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「北海道、東川」

北の住まい設計社」さんで、自著(『カレー、ときどき水餃子』)の重版記念イベントをさせていただきました。
盟友でもあるcahatのお誘いなので、たのしいに違いありません。
カレー本の編集者、赤澤かおりさんも同行となれば、当イベントのタイトルは「どうにかなるさ」に決定。

だって、ほとんど未踏の地である北海道です。
寒さにめっぽう弱いですとか、いつか鮭の遡上を見たいですとか、熊とか北狐とかモロコシじゃがいも、すなわちぜんぜん知らなんだ。

旭川空港からレンタカーに乗って、望む風景はただただ雄大でした。
空気はすこーんと澄み渡り、青い空はどこまでも突き抜け、遠くにはそびえる山々群。
どこはかとなく初冬の那須高原を思い出し、そうしたらたちまち郷愁が湧き上がり、今はなき実家、黒磯にたましいだけひとっ飛び。で、山栗拾って戻ってきました(妄想)

イベントでは、北すまさん(『北の住まい設計社』を略してそう呼ぶらしい)がカレー本を参考に、併設されている素敵なカフェでカレープレートをいちにち限定で提供してくださったり、潤ちゃんのチャイとビスケットの屋台、インド帰りで充実したcahatの布屋台、加えて、地元のタイ少数民族ごはん屋台やアジア雑貨店など、カレーにちなんだ出店がとにかく和気あいあい。
いらしてくださったお客さんは北欧のカゴ率高しで(東川はラトヴィアと姉妹都市だとか)まるで森の妖精のようでした。

白樺、きのこ、おんこの実、でかいどんぐり。紅葉した落葉樹のおおきな葉を踏むとかさかさ乾いた音を立てる!
頑丈な二重窓や山と積まれた薪の蓄えに冬の厳しさを垣間見ては、その厳しさをも凌駕する美しさに魅せられた人々のこころの芯に背筋が伸びる想い。

わたしは瓶詰めの販売と、本を買ってくださった方に手相鑑定。
30冊売れたので、約30名の手を。
みなさんほとんど手相ビギナーのようで、カレーを通して手相の面白さをお伝え出来たらなにより。なかにはわたしの手とすごく近しい手があって内心「おお」と、どよめいたり。
ちなみに今回、手相での火地風水分類では水の手が少なく、地、火、その次に風の順で多かったのは土地柄かも知れないなーと。(沖縄は水と風が多い)

水といえば、東川は上水道がないのだそう。雪解け水が長い長い年月を経て地下に浸み込みそれを水源としているので、とにかくつめたくてすごく美味しい。咲いたばかりの花のような瑞々しさはどんどん身体に浸透するよう。この水が蛇口から出てくるなんて奇跡!
なので、ことある度に思い出すことにしよう。温泉の、サウナ後の水風呂の体感を。現地で慌てて買ったモンベルの厚手タイツと共に。

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こうして今、どこか遠くへ行って帰ってくると、つくづくどうしてわたしはここに居るのかと不思議な感じが湧き上がる。併せて「家」の持つ求心力のつよさも。
「ここ」だと自分で決めたことは確かなことですが、でも神さまが「今世において島で暮らすことを課し与える」と下した気がしてならないのです。
足下の地面に磁石のようにペタリと引き寄せられつつも、且ついつまでも余所者であるということを受容したバランスで。

現在、ここがわたし(たち)にとって、中心でもあり同時に瀬戸際でもある。

そんなふうに感じた北への旅でした。





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