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No.008 及川さん (社会福祉協議会職員)

【元気な高齢者との出会い。誰かと誰かを繋ぐ橋渡し役になりたい】

1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか)


将来、子どもに携わる仕事がしたいという気持ちがありました。 きっかけは、母親が保育士をやっていたことや中学生の時の職場体験で保育園に行ったこと。

ぼんやりとですが、将来的に保育士の資格が取れたらいいなと思っていました。 そのことを高校の先生に相談した際に、この学部なら保育士の資格が取れると勧められ、現福に入学しました。


しかし、実際のところは「ごまちゃん」での傾聴ボランティアや、ソーシャルワーク実習などで高齢の方とお話をしていくうちに、子どもよりも高齢分野に興味を持つようになりました。


特に社会福祉協議会の実習地区のお祭りやバザーに関わったことは大きなきっかけになっています。 そのお祭りでは、社協職員と福祉協力員と呼ばれる市民の方が協力し合い、企画立てから運営まで一連の流れを手掛けていました。


とはいっても、職員は会場設営などお手伝いをするだけ。活動主体は地域の方々でした。 活動に関わる中で、とても印象に残っているのは、80代の協力会員の方が「この活動が生きがい」だと話されていたことです。


元気な高齢の方々を見て「どこからそんなパワーが湧いて来るのだろう」「どういうことが根源になっているのだろう」と、疑問と関心を持つようになりました。


またFWで八王子の館ヶ丘団地に行ったことも心に残っています。 そこには「ふらっと相談室」という高齢者の方が気軽に相談ができる場所や、住民の方が店員として働くカフェが併設されており、店員の中には認知症の方もいました。


色々な方が支えて支えられる姿を目の当たりにし、私の中にあった「認知症=支えられる人」というイメージが覆されました。


これらの経験から、私も地域に出て誰かと誰かを繋ぐ橋渡し的な仕事に就きたいと思うようになりました。

【権利擁護、成年後見制度。難しい制度をわかりやすく伝えていく。】

2.あなたの仕事について教えてください。


社会福祉協議会の権利擁護の部署に所属しています。 成年後見制度の推進機関として、成年後見制度に関する相談に乗ったり、日常生活自立支援事業といって認知症や障害によりご自身でお金の管理、契約を結ぶことが難しい方の支援などを行なっています。


他にも、区民向けに成年後見制度や遺言の書き方についての講演会。市民後見人の養成講習を開いたりもします。 成年後見制度は制度自体が難しく、区民に聞き馴染みのない用語も多く使われています。


その為、字面通りに説明してもなかなか伝わりません。なるべく言葉を噛み砕いて説明することが大切だと思っています。

【自ら地域に出る。生の声を聞くことの大切さ】

3.大学での学びが仕事で生きていると感じるのはどんなときですか。


大学時代は、当事者や活動してる方などの生の声を聞くことの大切さを学びました。

ゼミのFWで陸前高田に行った際、被災地で様々な方から話を伺い、私には受け止めることが難しい話の数々に、何もできないやるせなさを感じましたが、先生からは「何をしてあげるとかではなくて、ただ話を聞くだけでも意味がある」とご指導頂きました。


さらに、ふらっと相談室の職員からは「机上で考えてるだけだと何も分からないから、地域に出ていかないと」とのアドバイスを頂きました。 実際に現在の仕事では、高齢の方のお宅に伺うと「話相手がいなくて寂しい」と話が止まらない方も多く、傾聴に努めています。

また、地域で活動している関係者から「自立支援を受けたい人がいるから制度に繋げてくれないか」などと、報告を受けることがあります。 しかし、直接当人に話を聞きに行くと、そんな支援は必要ないと言い切られることも稀にあります。

実情を知る為にも自分自身も地域に出て、自分の目で確かめる必要もあると感じます。 大学での心残りは、高齢や児童と関わってきたけれど、障害者の方と接する機会を作ってこなかったなと。


地域に出ると障害者の方とも関わることが多いので、もっと勉強をしておけばよかったなと思っています。

【支援を必要としている人たちと制度を繋げたい】

4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。


社協の取り組みはまだまだ世間に知られていないと感じます。


成年後見制度など、ある人にとっては役に立つし必要としている人は多いのになかなか繋がっていかない。制度の狭間に入りこんでしまった人たちに目が向けられず、助けられるはずのものも見落としてしまいます。


もっと知ってもらう為には、社協の事業を見える化し、一般の人にも伝わりやすい形にしていくことが大切だと思っています。


例えば、区民向け講演を知らせるポスターやチラシを作る場合も、細やかな工夫が必要です。

誰をターゲットにするのか、どの文字を目立たせるのか、配色はどうするのか、区民に届くリード文は何かなど。 少しでも目に止まってくれる人が増えてくれるように、ひとつひとつ立ち止まってこだわり抜きたい気持ちがあります。


【制度の狭間にいる人たちを救いたい】


5.今後の目標を教えてください。

顔が見える繋がりを1人でも多く作りたいです。 例えば自転車で走っていたら「あ、〇〇さん」とお互いに声を掛けられる関係ができたら万々歳。


住民とは窓口で面と向かって話をするよりも、何気なく立ち話ができるような距離の近い存在でありたい。 その方が住民の本心やニーズをキャッチできるような気がします。


いつかは地域の方々から親しみを持たれ信頼されるソーシャルワーカーになりたいと思っています。

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