ロシア産石炭の輸入禁止処処置
ロシアのウクライナ侵攻に対する追加制裁として、岸田首相は8日夕方、「ロシア産石炭の輸入を禁止する」と表明しました。
背景
ロシアによるウクライナ侵攻に対する制裁措置として、これまでも輸入
制限や大手銀行の取引禁止などの措置を行ってきましたが、更なる侵攻や民間人の殺害などの状況を踏まえて、各国と連携して更にロシアに制裁措置を行う必要が出てきました。
元々、アメリカは1か月前にロシア産石炭の禁輸を決めていましたが、
日本は、「アメリカは産油国であり、日本とは状況が違う」と静観していました。
しかし、事態は悪化の一途を辿り、更なる追加制裁措置が必要になって
きています。
概要
ロシアからの石炭を輸入禁止する方針が決定されました。
実現に向けて、代替先の確保や、代わりのエネルギーの確保に動き、段階的に切り替えていく、との事です。
また、他のG7も同様にロシアに対して圧力を高める方針で動いており、
日本も連携する必要が出てきています。。
ロシア産石炭
ロシアは世界3位の石炭輸出国で、世界シェアの約15%を占めており、
日本はロシアからの輸出の1割分(約2828億円)を輸入しています。
参考)
・石炭に関する日本の輸入相手先(2020年データ)
1.オーストラリア:68.2%
2.ロシア :14.7%
3.インドネシア :11.5%
参考)
http://www.ene100.jp/www/wp-content/uploads/zumen/1-2-4.pdf
https://www.globalnote.jp/post-3296.html
その他の輸出国は、中国、韓国、ドイツ、ポーランドとなっています。
アジア向けの需要が右肩上がりで増えている状況です。
参考)
https://coal.jogmec.go.jp/content/300373354.pdf
今後、ロシア産の禁輸措置を受けて、オーストラリアを始め、産油国の
切り替えが想定されますが、世界的に同様の動きとなる為、需給バランスが崩れてコストアップや長納期化の影響が出てきそうです。
代替エネルギー
原子力発電や再生可能エネルギーが検討されています。
・日本の2020年時のエネルギー割合です。:全体(10,013)(億kWh)
1.天然ガス :39%(3,906)
2.石炭 :31%(3,101)
3.再生可能エネルギー :19.8% ※(太陽光:791、風力:90、
バイオマス:288)
4.石油 :6.3%(636)
5.原子力 :3.9%(388)
2位の石炭、3101億kWhの内、約15%のロシア産石炭で、465億Whを発電しています。
参考)
ttps://www.enecho.meti.go.jp/statistics/total_energy/pdf/gaiyou2020fyr.pdf
https://earthene.com/media/156https://earthene.com/media/156
https://www.sankei.com/article/20220408-HINLXVGI7NP6ZCFI3B2CSN7OYU/https://www.sankei.com/article/20220408-HINLXVGI7NP6ZCFI3B2CSN7OYU/
昨年、経済産業省が発表したエネルギー基本計画の素案では、再生可能
エネルギーを36~38%(2020年の約2倍)、原子力を20~22%(2020年の約3倍)としており、当初計画を早める必要が出てきた、とも考えられます。
世界の動き
アメリカは1か月前から石炭や原油の輸入禁止を決めています。
EU諸国も同様の動きを取っています。
今後は、燃料の確保に向けて、各国や企業が調整を求められる事になりそうです。
一方、中国やインドなど、禁輸を表明していない国では、引き続き、
ロシア産の燃料を購入するものと想定されます。
考察
燃料の変更は、大きな問題につながっていきそうです。
日本の製造業や経済への影響、ロシアとの外交関係、中国との関係など。
日本は、ロシアに対して厳しい姿勢を示していると思いますが、世界との足並みや協力関係が、今まで以上に求められている気がしています。
引き続き、注視していきたいと思います。