長崎県議会総務委員会集中審査速記(郷原信郎参考人)
(郷原参考人) 2001年4月から2003年3月まで長崎地検次席検事。自民党県連裏金事件などを手掛けた捜査は、検事人生の中で最も思い出に残るやりがいのある仕事。生まれ故郷の島根、長く勤務した広島に継ぐ第三の故郷で、長崎には常に関心を持ってきた。2年前の長崎県知事選挙が代変な激戦と聴き、かなり公選法に違反する行為が横行しているとSNSでのお知らせや問い合わせがあった。選挙結果は現職知事が敗れ、大石知事が僅差で当選した。その後も大石陣営の選挙運動の問題はネット上でも指摘され、市民からの警察への告発の動きもあった。公選法違反は多くあったが、刑事事件として取り上げるものはあまり見当たらなかったが、大石氏の選挙費用の支出のなかに電話料金として402万円の支出があり、電話会社でなく選挙コンサルの会社に支払われている。その中に選挙コンサルに対する報酬が含まれているのではないかと考えた。上脇教授と連絡を取り合うことがあったが、同じ問題意識を持ち、領収書の公開を求めたところ、「電話代、SNS通信費、他」とあり、「他」の中には選挙運動の報酬が含まれているのではないかと、上脇教授と相談して告発すべきとした。上脇教授は違法の疑いのあることはすべて告発しているが、私は刑事事件の実務家なのでこれはというものしか告発しない。上脇教授と相談して告発した。報酬ではないかと疑ったのは選挙コンサルが自分で選挙運動に深くかかわり、選挙参謀をしていたと公言していたので疑っていた。相当強い疑いがあると判断したが、最終的に公選法上の買収罪に当たるかどうか。捜査の結果を待つしかないと思った。重要なことは402万円の支出が一部選挙運動の報酬であったとされているが、客観的に一部でも公になればその疑いは晴れるので、1週間後に大石知事に要請の手紙を送った。大石知事の発言や選挙コンサルの発言が違っている。大石知事の議会発言が矛盾している。それでいいのか。402万円の支出がそれでいいのか。ぜんぶ電話代であれば問題ないので公開を要請したが、残念ながら解明されず、長崎地検の審査の結果、4カ月後に告発が受理され、本格捜査がはじまった。残念ながら不起訴となった。刑事事件で最終的に買収罪が成立するには供述が必要。両方の供述がなければなかなか基礎は困難である。今回は、客観的に報酬分はあっただろうと。だから2年もの捜査が行われた。マスコミから聴くと、ほとんど選挙コンサルは完全黙秘だったというので、なかなか基礎は難しかっただろう。むしろ不起訴に終わったということは、大石知事が説明する段階に入った。402万円に報酬が入っているならなぜなのか。
(浅田委員) 20年前もそうだった。参考人は公選法に詳しい。我々選挙で選ばれた政治家、とりわけ知事という首長がどのような姿勢で公選法に望むか。
(郷原参考人) 公選法は公正な選挙ができるためのルール。有権者が当該候補者の政策や人柄、人物像などについて正確な情報が伝えられ、誰から指示され、どのような人から資金を提供されているのか、さまざまな情報が開示されることが重要。公正に選挙が行われたことが事後的に確認できることが大事。自治体の首長として自治体の行政を預かる責任を持っている首長は、選挙が公正に行われたということが極めて重要。20年前の事件も公選法違反事件から始まった。このときは自民党長崎県連とゼネコンの問題だった。知事も捜査対象だったが、直接捜査の中心対象になったわけではない。今回は刑事事件として提示した部分はきっかけとして重要だったが、この問題は県知事が直接疑いを受けている。訳の分からない不明な部分がたくさんあるので、刑事事件とは別に県知事として説明責任が強く求められる。捜査への影響で若干述べにくいこともあるが、公選法上知事の説明は極めて大きい。
(浅田委員) 知事自身が説明しなければならないが、はっきりとした答弁がない。130万県民の生活がかかっているということを知事自身が認識して今以上の説明をすべきと。
(郷原参考人) 自治体の大統領的首長である知事は県民に信頼されていることが第一。首長たる知事がしっかり説明できなければ、県民の信頼がない。あらゆる場を利用して説明すべき。どうも選挙コンサルが相当選挙運動に深く関わっていて、会計処理的にも深く関わっていて、そうであるにもかかわらず何も語っていない。捜査当局にも語っていないと言ったが、県議会に対しても同じ。そのお話を聞いた上で話をする最大限の努力をすべきだし、選挙コンサルとして契約関係にあるのであり、コンサルが依頼者である知事に説明する義務がある。
(浅田委員) これまでも選挙コンサルがキーパーソンである。知事にも「あなたから出て来てもらうべき」というが、「本人の意思だ」と逃げる。オートコールの402万円は捜査として終わっているが、議会としては説明責任を果たしてもらうべきと。昨日の朝、抗議文が議長や議員に舞い込んだ。「参考人が詐欺師だ」と言って、マスコミにも「そういう人を取り上げながら審議をするのはいかがか」と。しかし、詐欺師だというならそれを雇った知事自身に問題がある(「そうだ」の声)。抗議文が来る。議会でも意見があるが、その方の意見を聞くことで捜査に影響が出るのか。
(郷原参考人) 犯罪捜査は、さまざまな人から供述を得て事実を解明する。犯罪の世界はきれいごとでなく、自分自身も犯罪に手を染めている人もいるし、詐欺師もいる。そういう人物からも間違いのない供述を得て事実を解明するのが刑事事件の捜査。昨日の委員会での参考人として話をした元監査人が詐欺師だと問題とされた文書もマスコミから見せてもらった。本名はこうだとあり驚いた。同姓同名で過去に捜査したことがあったが、その人は詐欺師的なスキルを持っているが、確かな証拠を必ず押さえていく。彼に色々頼む政治家があり、その政治家に邪な考えがあると、彼の証拠で明らかになった。大物を有罪にしたが、ほとんどはその詐欺師の供述による。地検も慎重かつ客観的に組み立てているのではないか。
(浅田委員) 詐欺師であっても証拠があって裏付けがあれば、われわれは裁判所ではなく、県民が知りたいという現実を知りたいということを伝えるべく委員会を開いている。
(小林委員) 選挙コンサルの役割、見えない問題点があまりにも多すぎるという感じがする。コンサルタントが長崎知事選挙や市長選挙に色々関わりをしながら、調べると交通費もない、宿泊費もない、コンサルティング費もない。そういう状況でマスコミも疑問を持ち、知事にしばしば質問もある。すると、個別に契約して個別に支払っているという答弁。どんな意味か分からないが、一切、収支報告書にコンサルに支払いが出てこない。これは非常に胡散臭いやり方。コンサルティングを業にしている。自分の仕事として、業として、生業としているのに、宿泊代も、一番高いヒルトンホテルにどこの貴族か分からないかたちで宿泊している。見えないがゆえに胡散臭い。いろんな役割を果たしている。今回の集中審議にも出席をして、彼はここで当然われわれの質問に答えるべき人。むしろ知事が出席させるべき対象者だと思う。402万。交通費も宿泊費も全然出てこない。タダ働きして、ヒルトンホテルで豪華な食事をし、宿泊できないわけです。402万円に報酬も入っているんじゃないか。電話をする会社じゃないのに402万円が振り込まれている。
(郷原参考人) 402万あまりの電話代と称する支出のなかに相当程度の報酬が含まれていた疑いは晴れていない。知事の答弁は捜査に影響があるからと差し控えてきたが、刑事事件は不起訴。長崎地検でしっかり捜査をしたので検察審査会には申し立てしないので、402万円は刑事的に決着が付いており、答弁を拒否する理由ではない。データを分析したり、アドバイスしたりというところから選挙プランナーが始まっている。それが選挙運動そのものを受ける選挙コンサルという生業にするようになってきた。そうすると選挙運動そのものに対する報酬をもらうのは選挙違反。それを言い逃れるために政治活動への報酬としている。違法スレスレをしているのが選挙コンサル。公選法に違反するかの助言を有償で受けている選挙コンサルは弁護士法違反になる。さまざまな面で違法の領域に突っ込んでいる。実際に摘発された例もある。今回選挙コンサルが参考人で出席しないのはリスクが多すぎて出席できないが、県議会による事実解明ができないのは問題。
(小林委員) ほとんどの問題はコンサルの問題。その中心メンバーが来ないのは議論を妨げている。286万円を9つの医療法人が大石後援会に寄付ができないために自民党長崎第八支部を経て大石後援会に寄付するという迂回献金にした。なぜ選対本部長である県議の第八支部を通じたかと言えば、県連やその他の有力者にも断られ、選対本部長がすべきとコンサルから言われ、そのとき違法性がないと言い切っている。2000万円も架空貸付。いわゆる後援会にお金を入れていないのに入れた形で、返済するかたちで600万円余りの借用書をつくり、印鑑を押したのは県秘書課長。考えられない癒着だらけ。しっかり一掃しなければならない。絶対に要請がないと言いながら要請している。本件、知事が打合せをしてやっていることについてはどうか。
(郷原参考人) 286万と2000万のご質問。告発状を資料で配布している。402万の公選法違反捜査の過程で、知事側の動きから見えてきた新たな公選法違反。402万円は関係者の証言が得られずに不起訴になったが、そのためにもっと大きな公選法違反になった。286万の件は9つの医療法人から自民党支部に寄付が行われた。企業団体の献金は政党だけなので合法な寄付。それが県議の後援会から、大石氏の後援会に流れているのが迂回献金とされている。迂回することによって大石後援会に資金が提供され、選挙資金として使われることが目的の寄附だった。外形的にも時期からも選挙との関係が極めて濃厚で、医療機関側もマスコミ取材で大石候補のための寄付と明言している。大石候補のために大石候補の選挙に使うための寄附。形式上、支出先は後援会だが、後援会はどういうものかを上脇教授と調べた。支出は名刺、チラシなどモロに選挙費用。時期としても大石選挙と混然一体となっていた。286万円が大石後援会に政党支部などを経由して支出しており、寄付自体が選挙運動収支報告書に寄付として記載されるべきで、選挙違反、収支報告書の虚偽記載として告発した。しかし、少なくとも収入欄は寄付がゼロで、大石氏個人の収入しかなく、大石氏個人は寄附があったと明確に理解しており、虚偽の記載は公職の候補者としてまったくよくない。2000万円は大石知事の選挙費用収支報告書には自己資金2000万円と書かれている。医療関係の共催で借り入れたと書いている。これは大石知事の意向。これが一旦、借り入れとコンサルの指示で書かれ、ある程度知事に返済されているのが問題。私が経験した政治資金規正法違反事件で最も露骨かつ悪質な事件。よく記載誤りで訂正されるが、この件は借入を受けた自己資金は選挙運動収支報告書に書かれている。後援会は選挙運動で混然一体となっている。そうすると2000万円が残っているはずがない。貸付としてお金を取り戻すのであれば、後援会に選挙で寄付してくれたものを個人で取り込むのは横領。しかし、横領が難しいのは、後援会代表は大石知事自身。管理者として自分の財布から自分の財布に取り込んだ。問題は政治資金を虚偽記載して隠してしまったこと。実態を伴った政治資金規正法違反事件は見たことがない。上脇教授と二人で弁解の余地はないだろうと告発した。
(松本委員) 告発文書は緻密に書かれており、添付資料が収支報告書と新聞記事があるが。
(郷原参考人) 捜査機関ではないので刑事訴訟法での証拠収集ができない。マスコミの調査を根拠に告発をする。行政機関の行う告発もあり一定の調査権限に基づいて行うが、刑事訴訟法上の告発は何人も告発でき、マスコミ報道を根拠にしてもよい。長崎新聞の記事は十分信頼に足りるし、大石知事の答弁も貸付を否定していない。二重計上も理屈ではないし、実際に自己資金と書いている。報道とご本人の発言でほぼピースが埋まっている極めて楽な事件。
(松本委員) 公選法違反、政治資金規正法違反事件の悪質な件とある。資金の流れで杜撰なところがあった。告訴に至った背景は何か、悪質性はどう考えるか。
(郷原参考人) 20年前は市民の期待に応えられた。公共工事にこういう資金が流れたということが明らかになった。市民の共感を得られ、長崎がよくなるのではないか、こういうことが日本中で起きれば日本がよくなると、「長崎から日本を変える」というフレーズに期待した。今回、長崎の現状をつぶさに見て、残念。あのとき問題でなかった県のトップが法に照らして信じられない現状にある。法的責任、政治的責任を果たしていこうという意思が感じられない。。何とかして法的責任さえ免れればよしという姿勢。残念ながら長崎県トップである知事の姿勢がまったく公正さに目を向けて、実行していこうとしていないのが問題。もう一つは選挙コンサルの存在。職業背あるかどうかわからないものが選挙にここまで関わって選挙を曲げる。都知事選の破廉恥ポスターと同じで、選挙コンサルは公選法改正の重大な問題になる。選挙コンサルは大石知事の市政と表裏一体。問題の両輪としてとんでもない事態が生じている。
(松本委員) 2点のご指摘があった。公正さを実行していない。選挙コンサルの弊害。具体的には。
(郷原参考人) 何より重要なことは説明責任を果たすこと。286万円、2000万円、402万円。長崎県民で納得した人は一人もいない。大統領職の権限を持つ知事が務めると思えない。信なくば立たず。その信頼できない知事に多くの権限を委ねている県は異常。説明責任が果たされていないこと。402万円は電話代、SNS代はいくらで対価はいくらか。286万円は入金された後援会と選挙運動費用の関係、自己資金の支出と後援会の支出の説明がされていない。関連して明らかな2000万円の架空貸付。元監査人も触れているが何ひとつ答えていない。全て選挙コンサルがと言っている。
(宮本委員) 8月5日の告発状を見て、受理されてから捜査になり、明らかになると考えるが、受理されているのかどうか。
(郷原参考人) 告発状を提出した後の検察庁の処理は、20何年前に長崎県次席検事の頃と最近は違う。昔は形式上、問題がなくて犯罪事実が具体的に記載されていれば受理をして、捜査をして、嫌疑十分なら起訴して、不十分なら起訴猶予、不起訴とする。最近は受理の段階でハードルを上げている。裁判員制度が入り、刑事訴訟法が改正されると、受理をしてしまうといつまでも決着しない、裁判員や検察審査会で伸びていくので深刻になる。合わせてマスコミは大きな影響力を持つ政治家の場合は受理されるかどうかに関心を持ち、受理すると嫌疑有りと書いてしまう。東京地検に聞いたが、最近は受理をしないで捜査をして嫌疑が固まれば受理をするとしている。長崎地検も、最初は大石知事も被告発人に含まれていたが、大石知事以外の2人に限定してもらえないかと。大石知事は書面で嫌疑が解消するかもしれないという段階だったので、被告発人を2人にして4カ月で受理された。今年の1月、大石知事を追加告発したが、受理は直ちにされることはないし、最終的に処理の段階で受理されるだろう。8月の286万円と2000万円は知事自身が被告発人なので、受理は明言されないだろう。東京地検特捜部も先に捜査を始めると言っている。
(宮本委員) すでに捜査は始まっているという認識で確認した。知事から発言が得られない。被告発人は医師であり、長崎県内の医療関係者から応援があることは当然であり、寄付を受けていたことは知っていたとあるが、証拠は当然知っていたとするのか。
(郷原参考人) 本人の認識は本人に聞くしか主観的要素はできない。ただ、外形的に推測はできる。9法人からの選挙応援の寄付を具体的に認識しているかは分からないが、少なくとも寄附金がゼロと記載されている。選挙運動収支報告書に。ゼロが正しいと考えていたとは思えず、医療側からの寄付があったという認識はあったのではないか。これまでは直接的な選挙期間における選挙費用を書き、それに対応する選挙収入を書けばよいとされてきたのが実態だが、厳密に言うと選挙期間に限られない。ただ、どこまで判断すべきは難しいので、支出の不記載で処罰されたことはないが、収入は重要な情報であり、選挙に役立ててほしいということであれば、過去にも例がある。猪瀬知事の徳洲会からの5000万円の収入で、大きなお金が選挙のために提供されたのであれば記載しないといけないとなった。ブログで告発したが都知事を辞任した。その後略式起訴されて公民権停止となった。明らかに選挙のための収入を書いていなかったことは問題が大きい。
(吉村委員) 一昨日の参考人聴取で、医師会からは金が足りなければ言ってくれ、どんどん出すからとしていた。羨ましい限りだ。会計の方は迂回という認識が多少あったという。コンサルタントの指示通りに動いた。法的知識が不足しているので考えが至らなかったという答弁。動きとしては286万円が第八支部から県議後援会、大石後援会に移動している。その年の12月に返金している。お礼の意味でという。借入のときに戻してある。第八支部の県議は借入を戻してもらったので使うのは自由だと思った。しかし、2年後に「あれは貸付でなく寄付だ」とされた。流れとしては第八支部に戻して9つの医療法人に戻すべきだったが知事は丸く収めた。寄付控除を受けていて戻すと何百万円とかかってくる。流れを見ると、第八支部の県議は、会計の話では全く流れをつくり込んであるのを知らなかった。コンサルタントや事務関係の人たちとの数分の話があり、戻ってきて手続をやってくれという証言があった。その辺を全部合わせると迂回献金になる。元監査人は分厚いグループラインの記録や写真を出したが、証拠能力として発揮できるのか。知事は分からない知らないで認めない。「送ったかも」と逃げる。これが全部本物なら知事は全部承諾している。LINEのやり取りの証拠能力は。
(郷原参考人) 迂回献金はAがCに献金するときにBを迂回する。これ自体が違法なのではなく、A→Cと書かないといけないのがA→B→Cと書いたので、収支報告違反である。収支報告書に書いたのが事実に反すると認識しているとLINEに記載されていては、刑事責任を免れない。LINEやメールは刑事事件の証拠となる。LINEは見ていないとは言えないし、自分で打っていれば嫌疑が濃厚だ。政治資金規正法違反に加えて、2000万円の事件もあり、極めて重い。東京地検特捜部が政治家を逮捕するのは生業にしている部署なのでやるときはやるのでハードルが低いが、地方地検の場合はハードルが高い。高検、最高検、法務省刑事局などからいろんなことを言われる。22年前も最終ターゲットの県議会重要人物を逮捕できなかった。最高検や法務省の了承を得るプロセスで、これでやれるかという検察的価値判断があり、相当程度嫌疑が濃厚でもできないこともある。場合によっては知事の説明責任から明らかになることもあるが、いずれにせよシロだったとはならない。
(吉村委員) 高検から長崎地検は動くなという話があったと聞く。私も自民だが、他の議員から動くなと言われる。県民は飽き飽きしているし、自民党の評判もわるくなるから辞めてくれともある。知事が説明すればよいが、しなければ後は百条委員会での審議を深めることにつなげたい。アドバイスは。
(郷原参考人) おっしゃる通りで百条委員会での問題。地方自治法百条に基づく委員会は自治体の事務が対象で、首長の信頼性に関わる問題はさらに重要であり、兵庫県知事選の原因も百条委員会の追及だった。選挙コンサルの問題もある。具体的な問題は、まったく本件について説明を行っていない。県知事選にそこまで深くかかわっている以上、知事とコンサル契約をした立場として知事から求められて説明する義務があるが、知事は本人が嫌と言っているから強制的に連れて来れないという。権限として参考人を証人として呼ぶ権限は県議会に与えられている。百条委員会で罰則を持って出頭を命じるということはできる。かなりのわからないところがわかる。402万についてもわからない。2000万や286万は刑事訴追の恐れで拒否するかもしれないが、402万は話せるので、百条委員会の設置や選挙コンサルの招致は不可欠。
(牧山委員) 知事の罪が軽くなる行動は何か。
(郷原参考人) 自分の罪を認め、説明できることは説明する。自分で説明できないことは選挙コンサルに「契約上、説明するのは当たり前」と強く求めれば知事の責任は軽くなる。
(浅田委員) 「長崎から日本を変える」は懐かしかった。当時は当事者で憎々しげに思っていた。政治家として県議として議会としてともどもに説明責任を果たして行かないといけない。百条までいかなくても総務委員会の集中審査でいいと思っていたが、百条でなければいけないと。この後も知事の時間がある。落としどころとして知事が言えることはあるか。
(郷原参考人) 少なくともここまで選挙コンサルがこういったばかりの話なので、選挙コンサルの何時どういう要請を行ったのか・自分で分からないことだらけなので教えてもらえないか。公選法違反の理由など、選挙コンサルに求めないといけないのか。突っ込んで聞かないといけない。本人の問題ではなく、選挙に重要な役割を担った人。そこを知事が説明する。
(浅田委員) 過去にその質問を繰り返すと、今となっては弁護士を通して連絡した、ご本人の考え、と終始する。選挙コンサルとして雇った方と自分の行動の説明責任が果たされていない。不誠実。総務委員会でどこまで解明できるか。20年以上経って、「長崎から日本を変える」ように努力したい。
(小林委員) 286万の件や2000万の件とか、今後のあるべき姿にご意見をいただき、肝に極めるお話だった。知事が最低制限価格を引き上げた見返りを求めるかのように、建設業協会の会長とかが資金集めを始めている。月3000円が年12万円、6万円とかのかたちで知事自ら建設業協会に影響力があるかのように、同僚議員まで巻き込んで、半年で600万円を超える金額を集めている。建設業協会の1000万円、医師会などに1000万円、トータルで2000円を集めている。発注者である知事が自ら金集めに奔走している。県政が停滞しても仕方ない。最低制限価格を引き上げた見返りというのはどこでもない。そういう面もある。
(郷原参考人) 公共調達の手続の公平さに重大な疑義がある。関連性があるかは見極めないといけない。県の担当部局がいろいろな条件により決めているが、理屈とは別に知事が有利な取り計らいをやったように思わせて会費を出させるということであると、知事本人の問題となるので事実解明が必要。関連して、なぜ2000万円の架空貸付をしたかとすると政治資金として困っていたということがあり、それが背景になって会費を集めようとしたのであれば、知事の活動費用そのものに関わってくる。
(小林委員) 建設業界に最低制限価格を引き上げたので、建設業界の会長たちと食事をしながら会費をお願いする、こんな汚れたところは47都道府県でないと思う。発注者が仕事を請け負いしているところにお金を出してくれというかたちでやっていくと、嫌とは言えない。指名制度はなくなってきたが、親父から資金を出してくれと言われると嫌とは言えない。法的にはどうお考えか。
(郷原参考人) 22年前の自民党長崎県連事件はまさに建設業界から発注額に応じて献金を要求した事件で、選挙に関連したので公選法違反だった。当時はシステム化していた。対象は当時の幹事長だったが、作ったのはもっと昔。強烈な要求があり、応じなければ干される。一定の献金システムになった。22年前は知事選だったが県連の問題だった。知事本人が公共工事の一部を吸い上げるというのは大きな問題。県連なら刑事捜査になるが、知事本人なら行政の問題であり、県議会でもしっかり事実解明が行われるべき事案。
(小林委員) 8000億円の予算を持っている知事が発注者。同僚県議の建設業者に顔の利くところにカネを集めてくれと依頼したり、知事なら何千万円と集まる。今、まかり通ろうとしている。絶対に糾弾しないといけない。
(郷原参考人) 「長崎から日本を変える」の真逆にならないようにお願いしたい。
2024年10月30日午前(速記メモのため正確には長崎県議会議事録参照のこと)