第11話»出店
祭り行事の1つにパレードがある。
初日と最終日の2回だ。
初日は割と軽め、祭りのプロローグの様なもの。
パレードは参加するのに個人でも団体でも受付け可能だった。
その初日が今日スタートする。
参加者にはセンサー付きの腕輪が配られていて未登録者は確認出来るようになっていた。運営的に必要な処置である。
個人参加はイマドキが進めていた企画で今年始めて。
集団行動が苦手な人も祭りに参加したいはずだと
イマドキらしい考えが企画として運営側に通じた訳だ。
祭り事は皆でやるのだが、そこに個人が有っても良いだろう。
好きな衣装で思い思いの動きで楽しんでもらいたい。
パレードはイマドキに頼み奈美は出店へ。
VIE LENTEの出店では、簡素ながら低刺激な脱毛を
体験してもらう事が出来ると言う内容。
その為に個室も設けた。
浴衣着が多い祭りだけに腕や脚など出しやすいのが利点。
女性は勿論だけど男性の脱毛もメジャーになってきている。
アトラクション感覚で参加を募りたいと考えている。
さてさて。
奈美が出店に着き、中に入ると
親子連れが落ち着かない様子でスタッフと話していた。
何気なく近寄りその内容を伺ってみる。
要約すると親の脱毛に子供が関心を持ち、
自分もやりたいと言うものだった。
子供の脱毛までは考慮していなかったので
スタッフはマニュアル通りの対応をして親のみの施術を薦めていた。
子供がやってみたいと言えば
親としてはさせて上げたい気持ちは
当然だが有るのだろう。
が、不安も理解出来る。
そこで奈美はお子さんの容姿を確認し、
スタッフを呼び寄せ提案を伝えた。
スタッフはうんうんと納得して接客に戻り
笑顔で説明をすると
親も顔がほころび、子供もハシャイで喜んでいた。
奈美がスタッフに伝えた内容はこうだ。
低刺激なので子供でもオッケーなのだが
ホルモンバランスなどの影響で効果はマチマチ。
なので年齢的に安定してから行うのが通常はベスト。
しかし体験をさせて置けば今後の施術の広がりが予想される。
営業として、そんな裾野を広げておくもの良いだろう。
それと本当はこっちが重要で、祭りイベントだから子供達に
楽しい記憶を作って上げるのも
大人として大事ではないか。
と言う内容だった。