『空間の経験―身体から都市へ (ちくま学芸文庫)』
空間、場所、時間について、人がどう認知して評価しているかについて書かれた本です。分野としては地理学に当たるとのことですが、認知科学的アプローチによる文化人類学と考えるとしっくりきます。
よりトリッキーな表現をすると、空間の経験というアートを鑑賞するための『美の壺』的マニュアル、と言ってもよいでしょう。実際これによって生じるのは、無意識に経験する空間について意識的に空間を経験することに他ならず、著者も「つまり本書は、あらゆる人文科学の試みと同様に、認識の拡大を目指しているのである。」の一文で本を締めくくっています。
原著は1977年に刊行されていますが、今でも読むべき古典であり、認知科学の研究者に深い洞察を与えるとともに、都市計画や文学、デザインといった幅広い分野においてもここで得られた知見が投射できることでしょう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?