陳氏太極拳図説巻首(10)錯綜の図
参考
錯(旁通):陰●と陽◯の配列がコインの表裏のように互いに相反しているもの。
綜(反対):陰●と陽◯の配列がコインを逆さまにしたように上下反対になっているもの。
六十四卦相錯図
八宮尾二卦正錯互綜図
天地と水火は正卦であり、互いに錯す。
その尾の二卦はそのため互いに綜す。
天の火地晋 ◯●◯●●● ↔ 水の地火明夷●●●◯●◯
天の火天大有◯●◯◯◯◯ ↔ 火の天火同人◯◯◯◯●◯
地の水天需 ●◯●◯◯◯ ↔ 火の天水訟 ◯◯◯●◯●
地の水地比 ●◯●●●● ↔ 水の地水師 ●●●●◯●
風雷と山沢は隅卦であり、互いに綜す。
その尾の二卦はそのため互いに錯す。
雷の沢風大過●◯◯◯◯● ↔ 風の山雷頤 ◯●●●●◯
雷の沢雷随 ●◯◯●●◯ ↔ 風の山風蠱 ◯●●◯◯●
山の風沢中孚◯◯●●◯◯ ↔ 沢の雷山小過●●◯◯●●
山の風山漸 ◯◯●◯●● ↔ 沢の雷沢帰妹●●◯●◯◯
序卦正綜
(一)
乾の属は姤より剥へ順行し、坤に属するものと互いに綜す。
坤の属は復から夬へ逆行し、乾に属するものと互いに綜す。
夬 綜 姤
大壮 綜 遯
泰 綜 否
臨 綜 観
復 綜 剥
(二)
坎の属は節より豊へ順行し、離に属するものと互いに綜す。
離の属は旅から渙へ逆行し、坎に属するものと互いに綜す。
渙 綜 節
蒙 綜 屯
未済 綜 既済
鼎 綜 革
旅 綜 豊
(三)
艮の属は賁より履へ順行し、巽に属するものと互いに綜す。
巽の属は小畜から噬嗑へ逆行し、艮に属するものと互いに綜す。
噬嗑 綜 賁
无妄 綜 大畜
益 綜 損
家人 綜 睽
小畜 綜 履
(四)
震の属は豫より井へ順行し、兌に属するものと互いに綜す。
兌の属は困より謙へ逆行し、震に属するものと互いに綜す。
謙 綜 豫
蹇 綜 解
咸 綜 恒
萃 綜 升
困 綜 井
六十四卦顛倒相綜図
この図は伏羲八卦の天沢火雷風水山地の順序に基づき、さらに天沢火雷風水山地をその順序でそれぞれの卦に重ね、それらを顛倒して綜すると、天天乾◯◯◯◯◯◯と地地坤●●●●●●、水水坎●◯●●◯●と火火離◯●◯◯●◯の四本卦、山雷頤◯●●●●◯と沢風大過●◯◯◯◯●、風沢中孚◯◯●●◯◯と雷山小過●●◯◯●●の四交卦で、合わせて八卦となり、互いに錯す。そして残りの五十六卦は綜して二十八卦となり、計三十六卦である。そのため邵雍は「三十六宮はいずれも春である。いわゆる八が分かれて十六になり、十六が分かれ三十二になり、三十二が分かれ六十四になるのは、その法象自然の妙を現したものである」と述べている。
太極生一百二十八卦相錯図
前図は六十四卦顛倒相綜であり、この図は六十四卦相錯である。これにより太極拳の纏糸精の大圏小圏におよそ六層あり、人身の皮膚・肌肉・筋腱・網膜・骨節・脳髄の六層と適応符合していることを明らかにする。およそ血気の流通、精神の凝聚はいずれも上下の升降、表裏の出入が可能であり、常にその圏の大小を験してその環の中を得ることができたならば、必ずやこのことが自ずと知れるだろう。
(抜粋)
内一圏外十二圏陰陽各三二
内二圏外一一圏陰陽各十六
内三圏外十圏陰陽各八
内四圏外九圏陰陽各四
内五圏外八圏陰陽各二
内六圏外七圏陰陽各一
易に言う、「一陰一陽、之を道と謂う」とは、その根に帰り命に復すことをいうのである。すなわちもっぱら陰陽を一として天に還るのである。