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「奈落暮らし」3日目-0726

 私としては朝から晩まで、実際の五感をフルに使う現実として立ち現れる世界が、オンライン上のフェスティバルとして展開されることへの、想像を超えた断絶に思いを馳せる。このフェスティバルをオンラインで知覚している観客と、私の毎日の思考の差異は、果たして想像で埋められるものなのだろうか。それはお互いにとって無理なんじゃないだろうか。これは舞台芸術のフェスティバルという特殊な条件に限らない。日常と地続きでじんわりと苦しめられ続ける災害のなかで、私ではない誰かの苦痛を私のものとして想像するのは無理じゃないかということと、無理じゃないとして、それを年単位で想像し続ける日々は辛すぎて心が死んでしまうから心のケアのためにやめたほうがいいんじゃないかということと、オンラインのコンテンツで溢れまくる世の中を楽しく生き抜くための鍵となるのはひとりひとりの想像力になるだろうということと、突き詰めて考えれば想像したほうがいいんだか想像しないほうがいいんだかよくわからなくて頭がグルグルする。この問いに、スッキリ出来るような結論は、今のところない。

 上記のことは【(in)visible voices-目にみえない、みえる声たち-】7月26日17:00からのパフォーマンスを観たあとに考えたことだった。山下恵実さんのパフォーマンスは素晴らしかった(通し稽古見学の時点ですでに感動した)。そして、あのような形での映像を実現した和久井幸一さんの仕事が素晴らしかった(リハーサルの天気はあまり良くなくてヒヤヒヤしたけれども本番は運が味方してくれた)。アーカイブが残るのでぜひご覧いただきたい。私の上の記述はネガティブに捉えられるだろうが、それはパフォーマンスに対してのネガティブな反応ではない。今の社会への、今の現実への、今の世界への、ネガティブな反応である。それを顕在化させることは今の芸術の役割であるようにも思うが、一市民としてはそれを解決するための処方箋が早く欲しい。私にとっての処方箋は「賑わっている劇場」だろうか。どだい無理な話である。


◎オマケ

 吉祥寺シアター最寄りのセブンイレブンへ行く。最寄りのコンビニ、ミニストップとセブンイレブンがほぼ同じ距離なのだけれど、ミニストップにずっと馴染めない。

<昼食>
ささみ揚げ しそ明太子
★★★★

明太子好きすぎる自分が怖い。多分、人生のどこかで痛風になる。私の後輩で、20代にして痛風になったスタッフがいて、そのエピソードが怖かったので恐れている。だからどうしたというエピソードだが、私は「明太子のかねふく」の会員で、メルマガが定期的に届く。コロナがあけたら「めんたいパーク」に絶対に行きたい。

めんたいパーク
https://mentai-park.com/

<夕食>
ななチキ
★★

味の濃すぎるきらいがある。ささみ揚げぐらいがちょうどいい。

<夜食>
昼食のケータリング
★★★

何らかの理由で余ったらしく帰る直前に貰った、数種類の野菜とご飯が入っている健康的な弁当。枝豆もズッキーニもごぼうも決して味は悪くない。悪くないのだが、気持ちとしてはこってりとした健康に悪そうな濃厚豚骨ラーメンを食べて帰りたい気分の日だった。これが俗に言う「わがまま」というものです。一蹴して下さい。


チーフ・キュレーター 綾門優季

いただいたサポートは会期中、劇場内に設置された賽銭箱に奉納されます。