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運命のおみくじ:未来への第1歩


良枝は28歳、都内の大手コンピューターソフトウェア会社の事務員です。仕事は順調にやっているけれど、何か物足りない気がしています。「私の人生本当にこの仕事を続けていていいのだろうか?」そんな疑問を良枝は持ちながら、毎日が過ぎて行きました。そんなある日電車の中吊り広告に神社の広告がなんの気無しに目に止まりまた。
「今年の初詣は行かなかったから、今度行ってみようかな。それでお参りしたら少しは気が晴れるかもしれないわ!」ふと参拝の考えが浮かんできました。


その夜寝床につくと、着物を着た可愛い女の子が夢に現れて言いました。
「あなたは誰?」良枝が尋ねると「私はおみくじの妖精ミクよ」と答えました。

「良枝さん、明日神社にお参りに行くんでしょ!そうしたら、是非おみくじを引いてみて、そして持ち帰って読み返してみて!あとお参りの時は、良枝さんが他の人の幸せを願ったうえで、自分の願望がどうなるかお伺いを立ててみて」と告げました。

朝目が覚めると、昨日の夢の事を思い出しました。そして良枝は昨日の夢が何故か心に強く残っていて、「昨日はなんかおかしな夢を見たわね。でもおみくじを持ち帰るなんて、いいの?だって皆おみくじは境内で結んでいたわよね。それに人の幸せを祈って自分のお願いしたことへの神様のお考えを聞いてって言ってたわね。そんなこと今までした事なかったけれど、何かの縁だしやってみようかな」と思いました。
そして昼過ぎ神社に着きました。もう2月なので参拝客もいませんでした。
「神様今年一年、平和な年でありますように。あと私はこのまま今の会社で働いていてもいいのでしょうか?」とおみくじの妖精ミクに言われた通り、人の幸せを祈って、自分のことの伺いを立てました。そして良枝は少し神社で参拝したら気分が良くなりました。「せっかくだから昨日のミクの事もあるし、おみくじ引いてみよう」

引いたおみくじは吉でした。そこに書かれていたのは、「しろがねも こがねも たまも なにせんに まされるたから こにしかめやも」とありました。でも良枝にとっては何のことやら分かりませんでした。しかし、解説には(晴れやかな心で暮らせば吉運が来る相、そしてさらに神を信じ殻に入らなければ幸せが来る)、と書いてありなにやら良さそうと思いませんでした。そこで昨日の夢を思い出し、そういえばあの夢のおみくじの妖精ミクがおみくじは持ち帰ってと言ってたわ。この詩の意味も気になるから持って帰ってみよう!とおみくじを結んでいる人を横目に見て、ちょっと冒険気分でおみくじを財布に入れました。
良枝は家に帰りコーヒーを入れてひと休みしていましたが、あのおみくじが気になり財布から取り出して読み直しました。しかしよく分からないので、その詩をネット検索してみました。するとあの詩は(銀も金も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも)という有名な山上憶良の詩でした。でもこれが今の私にどんな事を伝えようとしているのかな?と疑問に思いました。それで今度はAIに質問した。私は会社でこれから何を思い仕事を続けていけばよいのでしょうか?するとAIは答えてくれた。物質的な金銀より、自分が関わる子供がより重要で、つまり会社における物質的な成功だけではなく、自己成長や他人への貢献を大切にすることが、重要と教えられました。
そうか、毎日会社に通っているが、目の前の事片付けて給料をもらっているという事だけで、自分や他人への貢献なんて考えたことなかったわ。貢献ということは、自他に尽くすという事なのかな。良枝は自分なりに答えを見つけました。

そしてその夜、自分の会社に対する方向性が少し決まったような気がして、もうちょっと頑張ってみようという気で床についた。そしてまたあの美女が現れました。
「良枝さん、初詣はどうだった?そしておみくじはどうだった?」と訪ねてきた。
「ミクちゃん、また来てくれたの!」
「そう、これが私のお務めだからね!でもおみくじは神仏からのメッセージだから、ちゃんと受け止めてね!そして時々読み返したほうがいいのよ!」
「でもいちおう今日AIに聞いて私が引いたおみくじの意味は分かったわ!」
「そう思っても、人はすぐ忘れてしまうから、例えば毎週日曜日とか、月初めにとか決めて読み直したほうがいいのよ。」
「そうなのね!じゃあせっかくだから毎週日曜日に読んでみるわ。」

そして良枝はミクに約束したように日曜日の朝おみくじを読み返してみた。今度は解説の所で心も言葉も皆すなおを守れとあり、その日はそこに着目した。「心と言葉、素直でないことがよく考えるとあるわ!」
「つい指摘されると言い返したりしてしまうことがよくある、でもそれは仕方ないからそうしたんだけど、でも相手もそんな事情知らないし、私だってそんなにムキになる必要なかったわ。もう少し心を広くしていこう!」
そして夜になるとまたミクが現れました。
「良枝さんいい調子ね!前まで引いたおみくじは吉凶を引いたらすぐに結んでいたでしょう。今はおみくじのありがたみが大きくなったわよね」
「そうそう、少しずつだけと、おみくじのありがたみが分かってきたわ」

「良枝さん、じゃあ今回はもっとおみくじを活用して人生に活かす方法を教えるわ!それはおみくじを使って計画を立てることよ」
「えっ、おみくじを使って計画を立てる?」
「よく分からないけれど、面倒くさそうね。でもここまで来たんだから、やっぱり教えて!」
「まずおみくじをまた読み返してみて。そして、今後どのようにすれば運が開けていくか、書かれているから、具体的にそれを毎日実行してみて。それでまたしばらくしたら、おみくじを前に決めたように読み返してみてね。」
「分かったわ、でも最近おみくじを財布に入れておくと、お金といっしょになって汚れてきてしまっているわ。」
「そんな時は、おみくじを保管するグッズもあるから検索してみるのもいいわ。」
良枝は夢の中にも関わらず、ミクから色々とおみくじについて教わりました。

翌朝良枝は目を覚まし、はっきりと覚えていたミクが教えてくれたおみくじの夢について思い出しました。
「確かおみくじを読み返し、その言葉に沿って計画を立てるんだったわね!じゃあこのおみくじに書かれているのは晴れやかな心でいて、神様を思い、心素直でいることね。そうしたら何か今の会社でも新たな発見があるかもね。あとおみくじ保管グッズあるって言ってたわ。」
良枝は検索してみると開運おみくじホルダー吉むすびや手帳タイプのおみくじ保管グッズが見つかり、吉むすびには良枝の好きな猫のデザインで「おかえりなさい。おみくじを読み返してね、というのがあった。猫を飼っている良枝にとっては猫グッズの一つとしても欲しくなりました。
「うちの猫のシロとは似ていないけれど、やっぱり猫がいい。それにおみくじを読み返すのに、良さそうだから早速注文してみよう。」



そして良枝は会社でまた新たな気分で働き始めました。
会社ではいつもの見慣れた職場が違って見えた。全てのことは意味があり、自分に何か教えてくれるような気がしたのでした。
「おみくじなんて今までただのゲーム感覚だったけれど、本当はもっと意味深く、指針を教えてくれるものだったのね。ミクに言われたように定期的に読み返してみよう」
良枝はこれから、何かあった場合おみくじに頼ってみようかなと思いました。

翌日、会社の全体会議で新しいプロジェクトが発表されます。「このプロジェクトは、私たちの市場におけるプレゼンスを大きく変える可能性を持っています。リーダーの選出を行い、新たな一歩を踏み出したいと思います」と、部長が言いました。

良枝と晴子は互いに視線を交わし、同じ思いを抱いていることを認識しました。二人ともこのチャンスを逃したくありません。

翌日、良枝は晴子をコーヒーブレイクに誘いました。「晴子、私たちプロジェクトのリーダーについて、少し話ができないかしら?」
晴子はコーヒーを一口飲みながら、「もちろん。私もリーダーの座を狙っている。あなたの考えは?」と答えました。
良枝は静かに言いました。「私は、このプロジェクトでチームワークと革新的なアプローチを重視したい。晴子はどう?」
晴子は少し眉をひそめて、「効率と結果が最も重要だと思う。私たちは結果を出さなければならないから」と反論しました。
このやり取りは、後輩の元気にも伝わり、彼は二人の間で板挟みになることを恐れていました。
数日後の夜、良枝は自室で最近始めた瞑想をしていました。おみくじの言葉「人に貢献し、心を素直に持て」が頭をよぎります。そしてふと、晴子との会話を思い返しました。
良枝は次の考えがハートから浮かんできた「私はチームワークと革新に重点を置いているけれど、晴子の言う効率と結果ももちろん大事」協調性をもってどちらがリーダーになろうが、会社への貢献ができれば嬉しさが湧いてくるはずよ」
翌日、良枝は晴子のデスクに近づき、「晴子、昨日は少し考えたんだけど、私たちの強みを合わせれば、もっと大きなことができると思うんだ」と提案しました。
晴子は驚いた表情で良枝を見つめ、少し考えた後、「確かに、私たちのアプローチを組み合わせれば、プロジェクトを成功させることができるかもしれないね。共同リーダーとして挑戦してみようか」と応じました。


二人はこのアイデアを管理チームに提案し、承認を得ることができました。プロジェクトは前向きなスタートを切り、良枝と晴子の関係も新たな段階に入りました。元気もこの解決策から多くを学び、「リーダーシップとは、協力して目標を達成すること」という価値観を深く理解するようになりました。
晴子は急に考えを変えた良枝にその理由を尋ねました。良枝は「実は最近おみくじを読んでいるの。そして『人に貢献し、心を素直に』という言葉が心に響き、私たちが協力すればもっと大きなことができるはず」ということに気づいたの。「今度一緒に神社に参拝し一緒におみくじを引いてみましょ」と良枝は晴子を誘いました。


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