栞(しおり)。と別れの歌。
前の記事のつづき。
音楽の長さとか、そういうことを考えようとしてふと、もういっこ本について思うことがあったのでそっち書きます。
栞。
しおり。
新刊本や新潮社の文庫本にはヒモの栞がついてますよね。僕、あれ大好きなんです。
はじめて本を開いたときの、あの栞のしゃきーんとしている感!
あるとこまで読んで、そうそう、ってちょいと栞を進める感!
読みながら寝てしまい、翌日、栞を頼りに最後に読んだページを捜索して、「うわー俺きのう1ページで落ちてる」感!
たまらんですね。
もちろん紙とか竹の栞も大好きです。
栞
世の中には変わった人もいて、ある本を読み終わったとしますね。すると、読了した証として一番最後のページに栞を挟む人がいるらしいんです。
「はい読んだよ」
って儀式なのでしょう。
それはそれでとても美しい風習なのですが、とりあえず僕は違います。
読み終わったらそれでおしまい。
「ふー、おもしろかったー」とそのまま本を閉じます。
栞のことなんかもう気にも止めない。そして本棚へしまう。
するとどうなるかというと、家の本棚には、『最後から数ページ(本によっては数十ページ)の場所に栞が挟まれたままの本』だけがたくさん眠ることになるんです。
あるときふと、僕はこのことに気づいて、栞たちがとても愛おしくなりました。
最後まで読まれてしまったゆえに、もう縁もゆかりもない場所に挟まれっぱなしの栞たちよ。
なんかこれって、別れてしまった二人の写真とかに似てません?
別に写真に限らなくて、想い出でもいいんですが。
別れる前、あるタイミングまでは二人は仲良くて、いろいろ写真が残ってるのに、最後の数週間だか数ヶ月だか、その期間の写真はもうないんです。
その最後の写真を撮ったとき、それは特に重要なイベントじゃなかったかも知れない。たまたま撮っただけ。クライマックスも特別な演出もない写真。
でもそれが二人で撮った最後の写真になっちゃうんです。
本当の結末はもっと後にあるのに、その少し前で時間が止まったまま。
特に意味のないページに挟まれたまま棚に眠る栞みたいに。
これ、いつか歌詞にしようと思ってるんだけど、うまくできないっす。
まだまだっす。
頑張るっす。
(2012.2.11のアメブロ記事より移植)