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それでも名字を変えなければならない貴女へ 〜心の負担を減らすための一つのアイディア〜
好きな人と、結婚したいです。でも諸々の事情により、自分が名字を変えて法律婚せざるを得ないんです。でも、名字を変えるのは、嫌なんです。
…と思っている方へ。その気持ち、よくわかります。これを書いている私も、全く同じ状況です。
「小さい頃から好きな人と同じ名字になるのが夢でした!」
とか
「旦那さんからの最初のプレゼントが、名字だと思ってます!」
とか
「名前が変わることで、第二の人生の幕開けって感じがしました!」
とかって思えたら、いっそどんなに幸せかと何度も何度も思いました。
以下は、結局そんな風にはまっっったく思えなかった私が、名字を変えることについて別の方法で感情的な折り合いをつけられないか、足掻いた方法を書いていきます。
端的に言えば、「決断の責任を半分こする。そのために、相手からの依頼&自分の受諾という手順をふむ」という方法です。
私は選択的夫婦別姓に賛成し、導入を心待ちにしています。しかし残念ながら、(真剣にやっているとは到底思えない)政治の議論のテンポに合わせて、私たちは人生を送れません。
それでも結婚する時というのはやってきて、
しかしそれでも事実婚を選べず、
そしてそれでも、名字を変えなければならない女性はきっとまだまだたくさんいるはずです。(女性に限定したのは敢えてです。)
そんな方にこの記事が届いて、その方の心を救うためのほんの小さな力になれたなら、これ以上嬉しいことはありません。
※前提・留保
繰り返しになりますが、私は選択的夫婦別姓制度導入を強く支持しています。
以下の内容はあくまで、現状名字を変えざるを得ない人に対する対処療法でしかなく、「この方法さえとれば夫婦同姓でも全然いいよね!」といった類のものでは全くありません。この方法には、パートナーの協力が必要です。
この方法を思いついた経緯
端的に言えば、「決断の責任を半分こする。そのために、相手からの依頼&自分の受諾という手順をふむ」という方法です。
と先に結論を述べてしまいましたが、どうしてここに至ったかという経緯から話しましょう。
結婚すると決まって名字の話になった時、「私が変えるのが合理的なんだろうなあ」と真っ先に思いました。
元々相手の転勤が決まったことがきっかけで、東京に居られる今のうちに籍を入れる&私の仕事が落ち着くまでは別居婚すると決めたので、居住地が変わらない私の方が、名字変更に伴う手続きを行うのが楽だろうと考えたからです。
なので当初は、仕方がないから私が名字を変えるよとと相手に伝え、合意していました。
でもその後、毎日思うのです。やだなあ、名字変えるの、やだなあ、なんで私ばっかり、こんな思いしなきゃいけないんだろう、だったらいっそ、結婚なんかやめちゃいたいなあ…って。
「私が変える方が合理的だから」と既に承知していたはずなのに、それだけでは自分の心を納得させられなかったのです。結婚そのものに対してネガティブになってきたあたりでこれはよくない!となり、相手と再度話し合いをもちました。
ゼクシィのWeb記事を参考にして、話し合いました。今まで自分の名字でよかったこと、悪かったことは何?子供はどっちの名字だったら生きやすいのかな?などなど。
お察しの通り,結論には至りませんでした。
そりゃそうですよね、余程珍しい名字でなかったら生きていく上での支障はほぼ感じていないだろうし、そもそも珍しかろうがそうでなかろうが、名字は絶対的な指標で測定できる価値をもつものではないからです。
お互いが名字を変えたくないなら、名字がなんであったって、それが全てなんです。
でもこうやって二人でうんうん唸って悩んでいるうちに、ふと思いました。
私、たった一人で悩んで、決断して、その決断の責任を引き受けるのが辛かったのかも…って。
自分一人で名字を変える嫌さに向き合って、
でも合理的だからっていう理由をつけることで自分を納得させようとして、
じゃあ自分が名字を変えるって決断した時、
その決断の責任は全て私一人に乗っかってきます。
(※責任という言葉がしっくりこなければ、決断の結果を引き受けるとか、結果に向き合うとか、結果に対して後悔しないようにし続けること、みたいな意味合いだと捉えてください。)
将来名字を変えたことをどんなに後悔したって、きっと
「でも結局、自分で選択したんでしょう?事実婚すると周りを説得するでもなく、かといって相手に変えてもらうよう懇願するでもなく、それが一番いいと思って、自分で決めたんでしょう?じゃあその結果を引き受けなくっちゃ」
という声が、自分の中から聞こえてくる。
この責任が今、私にとって耐え難いほど大きいからあんなに悩んでいたんだな、と自分の中で腑に落ちました。
だからせめて、この責任を半分こできないか?
悩むことも、決めることも、決めたことによって発生する責任を背負うことも、できるだけふたりで分担できないだろうか?
と思って、それを実現する方法を考えてみました。
具体的な方法
決断を半分こする方法として
依頼(名字を変えてください!)+受領(わかりました、変えましょう)
という手順をふんでみることにしました。
依頼する方については、「二人で法律婚をするために、複数個の選択肢から、自分が嫌なことを相手に強制する(名字を変えさせる)という手段を選択し、相手にその手段を採るよう依頼した」ということになります。
受領する方については、依頼する方の選択を支持した、ということになります。
ここまでの理屈を相手に全て話し、「私が名字を変えるという形式をとるなら、なんでもいいからあなたなりの理由を添えた上で、私に名字を変えるよう依頼して」
と言いました。
結果
最終的に相手は、以下のように言いました。
・単身赴任者寮や社宅といった福利厚生を利用するには、法律婚するしかない。
名前もお金もどちらも非常に重要だが、優先順位をつけなくてはいけないなら、(事前に私と同意していた通り)現段階ではお金に軍牌が上がる。
・また比較的若い&早い段階で結婚することになり、尚且つすぐに別居婚になるために、家族や親族の一部は絆が維持できるのか?というところを懸念している。その状態で事実婚に理解を得るのは困難である。
・その上で、自分の場合は仕事上発生する転居や赴任に際し、名字変更による不利益が発生する可能性がある。(住民票やビザの手続きなど)
・以上の理由から申し訳ないが、名字を変えて欲しい。
・名字変更に伴う手続きはできる限り代替するし、夫婦別姓が施行された暁には、一度離婚するとなったとしても必ずあなたの希望通りにする。
・自身が自分の名字に抱くのと同じくらい、あなたもあなたの名字に愛着があるのは重々わかっている。
・そんなあなたに名字を捨てさせた、ということを一生背負い続ける。
これらに対し、私は、「わかりました、であれば,私が名字を変えます。」と返答しました。
ほぼただの儀式みたいなもんだし、効果あるのかな〜と我ながら思ってはいたのですが、
「他の誰もがわかっていなくても、少なくとも相手だけは私が名字を変えるのが辛いとわかっているらしい。その上で変えるという選択に一緒に責任を負ってくれるというなら、そんな人と円満にやっていくための投資として、名字を変えましょう」
と思えるようになった気がします。
………
いや普通に名字変えるのは今でも全然嫌なんですけど、嫌だなって思った時に「」内の思考を辿ることで、際限なく悩み続けるサイクルからは脱することができるようになった気がします。
最後に
婚姻届をまだ出していないので、実際名字が変わっていくとなったらまたキツくなるのかもしれませんが、一旦現時点での解決策としてここに記録しておきます。
あらためて書いてみると、これは曲がりなりにも何か名字を変えなくてはいけない事情がある場合にしか使えない方法かもしれませんね(それこそ海外赴任の可能性とか)。
でも逆に言えば、相手側の「依頼」のところで提示された理由が理由になってなくね?と思えるなら、まだよりよい方法が残されているかもしれないわけです。諦める前にやれることがあるかどうか見極める試金石くらいにはなるのかな。
もっといい方法があるよという方、教えてくださると嬉しいです。
最後の最後に、これはこころをなるべく健やかに保つための緊急ライフハックであって、選択的夫婦別姓を諦めるための手段じゃないんで!!とは、三度繰り返しになってしまいますが、今一度強く申し添えておきます。(諦めたくもなるような戯言ばっか目にしますが…)
どうかこの記事が、そんな面倒なことしなくても別姓にすればいいじゃん…と見向きもされなくなって、ネットの海に沈むような時が早く来ますように!