【ホラー】間違えてお父さんの歯ブラシを使った話

それは大学2年生の頃のおはなしです。

当時、今をときめく女子大生であった私は歯磨きは10分以上かけて丁寧にするという良い習慣を持っていました。

その理由はというと、私が物心ついたときから私の父の口がう◯この匂いだったからです。
それはそれは気絶モノの口臭で、世界口臭大会があったなら、金メダルを取れる実力をお持ちでありました。

そんな父のもとで育った子どもは、父のように口臭によって人を傷つけるような人間はなりたくないという強い意思のもと、一層歯磨きに力を入れていました。

しかし、悪夢は突然に始まります。

その日の夜も私は歯を磨くためにいつも使用している青色の歯ブラシを手に取りました。

その時に戻れるなら私はどんな恥ずかしい事をしようとも戻りたいと願うでしょう。

私は6人家族なので歯ブラシの色でマイ歯ブラシを見分けていました。
つまり、そこには6色の歯ブラシがあったということです。
6色ともなると違う色ではあるけど、青は青でも緑っぽい青とか、紫っぽい青とかがあって分かりずらいので、色に加えて歯ブラシを収納している位置でマイ歯ブラシを見分けていました。

我が家の歯ブラシ立て


だから、歯ブラシを間違うなんてことはあり得ないんです。絶対にあり得ないんです、、、

その日、私はいつも通りマイ歯ブラシを取って丁寧に歯を磨いていました。
その時に(あれ?こんなにブラシの部分毛羽立ってたかな?)と心の中で一瞬思ったものの、そんなこと気にせずいつものように念入りに歯をゴシゴシ磨きました。

そんなこんなで歯磨きを終えて、うがいをし、マイ歯ブラシを元に戻そうとした時、あることに気が付きます。

歯ブラシ立てに自分の歯ブラシがある、、、( ゚д゚)ナゼ?

つまり、、、
今自分が持っている歯ブラシはまさか、、、

そこで自分が今世紀最大のミスを犯していることに気が付きます。

ウワーーーーー!!!!!!!
あのクチクサおじさんの歯ブラシで歯を磨いてしまった!!!!泣泣泣泣泣泣

頭の中はパニック、奇声を上げながら母に助けを求めます。ショックでショックでたまりませんでした。

母:あんたアホやなーーーどーもないって

私:そんなん、そんなん、最悪、え、どうしよう、ほんまに無理、イヤヤ!!!!!!!

パニックで階段を駆け上がり、2階の自室で呑気に韓ドラを見ていたクチクサおじさんこと、父に叫びつけました。

私:最悪!!お父さんの歯ブラシで間違えて歯磨いてしまったーーーー泣泣
口臭いの移るやん!💢💢💢💢

父:最悪なんはコッチや!なんで間違えんねん!

ごもっともです、、、、、
普通に考えたら間違って歯ブラシを使われた父が被害者。しかし、加害者である私は被害者の父を罵倒し、泣きわめく。

今考えたら、普通に父が可哀想でしかないのに、その時の私は世界の終わり並みの絶望感に苛まれており、父を罵倒することでしか、この現実に耐えることができませんでした。

その日は全てのクチクサ菌を駆逐してやるという気持ちで、自分の歯ブラシで二回ほど歯を磨き直し、うがいを50回はしました。

完全に自分のミスなのにも関わらず、父に八つ当たりをして、あの時は悪かったな、、、と今でも心の中でごめんねと思っています。笑
と思いつつも、あの時のショックは今でも鮮明に覚えています。

それからなんやかんや忙しくしており、歯医者の検診に2年ほど行けてなかったのですが、先日、歯医者さんに検診に行くと、なんと歯周病の菌が口にいると診断されました。

毎日丁寧に歯磨きをしているのになぜ!?
と、とてもショックでした。

歯科医師さんによると、歯周病は接吻や食器の共有でも移ることがあると説明をされ、

(キスでも移るんや〜へ〜〜でもそもそも彼氏おらんわ、悲し、、、、、では何故?歯磨きしっかりしてたのに、、、なんか思い当たる節あるぞ、、、、私の周りで歯周病って父やんかいいいい!!!!歯周病菌の付いた歯ブラシで歯磨いてたわ!!そういえばあの間違えた頃からなんか口の中がネバネバするような、、、)

・・・T_T

もはやショックを通り越して悟りを開いた私は、どんな大金を払ってでも治療をすると決め、勧められた三千円ほどの薬用歯磨き粉とよく分からん飲み薬を購入した。

そのおかげで現在口腔環境は無事正常に戻り、幸せな生活を送っている。
しかし、2年間ほど父の歯周病菌と共に過ごしていたと考えると、恐怖で夜も眠れない。

ちなみに虫歯も2本ほど見つかった。
もっと早くに検診に言っていれば、、、歯周菌が居たのも父のせいでは無いようなきもしたが、父のせいだということにしておこう。
歯ブラシを間違えたあの日から、過去の自分を悔やんでも悔やみきれない。

みんな、歯ブラシはしっかり自分のものだと確認してから磨こう。

そして定期的に歯科検診には行こう。

おわり

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