【稽古場レポート】佐野洋子さんの世界を、明るく賑やかに描く──演劇集団円『ヨーコさん』

 8月26日に開幕を迎えた演劇集団円『ヨーコさん』。お話のモデルは、『100万回生きたねこ』の作者でおなじみの、佐野洋子さん。本作は、生を全力で味わい表現した佐野さんのエッセンスがあふれる作品です。その稽古場の様子を、お届けします!前回は稽古初日にお邪魔しました。(稽古初日の様子はこちら!↓)

そして今回は、本番を1週間前に控え、佳境に差し掛かった通し稽古の様子をお届けします。
 
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 今日は衣装つきの通し稽古だ。普段の稽古では上物(羽織など、動きに影響のあるものなど)のみ身に着けて稽古をするが、今回は本番で身に着ける衣装を着て、最初のシーンから止めることなく通す。
 物語は、自身の死を前にしたヨーコさん(谷川清美さん)が、タバコを片手に読者へさよならを告げるシーンから始まる。死を受容しているような佇まいに、生きている人間の力強さを感じる。ヨーコ小(大橋繭子さん)がひょいと登場する。ヨーコさんが愛し憎んだ人たちが次々と現れる。
明るいメロディー、物悲しいメロディー、いろんな歌や踊りに乗せて物語が進行していく。絵本をめくるときのような、次に何が現れるか分からない楽しみな気持ちが湧いてくる。ヨーコさんと小さいヨーコは、記憶の中の風景を、色々な人とのふれあいを一緒に追体験していく。
 ヨーコさんは、幼いころにきょうだいの死を経験している。小さいヨーコの目の前に現れる「死」の大きさに、私は驚いた。きょうだいの死やお母さんとの関係など、つらい場面もたくさんある。それでも、「うぉーっ」と力づよい推進力を持って生きるヨーコさん。完ぺきなハッピーでなくても、全力で生きていくその姿を見ていると、安心感のようなものが生まれてくる。
 通し稽古を終え、小休憩を挟み、衣装や振付のチェックをする。衣装の丈を調整したり、振付のタイミングを合わせたりする。今回は踊りのシーンもたくさんあり、エネルギー量がすさまじい。
 休憩をはさみ、作・演出の角ひろみさんから振り返りがある。角さんは「死」や「命」をあらわす言葉が軽くならないようにと話す。演出助手さんから体調に気を付けること、ご飯をしっかり食べることなどを全員に呼びかけ、稽古は終了した。
 
 
 誰もが経験している「生」と、誰もがこれから経験する「死」。普遍的なことだが、考えずにはいられない、でも考えると胸がざわざわしてくる。そんな私たちの心に、ヨーコさんのカラッとした言葉は、スッと浸透していくだろう。
 
 
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【公演情報】
演劇集団円『ヨーコさん』
日程:8/26(土)~9/3(日)
会場:吉祥寺シアター
公演詳細:https://www.musashino.or.jp/k_theatre/1002050/1003231/1005065.html
 
🎫後半のチケットは発売中!
◎武蔵野文化生涯学習事業団
演劇集団円『ヨーコさん』 - インターネット・チケットサービス (ka-ruku.com)
◎演劇集団円
ホーム        | 演劇集団円ヨーコさん (en3987.wixsite.com)

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