命の記憶
命が始まる時も尽きる時も、私たちは記憶に残せない。
どうやって生まれたのか思い出せず、どのように息絶えたのか分からないまま人生を終えていく。
そもそも、 考える機能がなくなるのだから、生きた記憶すら失ってしまうのだと思う。
それでも生きている限り、新しい記憶を刻み続けていく。
私の中に残る記憶には限りがあるけれど、代わりに誰かの記憶に残ることはできるらしい。
私が私を忘れた頃に、誰かが私を思い出す。
命の記憶は、そういうものなのかもしれない。
【後書き】
魂は覚えているとか、生まれ変わりがあるとして
現世の私が前世を覚えていないように、来世の私は現世を覚えていないと思う。その記憶力があるのなら、ぜひ他のことに使ってほしい。