夢で逢えたら
ここはどこだろうか。
見慣れた場所の気がするのに、思い出せない。
遠くに人影が見える。
誰かが手を振り、こちらへ歩いてくる。
見覚えのあるシルエット。
「__ 先生?」
いつの間にか先生が目の前に立っている。
先生の匂いだ。
「2人で少し話しませんか。」
先生がそっと耳打ちする。
「はい」
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ここはどこだろうか。実験室?
綺麗に掃除された黒板、
バラバラと机と椅子が置かれている。
黒板のすみに地図が貼られている。
「__さん。」
はっとした時には先生の腕の中だった。
「私、あの。先生__」
「ずっと待たせてすみません。」
先生の顔が近づく。
(そう、私、)
(ずっと待ってたんです。先生。)
(貴方に会えるのを。貴方と話せるのを。)
(何度も何度も、貴方の夢を見た。)
「ねぇ、あなた、どこに居るの__?」
「私、そんなの許さないわ」
遠くで女性の声が聴こえる。
(そうよね。こんなの駄目よね。)
(先生のこと、私本当に___)
「先生、座ってください。」
私は先生をそっと座らせる。
そして、先生の両腕のシャツの裾をきゅっと掴む。
鼓動が早くなるのを
小さく深呼吸して落ち着かせる。
先生の唇にそっと自分の唇を重ねる。
(__好きなの。)
顔を離すと、先生と目が合う。
先生の頬に雫が落ちた。
「先生、好きでした。」
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気付いたら、部屋の天井が見えた。
カーテンの間から光が刺している。
鳥の声が朝だと教える。
「夢でよかった。」
自分の頬に涙が伝う。