役者の笑顔は信じない。それでも好きでいるしかできない。
選んだ道が、死だとしても、私は肯定していたい。そうすることで、彼が楽になるなら。仕方ない。
出会ってからの変化も進化も、気付いてるつもりだった。それでも所詮は画面越し、紙面越し、舞台越し。
私に何か出来るわけもなかった。
そんなことは百も承知だった。
誰が気付けただろう。
彼の家族も友人たちも、きっと自分を責めるんだろう。私なんかよりも深い深い悲しみに暮れて。
呼吸の仕方も忘れてしまうくらい。
この世にはいなくても、それぞれのなかで生きているんだと、思っていて。
だから私は、記憶のなかで、彼を生かしていたりする。
爽やかな笑顔と、優しい声。伸びる歌声に、キレのあるダンス。朗らかさを全身にまとったような人。優しいと一言でまとめるには、真面目さも繊細さもあり過ぎる。
おかしいなぁ。
この先の話を穏やかに伝えてくれていた気がしたのに。やっぱりおかしい。
でも、理由もきっかけも、今はもう要らない。
彼の闇を知りたいわけじゃない。
どれだけの作品を彩り、どれだけの人を魅了し、どれだけ愛されているか。
その事実だけで、彼を生かしておける。
ただちょっと、時間が止まってしまっただけ。
そういうことにしておいてほしい。
この先、きっと私もこういう場面に、幾度となく出くわす。遅かれ早かれ、出くわす場面。
出来ればずっと、大好きな方々には、ありがとうが届く、同じ世界にいてほしい。
難しい話かもしれない。
だけど、ちゃんと伝えるから。放つから。
どうか、受け取ってほしい。
笑顔で会える日を、心待ちにして。
ちゃんと好きでいるから。
どうか。
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