉まみれ。おまけに、「彼女の家の今夜の夕飯の水餃子をここで」作っているのだ。
実に愉快。公私混同、面目ない。でも来る人来る人みんな知り合いばかりで助かる。

すっかりなめらかになった生地をタッパーに詰めて寝かせる。
そのあいだに肉餡を作る。

肉は豚肩ロースのかたまりを買ってきたようで、それをフードプロセッサーで粗挽きにする。(ていうか、「してくれ」と笑)
刻んだ花韮、すりおろした玉ねぎと生姜、塩、醤油、オイスターソース。
粘り気が出るまでしっかりとぐるぐる混ぜる。
ちょびっと指でつまみ味見すると、「え!今、生で食べた?!」と、どよめかれたが、それくらいの量ではぜんぜん平気だしこの段階で味を見ないとわからないではないか。(推奨はしませんが)
               
この後の工程は、「包む」と「茹でる」。
包み方のコツは、空気を入れないようにすることと、破れないくらいの生地の厚みにすること。上手にかつ手早く包めるようになるには、場数を踏むしかない。
茹で時間は7分程度で、茹で汁には塩を効かせること。

結局、ここでみんなで食べた。

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山羊汁用の山羊肉ぶつ切り沖縄県産を、来沖している友達が買って来た。
「ぜひ焼いて食べてみたい」と。
部位はほとんどが骨付きで、あとは臓物と皮も混じっていた。
全部をボールに入れて、クミンと花椒とチリペッパー、にんにくオイル、玉葱糀で下味。
「クミンで食べたいな、って思ってた!夢が叶った!」と友達は実に満足げである。それはよかった。

潤ちゃんが、炭火でちりちりと終始、面倒を見ながら焼いてくれた。
夢の山羊肉に喰らい付いた友達は、「うんめぇ」と言った。骨をちゅーちゅー吸う姿に、原始の人間を見た。
大型肉食動物が食べ残した肉片を、中型動物が食べて、最後のおこぼれを(骨髄なんてまさにそれ)頂く我ら人間。
の傍に、犬(コザ)、そして猫(バンビ、真葛、ドナタ)もいる。
みんなで山羊に貪る行為は、いっそうの連帯感をつよめる。
ウッホウッホ。







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