貧酸素水塊に襲われた三番瀬のシーバスは釣れたのか!?
急に冷え込んでの北風がようやくナギた2024/11/4 文化の日振替休日。船橋三番瀬からシーバス狙いだ。
まずは過去実績のあった幕張方面へ漕いで行ってみる。三番瀬はポイントまでまあまあ遠い。何度か休み休み、海苔棚が出てきたらもう少しだ。
海苔棚を越えてもう少し頑張ると目指すポイントだ。
わっせわっせと漕いでいると、ん?コノシロの死骸?まあ魚の死骸くらいよくある。でっかくて美味そうなコノシロだ。もったいないなぁ。酢締めで一杯やると最高だろな〜なんて考えていると、んん!?
マジか、なんじゃこら、死骸だらけ!幕張方面からどんどん死骸が流れてくる。気がつくとサップの周りがコノシロの死骸だらけになっていた。
それにしても臭い。腐敗臭が海面一帯を覆うほど、大量の死骸が漂っていた。
まさかこれはアレか!?とスマホを見ると
ダメだこりゃ。終わった。
ここら一面、貧酸素水塊しかない。
暗澹たる思いというのはまさにこのことだ。
おそらく海底の貝たちも窒息死して腐敗しているのだろう。鼻を突く腐敗臭が耐え難く、180°回転して先ほど出てきたビーチを目指して漕ぎ出した。
帰ろう。
8時15分。
まだ8時かぁ。
ほんとに帰るの!?
帰ってどーするよ。まだ全然釣りしてないじゃん。かといってこれじゃ釣れるわけねーし。もし俺が魚だったらこんな臭くて息苦しいところに長居しねーもん。
「あ~〜〜もうマジかよ〜〜〜!!!」
思わず大声で叫んでしまった。
豊潤な東京湾が、まさか死の海に急変してしまったことにかなり混乱していた。
再び海苔棚を越えて、コノシロの死骸が来ない所まで戻ってきた。
とりあえず風で流されないようアンカリングしよう。
そして、さっき買ってきたコンビニのうどんを食おう。
全く途切れることのない鵜の大群を眺めつつ、しばらくボーッとする。
20年くらい前はアクアライン下のイイダコがよく釣れたのに、晩夏にこの貧酸素水塊(硫化水素発生後、青潮に変化)が発生するようになってからは全く釣れなくなってしまった。
吉久の船長とイイダコ調査に行った時、スッテに掛かるのは腐ったアサリばかりで心底しょぼくれたものだ。
北風が吹いて、海底の窪みから貧酸素水塊が舞い上がる。魚介類が逃げ遅れて死ぬと、それらがまた過剰な富栄養化の原因となり再び貧酸素水塊を作り出す…。
窪みを埋める?埋められない工業地帯への航路は?
貧酸素水塊。青潮の発生。
これらが毎年の悩みの一つ。そんなアングラーも多いんだろうなぁ。
ため息をつきながらそんなことを考えているとカヤックの方が近付いてきた。
「どうですか?」
「いやー、あっちの方コノシロの死骸だらけでひどかったですよ」
「マジですか〜。自分はさっきあのブイのそばで一つ取れたけど事故みたいなものだったのかな〜」
ほう!航路を示す赤い浮標のそばで釣れたとな!
じゃあこのまま帰ってもしょうがないし、自分もあの浮標まで行ってみよう。どうせ貧酸素水塊でダメだろうけど、やるだけやってみよう。それで釣れなかったら今度こそほんとに帰ろう。
そう決めて再び沖に向けて漕ぎ出すことにした。
これがミラクルを起こす。
浮標に近づくと水面にピチャピチャと音がして、雨が降ったような波紋が……!
!!!!!
これはベイトの大群の特徴!館山で何度も見た!
濁りが強くてはっきりとは見えないが、足下の水中には何千何万ものベイトの大群がうごめいていた。
ベイト来たーーー!!!
すぐに鉄板ブレードをキャストする。
ドン!
一発で来た!
釣りの番組で釣った魚をリリースしながら「ありがとう♪」の場面、なんか偽善で嫌いだったけど、この時はほんとに心から「釣れてくれてほんとにほんとにありがとう〜♪」と感謝の気持ちが沸いてきた。
今シーズンのシーバスは完全に諦めていた矢先、だもんなぁ。嬉しすぎて泣きそうだった。
それからは怒涛の入れ食い!だったのはタンデムのカヤックの方々で、ほんとに一投一匹の入れ食いだった。
後で聞くとメタルバイブが文字通り「鉄板」だったと。濁りでも目立つキラキラと強い波動が効いたみたい。
自分はセットアッパーと鉄板ブレードを半々に使って二投に一匹のペースで釣れ続けた。
いつの間にか周りはカヤックの方々もぞくぞくと集まってきて、みんなそれぞれ入れ食いを楽しんでいた。
「楽しいですね〜!」
「ほんとサイコーですね~!」
みんなニコニコ顔&テンション高めで挨拶を交わす。欲を言えばサイズ的にもう少し大きいとより楽しめるのだが、いやいや、今は釣れるだけでありがたいよ。嬉しいよ。
今回は全てリリースした。
それにしてもなんであんな真っ青な貧酸素状態でベイトが入ってきたのか。
あのサイトをよく見たら日付けが11/2になってた。雨降った土曜日のヤツじゃん。
2日後の4日当日は祝日だからか更新されておらず11/6との比較はこんな感じ。おそらく4日当日もこれくらい復活していて、だからベイトがあんなに入ってきたんだろうな。
茫然自失でうどんをすすっていたあの暗澹たる気持ちは、実は杞憂だった?
まあ、そうなのかもしれないが、この素早い復活も東京湾の底力なんだろな。
このまま貧酸素水塊が発生せず、ベイトが居着いてシーバスたちも腹いっぱい食べて、これからもたくましく生き残ってほしい。本気でそう思う。