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保育園留学 ― 地域発の静かな熱狂と、やわらかな定住という未来

保育園留学は、北海道檜山郡厚沢部町ではじまりました。人口3,500人の小さな町です。2021年11月にスタートし、今、1年半が経ちました。

これまで、本当にありがたいことにたくさんの反響をいただき、2,500組の子育て世代の家族がキャンセル待ちをしてくれています。(新年度の募集もスタートしました!) 子育て世代のみならず、多くの方々からも応援してもらい、とまることのない熱狂が生まれています。

最近、いちばん衝撃かつ嬉しく思ったのは、保育園留学されたご家族からのこんな声でした。

もうすぐ誕生日の娘に「ディズニーランドに行く?アンパンマンに会いに行く?」と聞くと、「ちっかに会いたい!」(留学先の認定こども園「はぜる」の先生)と言われました。

保育園留学ご家族からのメッセージより

涙が出そうになりました。保育園留学は、あのディズニーランド、アンパンマンよりもこどもの胸に刻まれていました。今日も園の現場では、世界のテーマパークよりも輝く日常が繰り広げられています。

今回は、「保育園留学とは一体何なのか」、また「解決する課題」、そして目指している「未来」についてお伝えしたいと思います。

1-1. 保育園留学とは、いったい何か?

改めまして。保育園留学を主宰する地域創生スタートアップ企業、キッチハイクのCEO山本雅也です。

事業のはじまりは、2021年の夏と冬に我が家が保育園留学第0号として北海道の厚沢部町を訪れたことでした。今では、保育園留学を通して町と園に惚れ込み、厚沢部町に移住して暮らしています。

2021年夏、はじめての保育園留学。留学中に、娘が2歳になりました。

保育園留学は、地域と子育てをつなぎ、未来をつくる留学プログラムです。

それは、こどもの未来をつくり、家族の暮らしの選択肢をつくり、地域の未来をつくる、「新しい暮らしのあり方」ですまた、保育園留学は、これまでの1対1の課題解決を超えて、「複数課題を1発で解決へ導く躍動するイノベーション」だと思っています。

ワーケーションの文脈でも注目されることが多々あるのですが、この事業の価値は、親子ワーケーションとは似て非なる、はるかに超えるものだと考えています。少し長いかもしれませんが、ぜひお話させてください。

1-2. 原体験。理想の子育てはむずかしい!

まず、事業の背景にあるのは、子育て家族の抱える課題です。

「都市で、共働きで、仕事も頑張りながら、理想に描いた子育てするのは、とてもとても難しい!」という、我が家の等身大な原体験がありました。

2021年春、娘はまだ1歳半で、横浜駅の近くに住んでいました。赤レンガや山下公園に自転車でも行ける素敵なエリアでしたが、娘を通わせたい園には待機児童でなかなか入れませんでした。

その間、別の園に通っていましたが、園庭がありませんでした。お散歩もコンクリートの地面を歩いたり、ビルに囲まれた小さな公園でなんとか遊ぶような感じです。感受性や運動能力が育ちはじめた今、本当に娘のためになってるか?と、もやもやしていました。

かたや、夫婦共働きで仕事も生活も目まぐるしい日々。朝の送迎直後から立て続くMTGとデスクワークに追われ、気づけば夕方。ダッシュでお迎えに行き、買いもの、ごはんの準備、お風呂、絵本の読み聞かせ、寝かしつけ。1人娘とのかけがえない素晴らしい時間でありながらも、毎晩エネルギーが0になっていました。

娘が1歳になる前くらいの一枚。毎日パワーが0になっていた。

娘が寝静まった部屋で気絶しかけながら、妻と一緒に悶々としていました。

「この毎日でいいのかな?この先に、家族の将来はあるのか?」

そんな時に出会ったのが、「世界一素敵な過疎のまち」をスローガンに掲げる北海道檜山郡厚沢部町の認定こども園「はぜる」でした。

1-3. 未来は、「世界一素敵な過疎のまち」にあった

厚沢部町は、人口3,500人の小さな町です。もともと「メイクイーン」などのブランドプロモーションのお手伝いをしていてご縁があり、素敵な地域だという認識がありました。

ある夜中、ふと「厚沢部町の保育園ってどんな感じなんだろう?」と思い立ち、検索してみたんです。すると、認定こども園「はぜる」の写真が出てきて、思わず息を呑みました。そして次の瞬間、アイデアが降りてきたのです。

「ここに娘を通わせてあげよう!」

厚沢部町の認定こども園「はぜる」。森に囲まれた丘の上にあり、園庭から絶景を望む。

娘が大きくなるにつれて、よりよい日々を送ってほしいと思い、世の保育園に関する情報は調べに調べていました。毎日1分でもスキマ時間があればリサーチを重ねて、園の申請ステップ、待機児童の課題、認可と認可外、どこにどんな園があるか?関連するさまざまな仕組みの違いなど、知り尽くしてしまって、もはや保育園マニア、保育園博士みたいになっていました。

なので「はぜる」の写真を見た瞬間、一時預かり事業の仕組みを応用すればきっと通わせられる!とわかったんです。

さらに親のリモートワークやリトリートと組み合わせることで、子育て家族の丸ごと体験として成立するとイメージが湧きました。

こどものことをいちばんに考えたこのプログラム。表現するなら「保育園留学」だろう、と思いました。まさに、誕生の瞬間でした。

厚沢部町役場の木口係長、「はぜる」の橋端先生、西村先生などと話をさせていただき、前例はないけど制度上も問題ないことがわかり、受け入れてもらえることになりました。留学初日、夏の太陽の下、ちょっとした坂道を上がった丘の上に「はぜる」が現れた時は、幻想的ですらありました。実物を目の前にして、「こんな夢のような園があるんだ」と、娘とドキドキワクワクしていました。

森や田園風景の中にある。遠景にみえる山の稜線まで美しい。
のびのび遊べる広い遊戯室。陽射しがたっぷり降り注ぐ。

厚沢部町に滞在させてもらった夏の3週間は、想像をつき抜ける素晴らしさでした。なにより感動したのが、厚沢部町・はぜるの豊かな環境と同時に、先生方の熱さと理想を求める姿勢でした。

こどもたちの状態を瞬時に深く掴み取って、どんなこともポジティブに、こどもの自主性と創造性を引き出してくれる先生ばかり。はぜるは、本当にパワースポットのような場所でした。

子育て家族の今と、地域の未来がつながるこの仕組みは、絶対に必要だ。

そう確信して、保育園留学の事業構想が始まりました。

未満児クラスの園庭も充実。春夏秋冬で表情が変わる自然に囲まれる。

キーマンになったのは、厚沢部町役場・政策推進課の木口さん。認定こども園「はぜる」設立時の統括であり、娘さんをはぜるに通わせるパパでした。厚沢部町の未来を背負う自治体職員のひとりとして、保育園留学中にたくさんの話をしました。

パパ同士で膝を突き合わせながら、「保育園留学はこどもにとって素晴らしい体験になるし、親にとっても人生を見つめ直す時間になる。過疎の町に人流をつくる希望にもなる。厚沢部町の公式な事業にしていこう。」と事業の骨子が固まっていきました。

2021年12月の保育園留学。木口さんとメディア取材を受けた時の一枚。

そうして2021年の冬。2回目の山本家の保育園留学を経て、2021年11月から正式に事業として始まりました。大きな反響を受けて、2022年度では150組の子育て家族が厚沢部町へ保育園留学をされました。

その反響はひとつの社会現象となり、今では全国に取り組みが広がっています。それぞれの保育園の先生方、地域自治体の皆さん、宿泊事業者の方々、と丁寧にコミュニケーションをとりながら、一緒のチームとして体験を作り上げている真っ最中です。

北海道厚沢部町、熊本県天草市、新潟県南魚沼市、岐阜県美濃市の認定こども園・保育園の先生方、自治体の皆様と、連携企業のみなさん。

2-1. 保育園留学は、「子どもが主役」

こうしてはじまった保育園留学。ご家族からも、地域からも熱いお声をいただける理由について考えていきます。

保育園留学は、平たく言えば、2週間ほど家族で地域に滞在し、こどもが地域の保育園に通えるサービスです。

ただその本質は、何も諦めない家族、何も諦めない社会のためにある事業です。

親心に根ざした「こどもが主役」の価値づくりを中心としながら、その上で、親自身にとっても、地域にとっても、課題解決になっているからこそ、とても強い仕組みになっているのだと感じます。

子どもが主役の保育園留学。その上での三方良し、四方良しの未来づくりへ。

保育園留学は、「こどもによりよい毎日を過ごさせてあげたい」という親心から始まりました。

来ていただくご家族も、やはり、以前の我が家のように「園庭がない」「思うように遊ばせてあげられてない」「こどもにとって、もっと本当にいい環境を用意してあげたい」という、とても切実な願いを持った都市部の親子が多くいらっしゃいます。

そんなご家族にとって、留学地域は、こどもにとって楽しく素晴らしい環境が揃っています。自然に触れる機会が圧倒的に多く、人間としての基礎ができる未就学児のうちに、五感を育てられるんです。

そんな短期の留学で?と思うかもしれませんが、留学中のこどもたちは1日1日すごい速さで吸収し変化していったという声をたくさんいただいています。自分の娘も実際そうでした。

留学生のこどもが全力でドキドキワクワクできる理由として、地域の「価値の非対称性」と「多様性への出会い」があります。

地元の子からすると当たり前でも、外から来た子には特別なことってありますよね。地域の保育園やこども園は、地域の特色がみごとに顕在化しています。みんな違ってみんないい、そんな世界線を地でいく園の在り方に感動するんです。

熊本県天草市にある「もぐし海のこども園」」では、天草の海に触れ合える。あえて遊具のない園庭は、おもいきり土や泥、自然を体験。
日本一の米所、新潟県南魚沼市「認定こども園 金城幼稚園・保育園」では、自分たちで田植えしたお米でおにぎりを作ったり。
善應寺さんが運営される岐阜県美濃市の「美濃保育園」。園舎は、園児や森林アカデミーの皆さんと一緒に森から切り出した木々で造られています。

いつもと違うコミュニティに飛び込むことで、文化や価値観の違う人と出会って多様性を育む学びにもなります。在園児にとっても、普段いない子が来て初めての出会いと別れを経験できるのは、いい機会ですよね。

これら最高の環境があるのは、やはり熱意あふれる先生方の存在が計り知れないほど大きいです。「こどもにとって、本当にいい環境ってなんだろう?」「この地域を200%使った遊び方ってなんだろう?」ということを日々考えていらっしゃる各留学先の先生方がいるからこそ。日々丁寧にコミュニケーションを取らせていただきながら、保育園留学の体験を一緒につくっています。

認定こども園はぜるの主任、留学したお子さんがまた会いたいと熱望する"ちっか先生"と"はっしー先生"。いつもありがとうございます!

2-2. 親にとっても人生を見つめ直す機会に

親自身にとっても嬉しい体験になっています。周りからよく聞くのは「子どもがいるから、どこにも行けない」という声。わかります。子連れの旅行って、なかなか無理があるんですよね。

保育園留学では、1~3週間と少し余裕を持てる暮らし体験になっているので、こどもを預けながら、親もリフレッシュしたり、人生を見つめ直したりする時間が過ごせるんです。

また、週末には今しかない家族の時間を思いっきり過ごせます。「初めてスキーに行った!」「雲海が見れて感動した」「はじめて釣りができた」「飽きるほど泥んこ遊びした」……今しかないいろんな家族時間を過ごしている声を聞くたびに、嬉しく思っています。

美濃の保育園留学。美濃保育園の近くにある森林アカデミーには、「morinos」という遊び場も。

2-3. 地域とは、超長期的な関係をつくる

地域にとっても、超長期的なつながりと人流をつくる仕組みになっています。

保育園留学は、ただの観光やワーケーションとは大きく違い、子育て家族が家族ぐるみで地域と深く関わる「暮らし体験」でもあります。旅行を超え、実際に地域の暮らしを体感することで、第2、第3の故郷として、ここから地域と超長期的な縁が始まります

また、そもそも「移住するかしないか」の2択ではなく、「留学」という家族にとって参加しやすい移住手前のグラデーションをつくることでとっつきやすくなり、仕組み化することで人流が常に生まれています。

北海道厚沢部町の移住施策の課題を木口さんとディスカッションしていくと、さまざまな実態が見えてきました。

3-1. 今、地域は未来の最先端

「でも、どうしてわざわざ過疎地域でやるんですか?」と言われることもあります。理由は2つあります。

1つ目、それは過疎地域が未来の最先端だからです

日本は、世界的に見ても社会課題先進国であり、厚沢部町のような過疎地域は真っ先に社会課題が立ちはだかります。

実際、厚沢部町に移住してみて、人口減少を発端とする複雑にからまり合った社会課題を体感しています。少子高齢化・空き家問題・教育格差・エネルギー問題・医療・地場産業・地域文化の継承などなど…挙げればキリがありません。時間軸とともに、日本全国さらには海外の少子高齢化の国が同じ状況に陥っていきます。

つまり、社会課題が早く訪れている地域が、実はいちばん未来に近い

過疎地域からイノベーションを起こせれば、2030年、2040年、2050年と時間が経つにつれ、より必要とされるものになっていく。むしろスケーラビリティも大いにあるはずです。

これからの新しい価値は、差し迫った社会課題と向き合う地域から生まれると思っています。

厚沢部町は、町内に小児科がありません。そこで、保育園留学としてオンライン診療と連携。留学家族だけのみならず町民も使えるようにし、過疎地の新しい医療課題解決に挑戦。
保育園留学の費用や地域の飲食店などで使える、ふるさと納税の仕組み「旅先納税・留学先納税」の連携をスタートしました。

2つ目は、意思決定力と機動力

「自治体は組織がレガシーだから、スピードも遅いのでは?」とネガティブな先入観を持つ人も多いと思います。保育園留学の広がりとともに、その印象は一変しました。実態は、むしろ逆の時が多い。

自分の地域を良くしたいと本気で熱量の高い人たちがたくさんいるからこそ、意思決定力と機動力がすごい。小さな地域ほど都市と比べて組織も小さく、まさにスタートアップです。

実際、保育園留学は事業化まで4ヶ月という考えられないスピードでした。厚沢部町役場の木口さんの意思決定とアクションがとにかく早すぎました。

”Smaller Better(=小さいほどいい)”という言葉がありますが、社会変革の始まりを起こせる実感が、今、ここに、あります。

2021年11月、保育園留学をスタートした時の一枚。厚沢部町役場の木口さんと素敵な過疎づくり株式会社、認定こども園「はぜる」の先生方。

3-2. 複数課題を一発解決する楔を打とう

より社会に必要とされる手応えを感じている保育園留学ですが、事業のアプローチそのものが、これからの未来の作り方なのではないか?と考えています。

保育園留学は「子ども・親・地域」へ三方良しである同時に、複数の課題を1発で解決するイノベーティブな事業です。

在園児への経験、保育士の雇用、保育園の利益機会創出、地域へ経済貢献する永続的な仕組み、関係人口創出と移住推進など、さらに未来へも導くアプローチでもあります。

これまでの時代は、ひとつの課題に対してひとつの解決策を出して、ひとつずつ解決していくのがセオリーでした。

でも今や、1対1の問答をやり続けた結果、局所解の集合体が全体を崩壊させるような現象が起きているように思います。ひとつひとつは合っているけど、全体は間違っている。そんな社会になってしまっているのかもしれません。

だからこそ、これからはもっと矛盾を両立させたり、ひとつで3つ解決するような発明がないと、次の社会に辿り着けない。一歩引いて、どの位置に楔を打てば一撃で世の中がパッと変わるのかを考える時代になったと思います。

「全国地域連携保育」を掲げて、保育園留学コンソーシアムを設立しました。

保育園留学が今これだけたくさんの地域にやりたいと言っていただけているのも、飽和してしまった状態に対する次の一手としてすごく可能性がある証明だなと感じています。

3-3. 保育園留学のその先とは

「新しいあたりまえ」になりつつある保育園留学ですが、もう一歩引いて、未来につながる周辺領域を考察してみます。すると、3つの新しい着眼点に辿り着きました。

1つめの着眼点は、「やわらかな定住」という概念の発見です。

今までは、移住というと「土地買って家建てて永住」を想像しがちでした。でも改めて考えると、ライフステージに合わせて「まず、最高の今を生きる。次どうするかは、また考えよう」といった、弾力的に定住する選択肢は、もっとあり得ると思います。

特に子育て世代には、「やわらかな定住」という概念はしっくりくるはずです。子どもの年齢が上がるにつれて、子どもにとって「今なにが大切か?」が、数年単位で変遷していくからです。

どの保育園にいくか?どの小中学校にいくか?どうやって自然に触れるか?どう文化や歴史を体感するか?語学はどうする?人や地域社会との関わり方は?コミュニティのサイズ感から、将来への足がかりまで、観点はさまざまです。

教育環境は、特にそれが顕著だと思います。例えば、アメリカのミネルヴァ大学は固定のキャンパスがありません。街そのものをキャンパスと見立て、4年間で世界各地7つの都市を渡り歩きます。学びに合わせ、柔軟に暮らしながら、同時に地場に密着しながら学びを深めていけるのです。

家族としての生き方や子育てのあり方は、目的ベースでどんどん変えていけるはず。その際、2拠点居住でもアドレスホッパーでもなく、定住しながら保育園や学校に通う。地域に入り込んだ臨場感と弾力性のある「やわらかな定住」と呼ベる人生の在り方は、家族にとっても地域にとっても大きな恩恵があると考えます。

仮に引っ越してしまうとしても、一度定住することこそ、深い一生ものの縁のはじまりになります。第2、第3の故郷があることが、子どもと家族にとって心の拠り所になり、地域にとっては継続的なつながりになるのです。

2週間の保育園留学はまさに「やわらかな定住」時代の先駆けであり、ここから更に、留学を経て「やわらかな定住」を選択する人が増えるだろうと思っています。

2つ目の着眼点は、こどもを主役にしたイノベーションのはじまりです。

保育園留学は、地域創生の事業であると同時に、新しい思想でもあります。子どもを中心に置き直し、社会のあらゆる再設計を試みる思想になると思っています。こども目線でのさまざまな暮らしのイノベーションが起きるのでは、と予想しています。

考えてみると、これまでの暮らしや世の中にあるソリューションは、大人の都合によるものがほとんどでした。

一見、こどものためにと思っても、よくよく紐解いてみると、大人がラクしたいだけだったり実は効率化のためだったり。自分自身、娘が生まれてみて、世の中が大人向けにつくられていることを実感するばかりです。

本当の意味でこどもを主役にした時に、どんな暮らしの未来があるか?それによって解決できる課題はもっと色々あるんじゃないか?と思います。

2023年、保育園留学を発展させる新しいプロジェクトを準備中です。この件については、また追って具体的なお知らせをしていきます。お楽しみに乞うご期待ください。

3つ目の着眼点は、「学び」についてです。

保育園留学を初期から応援くださり、私淑と仰ぐ孫泰蔵さんが、2023年2月に「冒険の書 - AI時代のアンラーニング - 」という本を出版されました。

「私たちはなぜ勉強しなきゃいけないの?」
「好きなことだけしてちゃダメですか?」
「自分らしく生きるにはどうすればいいの?」
「世界を少しでも良くする方法は?」

そんなシンプルな問いたちに根本から答え、学びとはなにか?について、新たなる景色を見せてくれる本です。

5万部をこえるベストセラー。保育園留学に興味があるご家族には、ぜひ読んでもらいたい一冊。

学びとは、いったい何でしょうか。学びにまつわる環境は、よくもわるくもレガシーです。昔は最適だった環境も、今となっては時代遅れなことは多々あります。さらには、大人が教える、子どもが教えられる、という立場の在り方すら疑うべき時代です。

夢中になった子どもの方がたくさんのことを知っている、解像度が高い、その先の創造性もある、なんてことは今や山ほど。子どもを子ども扱いしない、大人だって大人然としない、そんな学びへの向き合い方が求められる時代になったんだと思います。

保育園留学を通して、自分自身も娘からたくさんのことを教えてもらった気がしました。人生に改めて向き合うきっかけももらいました。親として、子どもに何をしてあげられるか?と考えてしまいがちですが、本当は子どもに教えてもらうこと、気付かされることもたくさんあるはずです。保育園留学をきっかけに子育て家族の「学び」の在り方も新しくなっていくと、よりよい世の中になりそうだなと希望を込めてそう思います。

最後に。 人生を、謳歌しよう。

保育園留学を社会実装するキッチハイクでは、チームメンバーに「人生を、謳歌しよう!」といつも呼びかけています。

保育園留学そのものも、何も諦めない家族や社会のためのもの。まさに、より多くの人が人生を謳歌できる未来をめざしています。

人生を謳歌するとは、創造性を解放して、よりよい未来を自らつくる行為そのものです。

私たちが生きる社会は、まだまだ沢山の当たり前にとらわれています。変革を起こすには、「本当の意味でどんな暮らしや未来がわくわくするか」を求め、熱狂的に矛盾を越えていくことが重要だと思います。

その過程で発見した価値は、家族や仲間、地域、社会に伝播します。人生を謳歌することは、他者の謳歌につながり、未来を変える大きな力になるはずです。

一方で、謳歌するのはそう簡単ではありません。生きることに向き合い続ける、とてつもなくタフな道でもあります。

だからこそ、日々アイディアと勇気を振り絞ることと、「ともに謳歌する仲間」が不可欠なのだと痛感しています。

自分のために。家族のために。地域のために。そして、まだ見ぬ誰かのために。ひとりでも多くの人が、人生を謳歌できる社会へ。

保育園留学を通じて、僕自身も人生を謳歌しながら、仲間たちとこれからも未来をつくり続けていきたいなと思っています。

上野本社オフィス前の路地にて。総勢30人を越える愉快でアツいチームです。


▼ご家族へ:保育園留学、ご家族を募集中です。
新年度の募集や、新しい留学先の募集がはじまっています。さらにはファーストペンギンファミリーとして準備中の留学先の第1号として飛び込んでくれるご家族も募集しています。ぜひ奮ってご参加ください。

▼未来のメンバーへ:キッチハイクで一緒に人生を謳歌しませんか?
キッチハイクでは、未来をつくる新しい仲間を募集しています。ぜひ一緒に人生を謳歌しながら、地域の価値を拡充し、地球の未来へつないでいきましょう。

▼自治体・保育園・企業の方へ:保育園留学を連携しませんか?
保育園留学をはじめたい自治体や保育園、認定こども園の関係者さま、事業連携をご検討されたい企業さまからのお問い合わせもぜひお待ちしています。一緒に保育園留学を通して、地域と社会の新しい未来を創造していきましょう。

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山本雅也 | 保育園留学
食やコミュニティ、キッチハイクにまつわることを書いています。食でつながる暮らしをつくります。