第46回朝日アマ将棋名人戦振り返り
超・かまいたち戦法!
これを引っ提げ九州大会から全国大会を制覇、やがて朝日オープンも優勝!
さて、今回も大会振り返り記です。
大会運営者の方々や関係者の方々、対局相手の方々感謝を申し上げます。
文中の登場人物は、新聞で見れる公開情報は本名で書いちゃいます。
それ以外はちょっとボカして書きますね。
では振り返りいきます。
北部九州ブロック大会編
⓪事前情報
開催日:2023/12/24
開催地:長崎県
その他:私は棄権する予定でした。
前年度代表の私は、県大会は免除で北部九州大会から参加する権利を持っていました。さて、去年はベスト8だったので、今年はそれ以上目指すぞーという気持ちではありませんでした。
私の人生において最も重要なことが起きる予定です。
それは12/20から起きるかもしれないといわれており、それが長引いている状況でした。つまり、12/20に起きれば問題なし。長引いたら12/24の大会はキツイ。大会に行って将棋を指しているあいだに「アレ」が起きると一生後悔します。
今回の開催の世話役の方に連絡をしました。
「もし私が棄権したらどうなりますか?」
①直前に棄権した場合
②余裕をもって棄権した場合
この二つで何が違うのか。②を選んでもし誰かに利益があるのなら②を選ぶべきだと考えていました。具体的には、代わりの人が補充されるということです。
一般的な大会では、準優勝者や3位4位の人が代わりに出ることが多いです。これを今回の情報に当てはめます。
□12/24の予定
準優勝者:学生全国大会
三位の方:今回の大分県代表
四位の方:今回の大分県代表
五位以降の順位は不明で、それを決めるために大会を開く必要があります。
これらから考えると、私が余裕をもって棄権しても誰も得をしません。
これらから判断です。
「現状棄権の可能性が高いのですが、直前でまた連絡させていただきます。」こう伝えて、その日が近づくことを待ちました。
やがて12/23の大会前日になり、私は棄権するつもりでしたが、妻が「行ってらっしゃい」と言ってくれて行くことにしました。
大会強行です。
〇大会詳細
①移動編
大分から長崎へは4時間です。往復ではありません。片道の最短です。
また、乗り換えで最短ルートは選べないのが世の常。
往復九時間を一日で行き来します。
朝4時半に起きまして、駅へ向かいます。
別府駅の始発電車で博多へ。博多駅で時間をつぶす中で、新幹線改札に入る技を見つけました。
博多駅から長崎へは特急で武雄温泉乗り換え、新幹線でビュンです。
新幹線は新しいキレイなもので、おおー!すごい!!!という気持ちと、眠いけど乗り換え多くて寝れないZzzという気持ちが戦っていました。結果は眠気の勝ちです。途中の電車で前回全国出場者の金子くんと合流して、なんとか気を保って会場入りしました。
②対局編
今回の大会は三勝で全国大会です。
戦法は決めていたので、余計なことは考えずに指し進めることができました。
一局目:佐賀県代表 武富くん。
対局前に「いつか教えてください~」と言ってくれていて、まさか初戦で当たるとは。将棋は組み合い勝ちをしてから、相手の駒を取り切る展開で快勝でした。
二局目:前回優勝者 金子くん。
将棋は序盤をリードした段階で「しっかり指して圧勝かな」と思っていたのが甘い。夢を見すぎています。超一級品の勝負手を指されて局面が荒れて、とても優勢と言える局面ではなくなります。ですがそういうのには慣れている。「うわぁぁ!!こんなはずでは~」となると押し切られるのですが、私は「ははは、まーた互角に戻った。いっちょー楽しんでやるわ」くらいの気持ちで持ちこたえます。やがて相手の勝負手をかいくぐり、最後は選べる5手中4手が受からないという局面をしっかり受けきっての勝利でした。
三局目:大分県代表 杉井さん
決勝は大分県同士です。今回の北部九州代表が大分県二人というように、大分県のレベルがグングン上がっています。将棋について。序盤の変化を無難に過ごして、中盤で押していこうと思ったら押しつぶされました。そこから勝負手を放って迎えた終盤の入り口で、私は飛車と金を打ち間違えました。手も離れています。「間違えた!」と心の声が口に出て、戻して打ち直します。そのあとはしばらく敗勢のまま進み、私の玉に詰みが生じていました。相手は詰ましたら勝ち、詰ませないと怪しい。筋も難しくなく、投了の準備をしていました。「負けました。さっきはすみませんでした…」というつもりで、さっきの反則も負ければ罪悪感が減るかなと思っていました。
しかし、相手の方が罪を逃します。そして私の勝ちの局面になります。
私は罪悪感に正直になりました。やったことは反則です。こちらが必勝になった局面で、すみませんと一言入れて時計を止めました。「さっきの僕のは手も離れています。待ったです。反則で僕の負けでもいいです。判断をお願いします。」と相手に委ねました。あなたならどうしますか?
全国大会がかかった対局、必勝を詰みを逃して負けになった瞬間に勝ちを選べます。さらに、今回悪いのは相手です。反則を反則だといえば勝ちです。
相手の方は少し考えて「まあ時計も押してなかったし、いいですよ」と言いました。あまりに紳士です。言葉で表現するのが難しいくらい、入り乱れる思考や感情を整理して考えて出たものがその言葉で、器の大きさを感じました。将棋キッズたちよ、この方を目指してください。
最終的な将棋の結果は私の勝ちとなり、全国大会への切符を手に入れました。そのあとの主催社様のインタビューがありました。
「優勝、そして全国大会が決まった気分はどうですか?」
一般的な答えとしては、嬉しいですとか楽しかったとか、誰々に感謝とかいうものだと思います。しかし、到底そんな気持ちではありません。反則を見逃していただき感謝とか、そんなわけでもないです。
「全国大会にご縁がありました」
これはご縁という表現が適切だと思いました。三局目の対局も敗勢でいろいろあったし、ダメな場面も多々ありました。勝ち取ったのではなく、運が良かったのでもない。ただのご縁です。ご縁がありました。
そうして全国大会が決定しました。
大会後は長崎の方とかなり話しました。
「大会に来てくれてよかったです」と言ってくださるような優しい方ばかりで、長崎県将棋界の方も素晴らしい方々でした。結果に注目してるので頑張ってね!と言ってくれて嬉しかった!
③そのほか観光編
さあ観光です!
大会の開催地では観光をして、その土地の歴史と文化と味を楽しみます。
とはいえあまり時間もないので、今回は長崎駅の中を探索です。
長崎といえば海産物が最高で、アオリイカやアジ、サバやカンパチやブリなどの大型な魚やうちわエビなどの土地ならではのものもおいしいです。
いや、まてよ。中華街があるから中華もおいしいよね?
そうです。角煮や肉まんなどの中華も最高においしいです。歴史的にも海外との貿易が盛んな町でしたので、素材の味も文化の味も堪能できる最高な土地ですね。
日本酒は横山というお酒が好みでした。焼酎は壱岐スーパーゴールドが好み。あとは対馬のハチミツも有名かな。長崎最高!!
全国大会編
⓪事前情報
開催日:2024/03/09, 2024/03/10
開催地:東京
その他:初戦の相手は女流代表の方
大分空港から羽田空港へのフライトです。
♪羽田空港の気温は2° 雪が予想されるため、到着に…
なにぃ!? 無事につけますように。
〇大会詳細
事前の記事では、いろいろな選手が紹介されています。
紹介した選手の相手選手の紹介されており、女性代表の方の紹介をされていて、次は俺かな~と思っていたら記事が終わっていました。
①前日編
前日の過ごし方が大会に影響します。
前日をふにゃーと過ごすと、大会で力を発揮しきれません。緊張感が高すぎて当日緊張してしまうからなのか、楽しくなりすぎちゃうのか、理由はなんなのか。迷信だと思う方はスルーしてください。僕も迷信だと思っています。
前日は大会参加者と将棋を指すことが多いです。
今回は選手一番乗りで会場入りして、アマレンの会長様と話していました。皆様!私の記事もありますし、アマレン買ってくださいね?😊
さて、その後は選手受付の場で中国ブロック代表の子と指していました。明日に向けて練習!練習!北関東ブロックの人合流!中国ブロックの人合流!近畿ブロックの人合流!東海ブロックの人合流!みんなで練習!
ん、君たち二人は明日の初戦だけど一緒にいていいの?笑
なんて状況になっていました。いつもみんな集まってきてくれて楽しい状況になります。10局くらいかな、将棋を指した後はさぁお待ちかねの前夜祭です。
あいさつのトップバッターは私!
私があいさつの基準でいいんですよね?やったるで!準備万端!
「北部九州ブロック代表の竹下です。本大会は四度目の出場です。前回大会はベスト8で敗れました。負けた相手は…ちょっと覚えてないですが、その日からチキン南蛮を食べなくなりました。」
ここからさらに5分くらいしゃべります。
最後は相手の方の話題に触れて終わりです。
仲がいい選手や宮崎出身の選手に聞きます。
「渾身のスピーチどうだった!?我ながらウィットに富んでるやろ??」
彼らが答えます。
「長い!!!!!!」
アハハ。やりすぎた~ \(^へ^*)
さて迎える大会の日
②対局編
対局前に話しかけてくださった方がいっぱいいました。
ありがとうございます!僕は嬉しいタイプです。
チョコレートもいただき、やる気120%です。
細かい対局の振り返りは記事を書いたら追記しますね。
一局目:女性代表 大城さん。
対局前の相手は落ち着いた様子で、全国大会に慣れているぽいなーという印象でした。私は記録の人と話したり、相手と仲がいいと話したりするタイプです。私は机に阿闍梨餅とチョコレートを置いていて、左の記録係の男の子が見ているので「俺のお菓子勝手に食べても怒らないよ。でも阿闍梨餅は勘弁してね~。」と歓談していました。
戦型は超・かまいたち戦法 VS 居飛車です。
11手目に駒をぶつけます。23手目に急激に駒をぶつけます。
そこからは攻める。攻める。攻める。受ける。攻める。攻める。詰ます。
5攻め1受け1詰ましです。
超・かまいたちが炸裂しました。
対局後は相手と話すことが多いのですが、周りも対局中でもあったのでやめておきました。土地の共通の話題もあるはずですが残念。
二局目:首都圏代表 銭本くん
昔から知っている子です。私が研修会の副幹事をしているときの研修生で、彼は高校生や大学生のときに「超強豪」として名を馳せています。現在も彼の評価は高く、全国大会常連としてアマチュア将棋界を代表する選手です。
戦型は超・かまいたち戦法 VS 居飛車です。
序盤で相手が趣向を凝らした指し回しをしてきたため、駒組合戦のような将棋になりました。しかし、中盤の相手の形を咎める構想を相手に見せたことが良い発想で、相手が忙しそうに見える展開になりました。
まどろっこしい書き方をしてるなーと思うかもしれませんが、これくらいの表現をしないと駆け引きを書ききれません。まだ表現力が足りないくらいです…。
そうして中盤でリードを得て、あとはどのように勝ちに持っていくか。局面はまだまだ難しいです。しかし、そういう局面は大好きで、お魚をさばくようにちょちょいと駒をさばいていきます。
最後は大根のツマの上に盛り付ける、いわゆる詰まして勝ちの局面。
簡単ではありません。敵玉のいける場所が多いです。考えること10分。読んだ手は100手くらい。キッチリきれいに詰ましきりました。活け造りです。
感想戦のコメント
「その戦法は予想外でした。やられた。」
◎勝因 超・かまいたち戦法
三局目:関西代表 慶田戦
あまり情報がなかったです。というか、情報を聞くのを忘れていました。
関西に友人が多いので、聞けば無限に情報を集められたのにもったいない。
なんなら年齢も知りませんでした。
あとから知ったのは、同い年らしいということ。
あとはアマ竜王戦優勝していたようです。笑
さあ、今回も超・かまいたち戦法を見せたるわー!
相手の手番から始まり、27の歩を持ちます。
なるほど、居飛車かなとこう思っていたら、相手は
「ん、ん」と言って歩を戻します。
ん?なにが来るんだ?と思ったら初手48銀
それは初代英春流かまいたち戦法…!
こちらは定跡どおり二手目14歩と突きます。
相手は96歩としてきます。
こちらは62銀とします。
とんでもないことが起きました。
令和の時代に全国大会、ベスト8で相英春流です。新聞紙面には相掛かりのような戦型と書かれていましたが、まさかの相英春流です。
石川県大会ではよく見られる光景です。
私が子どもで全国大会にはじめて出たときに初手76歩とされて、「え!?僕以外にも初手48銀じゃない子どもがいるの!?これが全国か!」とびっくりした記憶があります。
そんなことをされるとテンションがMAXになります。
将棋は小学生低学年の体育のサッカーのような将棋でした。来たボールを全力で前に蹴る。とにかく蹴る。パスより前に蹴る。
冷静さを欠いていました。中盤で指しすぎの局面になってしまいます。
そこで考えました。
「ここで冷静になってもいいけど、それってスリルが足りないよね。最強に恐ろしい指し手で乱闘しましょうぜ。」
全て突っ込みます。
他に応用が利かないような、絶対に再現できないような、盤面に四尺玉の花火が打ち上げられたような局面にもっていきます。
「ほらキレイやろ?」
なんて思っても局面は悪い。その後は負けてしまい、勝った相手は楽しかったかなーなんて思っていました。
対局後に他の選手や観戦者の前で棋譜を並べます。
「頭がおかしくなるー」
「理解できん」
と言われたり、
「うわぁ。。。」
とドン引きされたりと楽しい反応でした。
その後主催社様の記者の方にインタビューをしていただき、この将棋やアマプロ戦などのインタビューに答えていました。
その最後に、
「私、将棋についてわからないけど、説明が分かりやすくて理解しやすいです。」と言っていただき嬉しいなーと思っていました。
あー、負けた負けたー。
③後日談
翌朝に慶田さんとエレベータホールで会いました。
「頑張ってください!」と言うと驚いていました。
アマ大会ってその辺がいいものなんですよ😊
翌日は大会会場のロビーでみんな集まって将棋を指していました。
似たもの同士ってことですね。
また今度全国で!
そう言って解散です。
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