いつの間にかリトルトゥースだった俺、星野源に救われる。
いやリトルトゥースじゃねえか
2024年2月18日、「オードリーのオールナイトニッポン in 東京ドーム」開催。
東京ドーム、全国の劇場でのライブビューイング、そして配信による同時視聴者数の合計は驚異の16万人。ラジオというニッチなメディアのイベントとして類を見ない規模のものであり、大袈裟でもなんでもなく歴史に名を残す一大イベントに、俺は参加できなかった。
今回のイベントにおける東京ドームの定員は5万3,000人。若林さんのnoteによると、4次選考の時点で累積抽選申込者数は19万人にも登ったらしい。
これほど応募が殺到することは本人達も予想しておらず、落選した腹いせに当選者を攻撃するつまらない輩や、チケットを転売する不届き者が現れたりもした。
かく言う僕も全ての選考に落選し、残るは早い者勝ちのチケット争奪戦か劇場でのライブビューイングか、あるいはデジタル生配信のみとなった。
それでも気持ちが離れることはなく、相変わらず毎週ラジオを聴き続けた。しかし、ちょっと今はラジオ聴くのしんどいかも…という人の気持ちも分からないではなかった。僕はせいぜい1年くらいしかラジオを聴いていないから落選してもショックが小さいのだろう。15年も続いている番組だから古参リスナーはそうもいかないかもしれないと思ったからだ。
結局、ライブビューイングに行くほどの勇気もなく自宅で配信を見ようと思っていたが、バイト先の塾がテスト期間に入ってしまった。
いつもの僕なら1日くらい休みをもらって配信を見ていたかもしれないが、塾には武道館ライブの頃からのリトルトゥースの後輩がいて、その子も抜けるとなるとややシフトが厳しくなりそうではあった。
そこで僕は遠慮してしまった。自分はまだ1年ちょっとしか聴いていないからと出勤に丸をつけたのだ。
2月18日、勤務を終えて肛門じゃねえXを見ると、リトルトゥース達の多幸感に溢れるポストが大量に投稿されていた。マジで東京ドームでラジオやったらしい。フワちゃんと春日さんがプロレスしたらしい。源さんが来て若林さんと歌ったらしい。春日さんのゲレンデが滅茶苦茶にされたらしい。マジで本当に超面白かったらしい。
どうやら俺はリトルトゥースだったらしい。
心の底から後悔した。今までどっちを選んだ方が楽しいかという基準で生きてきたのに、なぜか遠慮が先行してしまった。しかもよりによって毎週聴き続けたラジオのイベントの日に。
なぜ落選しても気持ちが離れなかったのかようやく分かった。聴かないとやってけないほど楽しみにしていたからだ。もうお前はとっくにリトルトゥースだったのだ。
星野源、大好きだ。
ラジオを聴きたくなかった。絶対に東京ドームの話をするから。しない方がかっこいいとか言ってひと笑い取ってから絶対するから。すごく面白いだろうに素直に笑えるか分からない。内輪の外に弾き出された、いや、自分から出て行ってしまったような気分になるのが嫌だった。
いきなりオードリーのラジオを聴いたら後悔で吐血するかもしれない。僕はオードリーのオールナイトニッポンの他に星野源のオールナイトニッポンも毎週聴いている。ゲストで出演した源さんのラジオならなんとか聴けるかもしれないと思えたのは、タイムフリーで聴ける1週間の期限ギリギリになってからだった。
火曜日の夕方、塾まで歩きながら星野源のオールナイトニッポンを再生する。
「しない方がかっこいいんでしょ?おかしくない?ラジオ界(笑)」
案の定オープニングトークで源さんが東京ドームライブの話をしていた。でもなんだろう、思ったより辛くない。むしろようやくあるべき形に心が戻っていく感じがする。
「僕の主題歌が発表された時に、星野源のファンが来たら俺達が入れないじゃないかと言ってらっしゃる方がいたんですよ」
「自分のファンが責められる可能性は、悲しいし嫌なので潰しときたいなと思って、それで僕は出ませんよという話をしたんです」
どうやら当時は本当にスケジュールが空いてなかったので何一つ嘘はついていないのだが、結果的に出られるようになったので丁寧にその釈明をしていた。まあ、星野源出てんじゃねえかなんて文句を言うファンはいないと思うが、そういうファンがいないのは源さんのこういう心遣いがいつもあるからなのだろうなと思った。
「あ、ごめんちなみに、今言った僕たちが行けないじゃないかって人達を責めるつもりじゃないです。それ普通にそう思って当然だと思うから」
「僕がリアルイベントをやれないって思ってるのはそれなんですよ。ラジオリスナーだった時に、リアルイベントをやるってラジオが言った時に、自分が行けないってことの辛さをもう、歯茎から血が出るほど悔しいっていう、その思いを俺はもう中高の時に超実感してるので」
歩きながら涙が出た。様々な事情により行きたかったのに行けなかった人、見たかったのに見られなかった人、そういう人達をひっくるめて、源さんは行けないことの辛さは俺も知ってると言ってくれた。ただそれだけのことが、僕の中でどうしても整理がつかなかった後悔をいとも簡単に溶かしてくれた。
いつの間にかリトルトゥースだった俺は、およそ1週間遅れの源さんのラジオに救われた。
今回に限らず、僕はしばしば星野源の音楽に、言葉に、存在に救われてきた。しかも、おそらく星野源は誰かを救いたいとかあんまり思っていない。そこが良い。
なんて男だ、星野源。大好きだ(キモい)。
星野源もラジオのイベント行けなくて歯茎から血を流したことがあるんだな。そう思うと、今回の失敗も糧にできそうな気がした。
後日、おかげで大変気楽にオードリーのオールナイトニッポンを聴くことができた。やっぱり面白くて最高にトゥースだった。もし20周年の時にイベントがあれば、その時こそは行けたらいいなと思う。
あと、源さんがライブの映像をソフト化してくれって3回くらい言ってくれていた。星野さんやっちゃってくださいよ。ニッポン放送のエラい人達に圧かけちゃってくださいよ。
いや、マジでお願いします。お金なら出します。なにとぞ、ひとつよしなに。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?