見出し画像

【2024シーズンも】ブラウブリッツ秋田選手総評MF&FW&監督編【お疲れ様でした】

秋田といえば守備のチームであることに疑いの余地はないのですが、今季は中盤以前の選手たちも充実。過去一の選手層をもってチーム内での競争も激化。リーグ戦総得点は36となり、試合数が減ったにも関わらず、例年に劣らぬ数字を残しました。リーグで3番目に少ない失点数とも相まって、得失点差+でのフィニッシュの要因となりました。

今季は縦ポンやセットプレーだけでなく、状況によっては細かくパスを繋いで崩したり、バックパスを使ってやり直したり、ある程度退かれた状態(秋田対策でこれをやるチームがめちゃめちゃ多かった)でもサイドの連携で突破したりと、再現性のある攻撃のバリエーションも増加。最終盤までPO争いに絡めたのは、例年以上の攻撃力があった分だと言ってもいいでしょう。今まではドローで御の字だった試合で勝ち点3を取れるようになった。そんな場面が増えた気がします。
そうなると来季以降は原則や決まりごと、連携を落とし込むことによって毎年一定水準以上の形を作れる守備と違い、選手のメンツや特性によって大幅にクオリティの変わってしまう攻撃陣の安定的な構築が課題となってきそうです。
より具体的に言うと、今までのある程度形にはまった攻撃にさらにプラスアルファしていく場合、戦術以上のピッチ上でのひらめきや阿吽の呼吸的な要素がでてくるわけですが(それ自体にも高いクオリティを持ち、共有できる選手の複数確保が必要になってくる)、そういうのは単年計画では醸造しきれない分、毎年選手の移籍に伴いリセットされてしまいます。前年躍進したチームが選手を大量に引き抜かれ、翌年弱体化はよくあるパターンです。
今年のメンバーがどれだけ残るかわかりませんが、どうか秋田にとって充実した冬の移籍市場&契約更新になることを祈るのみです。


MF

諸岡裕人

キャプテンとしてチームを引っ張ってくれた中盤の大黒柱。その重要性はイエローカードの累積で欠場となった最下位群馬戦であっけなく敗れたことからも明らか。昨シーズンも諸岡選手を欠く時期は大変そうでしたし、やはりいるといないではチームが大きく変わる存在ですね。デュエル勝利数もリーグのランキングに入っていたりと、J2でも出色のボランチになる階段を登っています。

今季は潰し屋としての守備の安定感はもちろん、繋ぎの部分でも重要性が増しましたね。中盤の底で受けて、そこからターンをして前線にビシビシ縦パスを通すシーンも散見されて、何かに開眼した感がありました。
アーリークロスなんかからチャンスを作る場面も多かったです。95%ファーサイドにクロス&そこに河野選手が待っている、的な形だったので、おそらくチームとして型が決まっていたのだと思いますが、わかってても止められないこのパターンは攻撃が停滞しがちな秋田にとってひとつの武器でした。失敗してもゴールライン割るだけであまりリスクないしね。

時々、大石選手や佐藤選手がいない時にフリーキックを蹴ることがあるのですが、そっちはさすがにちょっとハラハラ感が強すぎるので、来シーズンからはそこのところもよろしくお願いします。鋭いミドルパスの精度が向上すれば、ゲームメーカーとしてもさらに1段階上にいきそうな予感が漂っているので。
ミドルシュートはまあ、たまに入ればヨシ!

ちなみに僕は諸岡選手のことを勝手にブラウブリッツの遠藤航と呼んでいます。
もちろん遠藤航選手本人がリバプールを退団し秋田への加入を希望する場合も、我々は大いに歓迎いたします。
諸岡選手がリバプールに移籍する場合も応援します。

と思ったら、諸岡選手自身も遠藤選手のプレーを参考にしてるらしいですね(02:13~から)。

水谷拓磨

今季はコンスタントに出場機会は得たものの、春先の負傷離脱、メインでプレーする両翼が盤石だったため、サブでの出場が多めでした。
それでもキックの精度は抜群で、主に左サイドで途中から入ると右足でガンガン鋭いクロスを上げていました。左サイドで先発することの多かった佐藤選手が左利きな分、より一層交代出場からのいいアクセントになりましたね。
高さはないものの、当たり負けもせず、走力もあり、監督からしたらかなり助かる選手なのではないでしょうか。実際リーグ最終盤ではスタメンで出場する機会も増加しました。
右サイドの畑選手もそうですが、ここでのポジション間の競争があったからこそ、誰か絶対的なひとりの選手頼みにならず、1年通して怪我や不調で崩れることなくリーグ戦を駆け抜けられたのだと思います。
もっと得点やアシストなど、数字がついてくれば見栄えがいいのでしょうが、そこは来年に期待しましょう。

中村亮太

ミスターブラウブリッツも今季は出場機会は少なく、選手としては悔しい1年だったのではないでしょうか。あそこを枠に持っていければ、というシュートも多かったですし、本人も歯痒い思いがあったと思います。
ただ、個人的に印象的だったのはアウェイ甲府戦。劣勢の中で途中出場し、前からの守備や身体を張ったプレーで徐々に流れを引き戻すことに貢献。最終的に試合も勝利。ベテランがこういう活躍してくれると胸が熱くなります。プレーオフがなくなり、過去最高順位を目指すという難しいモチベーションの中でチームを引っ張るプレー。まさしくミスター・ブラウブリッツでした。
今季は夏の中断期間中のファン感謝夏祭り、インスタライブ、クラブハウス完成にともなうメディア取材など、もはや広報も兼任する勢いで秋田のために頑張ってくれました。
来年はぜひともゴールを!

大石竜平

なぜこんないい選手がシーズン開幕までフリーだったのか。それを見抜いた吉田謙監督の彗眼たるや。正直個人的には全く情報が無かった選手でしたが、めちゃくちゃ秋田のサッカーにフィットしていましたね。
崩しの部分でもボールを動かせる、高精度の右足、守備でも走れる戦える。清水戦は圧巻のパフォーマンスで、プレイヤー・オブ・ザ・マッチの活躍ぶりでした。

無念だったのが中断期間前の山口戦での怪我。痛がり方からして靭帯系っぽいヤバそうな雰囲気でしたが、それまでは本人の調子も良さそうだっただけに悔しかったでしょう。最後の最後で復帰しましたが、離脱前に比べると満足なプレーはできていなかった印象です。
この悔しさはぜひ来年ピッチ上で晴らしてください。

清水の選手はみんな大石選手がシンプルに上げてくると予想してポジション取りしてただろうけど、その裏をかくマイナスのグラウンダーでのクロス。サイドバックの裏を取った崩しの場面も含め、攻撃の幅が増えた今季の秋田を象徴するお手本のような崩し。

栗本広輝

大宮から新加入でしたが、思うようなプレータイムとインパクトを残すには至らず。出場して大ポカする感じでもないし、良い選手なんですけど、今季は同ポジションの競争が激しすぎましたかね。
来季どうなるかは他の選手たちの去就次第か。

藤山智史

こちらも長年秋田の核を務める中盤の要。目立つプレースタイルではないのだけれど、ポジション取り、サポートの速さ、オーバーラップ、潰しどころで躊躇しない判断力など、チームを回す歯車としてピッチの中央で活躍してくれました。
プレー時間の長さ、スタメン出場数の多さはその信頼の表れで、誰とボランチを組ませてもそつなくこなせる器用さと柔軟性は、もしかしたら諸岡選手を凌ぐかもしれません。
ますます群馬戦の退場はなんだったんですか、あれ。
来年も残ってくれるはずなので、どうぞよろしくお願いします。
公式プロフィールでの『好きな食べ物 秋刀魚の塩焼き』がめちゃくちゃ渋くて最高です。今年は豊漁らしいので美味しい秋刀魚いっぱい食べてください。クラブハウスの食堂にお願いしたら作ってくれると思います。


小野原和哉

金沢からレンタルで獲得した選手なんですが、これまた大当たりの補強でした。
序盤戦はサブ出場が主で、徳島戦のスーパーミドルの先入観もあり、「なるほどね、豪快なファイタータイプね、うんうん(見た目もなんか厳ついし)」と思っていましたが、プレー時間を増すごとに少しずつ本来のプレーを発揮。想像以上に柔らかいプレー!
さすが元ポルトガルでプレーしていたな、という足元のテクニックは秋田の中盤にこれまであまりなかったレベル。ショートパスかロングボールが多い秋田にとって、ミドルレンジの柔らかいボールを蹴れる小野原選手の存在は貴重でした。その上走れてフィジカルコンタクトも負けない。囲まれても慌てない。奪いどころで矢印を前に向ける判断力も抜群。
シュートも迷いなく撃つから、中途半端に相手に引っかかってカウンターを食らったりしないのもいいですね。

来季も残るかどうかは金沢との交渉次第になるでしょうが、金沢が来シーズンもJ3の場合、完全移籍での獲得ができたら最高でしょうね。

ファン感夏祭りでのイカつい!イカ焼きがハマり役過ぎて最高でした。

FW

畑潤基

2年目を迎えたサイドアタッカーは今季も躍動していました。前半戦はスタメンが主でしたが、夏場以降はサブに。それでも途中出場から圧巻のプレーを続け、リーグ戦終盤では再び先発出場の機会を増やしました。

両足の精度やそれを活かしたセットプレーのキッカー役はもちろん、好調時のドリブルは手が付けられないヌルヌル具合。途中交代で出てきてあれだけ単独でボールキープ&前進してくれたら、相手にとったらたまったものではないでしょうね。
特に同ポジションの競争相手だった河村選手が結構前進ファイター型なので、そこのオプションとして冷静かつテクニカルな畑選手が控えていたのは今季の秋田の躍進を支えていました。
あと、ブラウブリッツには各選手にキャッチコピーがあるのですが、畑選手だけ様子がおかしくて最高です。

これもうなんでもアリで笑う

小松蓮

J3得点王の肩書きを引っ提げ、松本山雅から鳴り物入りで入団したエースストライカー候補。加入のプレスリリースが来たときには「え!?あの小松蓮が秋田に!?」と驚くと同時に、秋田も松本山雅からJ3得点王を獲得できるまでになったか、と隔世の感がありました。
が、今季は小松選手にとっては苦しいシーズンになりました。

秋田のFW陣は攻撃と同じくらい守備タスクをこなす重要性が高いという事情はあるにせよ、公式戦7ゴールはシーズン前の期待値からするとまだまだ物足りない印象。
とはいえ、カップ戦で湘南相手に殊勲弾、奥羽本戦アウェイでの先制点や、15周年記念マッチでの決勝点など、重要な試合で点を取る、いわゆる『持ってる』感じがするのはやはりストライカーでしたね。小松選手が決めた試合は全て勝っているのも縁起がいい。毎試合得点してください。
リーグ戦最終盤には来季に繋がる量産体制な雰囲気も出ていたので、2年目以降が勝負になりそうです。

ちなみにいつだかの『KICK OFF AKITA!!』で振り向きざまのシュートをめっちゃ練習しているところが流れたのに、今シーズンは全てワンタッチゴールでした。ボックス内で輝く、ポジション取りと反応に長けたハリー・ケインみたいなタイプなんでしょうね。バーに弾かれたけど、入っていればスーパーゴールだったね、みたいな不運も多かったですし、来年は練習の成果を発揮して20点くらい取ってほしいです。今季は終盤にようやく本領発揮か!?というところで終わってしまったので、来季はぜひこの火種が湿ってしまわぬよう、開幕から遠慮なく爆発しちゃってください。得点力さえ上がればもっと上に行けるチームなので、10番を背負う男が浮上の命運を握っていると言っても過言ではありません。

……というか来年も残ってくれますよね!?
シーズン終わり際の活躍が後から思えばステップアップのための就活だったね、みたいなJ2あるあるパターンはやめてくださいよ!?
なんかジュビロ磐田とかジェフ千葉(小森の代役は自前で用意してくれ)、ファジアーノ岡山がこっちを見ている気がしますけど!

やや後ろに来たボールをほぼ垂直跳びでこの強烈なヘディングシュート。跳躍力と体幹がすごい。クリスティアーノ・ロナウドかよ。

梶谷政仁

今季急成長No.1じゃないですか。
空中戦も強く、足元もあり、ドリブルも上手い。絶好調時は梶谷が受け、梶谷が運び、梶谷が捌き、梶谷が撃つという戦術梶谷を体現しておりました。
秋田のサッカーの中にこういう飛び道具的なテクニシャンがいると相手にしてはかなりやりづらいと思います。それでいて守備強度も高いですから。J1のチームから完全移籍で獲得しただけあるな、という印象。それでいてアツい性格。そりゃあファンからも愛される。
これだけの選手、年齢もまだ若く他に引く手あまたでしょうから、秋田はなんとか残留させてほしいところ。
どうです、もう1年で秋田で身体を鍛え、得点数、プレーの幅も倍増させませんか?元所属の鳥栖もJ2に落ちてきたところですし、恩返し弾でも決めちゃいましょうよ。

サイヤ人みたいな肉体。来季以降もクラブハウスで筋トレに励み、栄養満点の食事を補給してください。

半田航也

潟上のプリンスは今季前半戦は輝くものがありましたが、後半戦には出番激減。前線に置いておくと突如脈路のない得点を決めたり、当たるも八卦当たらぬも八卦枠として活躍してくれるのですが、さすがに計算し難い要素が強すぎたか、怪我人などが戻ってくるとベンチ外の時間が長くなりました。
ただ今季一番心に残るゴールのひとつはおそらくアウェイ千葉戦での半田のゴールでしょう。
退場者を出し、ほぼサンドバッグ状態の中で途中出場、からの左足でビューティフルゴール。ええい、いったれ!みたいな感じで撃ってみたら入った感がすごかったですが、間違いなく今季のベストゴール候補でしょう。
あとあの圧倒的状況から理不尽ミドルを決められ、最終的に逆転負けを食らうジェフ千葉はマジでお祓いに行ったほうがいいと思います。せっかくPK止めた後のコーナーキックで逆転されるあたり、理屈じゃない何かがあると思います。どうぞ来シーズンもお手柔らかに。

ちょっと決めた本人がビックリしてる。

吉田伊吹

優しそうな顔をしているけど怒ると実は怖そうな選手ランキング堂々1位の吉田伊吹選手ですが、今季はなかなか苦労するシーズン。
開幕から途中出場が主でしたが、春先に故障。夏終わりに復帰しましたが、なかなかプレー時間は伸びず。
それでも途中出場したときは力強いボールキープで安定感抜群。対人やポストプレーは秋田でもトップクラスの強さではないでしょうか。アウェイ熊本戦での0-3ビハインドからの怒りの左足シュートは鮮烈でした。
来季は怪我なく1年戦い、たくさんゴールを決めてほしい。

佐藤大樹

町田ゼルビアからレンタルで獲得した選手ですが、素晴らしい活躍ぶりでした。
序盤戦は得点を量産。対策をされてなかなか数字が出ない時期もありましたが、夏以降再びゴールやアシスト数を伸ばし、今季秋田一のG/A数を残しました。大当たり補強でしたね。
左足の精度はピカイチということで、最近のサッカー界では少なくなった左利きの左サイドハーフとして安定したプレー。ホームのジェフ戦での鋭いピンポイントクロスは佐藤選手だからこそのプレーでした。さらにボックス内に侵入して点を取る場面も多く見受けられ、単なるサイド上下動からのクロス上げまくるマンではないのだな、と。蹴るボールのバリエーションも豊富だし。さらにそれに加えて守備能力も高く、さすが町田から来た選手という感じでした。来年も残ってくれるかは町田次第ですかね。
ただ町田自体がめちゃくちゃ大型補強連発していますし、この冬もきっと色々動きがあるでしょう。戻ってもなかなか大変な状況となることが濃厚ですから、秋田に残ったほうが選手としてもプラスだと思いますがどうでしょう。普通に完全移籍してきてほしい。

ちょっと内田篤人に似てる。

青木翔大

秋田で3シーズン目を迎えた2024年シーズンは誕生日に1ゴール1アシスト1PK失敗の大暴れをしたのが印象に残った青木選手ですが、全体的に安定のプレーぶり。得点はもちろん、前線のターゲットマンとなったり、ポストプレーもできたりと、最前線にいるだけで秋田の攻撃のバリエーションが明らかに増えます。
今年34歳となったベテランですが、先発、途中出場問わず及第点のプレーを確実にこなしてくれるのはさすが経験に一日の長ありな感じ。フィジカル要素がかなり強い秋田のスタイルにも問題なくフィットし続けているあたり、おちゃらけキャラなフリして裏ではめちゃくちゃケアやフィジカルトレーニングに余念が無いんでしょうね。
このオフシーズンはPKも練習してください。
ジェフ戦も鹿児島戦も勝てたから笑い話になったものの、実際は蹴る前からなかなか嫌な予感プンプンでした。

ブラウブリッツ夏祭りでプリンス組になってめちゃくちゃイジられてたのはご愛嬌。

河村慶人

夏のレンタルで加入した選手なんですが、これがドハマりでしたね。
大石選手の負傷で加入後初戦からスクランブル発進となったのですが、走れるし守れるし、早速吉田監督の求める戦術にもハマっていて、こりゃあ良い補強したな、と感心した覚えがあります。というかあのタイミングで加入していなかったら右サイドはどうなっていたことやら…本当に秋田に来てくれてありがとう。

なにより良いのが、一対一の局面でかなり高い確率でクロスを上げることができる部分で、このあたりはやっぱりJ1のクラブから来た選手だな、という感じでしたね。対人でも強いし、やはりJ2レベルだと違いを見せつけていました。
ここにクロスの精度と得点力がもう少しつけば言う事無しなのですが、そこまで成長したらもはやヴェルディに戻ってしまいそうなのが悩みどころ。本人も本職であるFWでのプレーを希望しているみたいですし。

なんとかこのままちゃっかり借りパクできる要素がないか探していたのですが、どうやら魁新聞の記事によると現在単身赴任中らしいです。この夏結婚したばかりの奥様もぜひ秋田に呼んでください。広い家ならたくさんありますし、デートスポットも紹介しますから。御所野イオンとかラウンドワンとか出戸浜海水浴場とか秋田駅西口の駐車場で待ち合わせなんかしちゃったりして……あれ、あそこ芝生広場になったんだっけ!?免許取りたての時にとりあえず行ってみる場所みたいなチョイスしかできなくてすいません。AK♡TAのモニュメントの前で写真撮ればいいと思います。
まあとにかく河村選手には秋田で幸せな家庭を築いてそのままJ1に導いてほしいものです。クラブ公式サイトの一問一答で秋田の好きなところに『空気がきれい』って書いていたの、僕は見逃してませんよ。

もう東京には戻れないね。 
大雨が降った翌日のセリオンは水がとんでもない色になるからデートで行ってはいけない。

監督

吉田謙

我らが吉田謙監督の指揮の下、今年のチームはJ2昇格以来4年目にして過去最高順位に着地。
こんなことを言うと何だか中途半端な感じに聞こえるけど、今の秋田のクラブ規模で危なげなく毎年中位を維持するのは相当すごいことです。なんなら今年はPO争いに片足突っ込んでたし。

それを実現するのは吉田監督の徹底したチーム作り。選手を引き抜かれることも多く、決して安定しない選手層の中でチーム哲学に合致した選手を的確に補強し(これはフロントも優秀)、戦える集団を構築する手腕は見事。
そのあまりの徹底したリアリズムぶりに他サポからはアンチフットボールだなんだとか言われることも多いですが、僕はこのくらい割り切ったサッカーの方が好きです。
ちょこちょこパス回しするけど全然攻めきれないみたいな虚無を90分見せられるよりも、球際激しく、切り替え早く、走りまくるサッカーの方が見応えがあって楽しいです。
エンターテインメントである以上美しく勝つ、それは潤沢な資金で圧倒的な選手層をもつ選ばれし者(クラブ)たちの理論。我々のような規模の大きくないクラブが必要なのは割り切りと徹底です。そもそも勝つことが一番のエンターテインメントだし。

ただ今はまだ(少なくとも新スタジアムが完成する頃までは)雌伏の時とはいえ、このまま毎年中位なサッカーでいいのかという問題提起がなされるのも致し方ないですし、あえてこういう言い方をすると、いわゆる一般論的に『面白い』『魅せる』サッカーかというと決してそういうわけでもないので…。
特に昨季まで勝てていなかった山形、仙台、徳島、大分、甲府を破ったり、残留圏とは無縁のまま最終盤までPO争いに食らいついたり、J2定着だけじゃ物足りない次のステージに進んでいる時期な分、どういうチームの方向性にするかは悩みどころでしょう。

このスタイルのサッカーでJ1自動昇格するには、かつての町田のように要所にデュエルで勝てるタレントと絶対的ストライカーを揃えるのが最低条件なのだが、チームの規模を考えるとね、うん。メインスポンサーのTDKさんが急に本気を出し始めたりしない限りはなかなか難しそう。
そんな中でコツコツと勝ち点を稼ぎ、降格しないサッカーをする吉田監督無くして今の秋田は無いとも言えますが、このまま何年これを続けていくのでしょう、という問題にぶち当たるのは不可避な訳で…。もちろん崩しのバリエーションが増えたりと、スタイルは変わらずとも着実にバージョンアップは進めていますが。これも秋田が成長する中で一種の過渡期に入ったということでしょうか。この壁(というかジレンマ)を乗り越えた先にJ1昇格があると信じています。

ちなみに、僕は吉田謙語録もまだまだ聞きたいし、インタビューの時の通訳挟んでるような独特の間も癖になるし、そもそも自チーム以外からもこんなに愛される監督って他にあまり聞かないですし、吉田監督以上に秋田にマッチする監督はそうそういないと思います。
変に色気だして監督変えて『自分たちのサッカー』をやりだした途端に歯車が狂って崩壊→降格したチームなんて枚挙にいとまがないですから。秋田は今の上昇気流(ひいては新スタ建設の機運)を逃さぬためにも、J3に降格することだけは許されない状況なだけに特に。
明日は我が身という危機感を持ちながらこれからも秋田スタイルで戦いましょう。というわけで吉田謙監督、来年もどうか続投でよろしくお願いします。

あと、これは全然本筋に関係ないんですけど、吉田監督がインタビューで『日常』や『徹底』、『本気』、『積み重ね』と言うたびに、そのあたりに普段から甘々な自分はなんだか叱られているような気がしてドキッとしてしまいます。サッカー選手ってやっぱりすごいや。自分みたいに夜中2時にポテチ食べながらコーラ飲んだりしないんだもんな。こんな人間が偉そうに選手達を語っていいのか、と最後の最後に胸が痛くなりました。


というわけで、わざわざここまで読んでくださりありがとうございます。どんな新加入選手が発表されるかよりも、誰が出ていくかばかり気になってしまい、ここのところ毎日ベッドに寝転がりながら選手達のSNSを巡回しておかしな投稿がないかチェックする警察になっています。お昼時はいつ公式LINEからメッセージが来るか心臓がバクバクします。
こんな調子で精神に異常をきたす移籍市場は怖くて追いたくないので年明け1週間後くらいまで冬眠したいです。
それではみなさま、春が来たらまたお会いしましょう。

信じたこの道を俺たちは行くだけ!!

GKとDF編はこちら。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?