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【ゲームクリエイターの視点】葬送のフリーレン 扉絵考察【ネタバレ】
ゲームクリエイターの蛭田健司です。【ゲームクリエイターの視点】では、セガ、コーエーテクモなどでいくつものヒット作に携わってきたクリエイターが日々何を考え、感じているのかお伝えしていきます。
※マンガ「葬送のフリーレン」は週刊少年サンデーで連載中です。サンデーうぇぶりでも読めます。https://www.sunday-webry.com/
※引用は著作権法第32条の範囲で行います。
扉絵のパターン
「葬送のフリーレン」の扉絵にはいろいろなパターンがあります。中でも印象的なのは、敵の視点。
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これは、シュタルクが倒した紅鏡竜の最期の視点です。
他にも特徴的なパターンが、フリーレンと目が合う、というもの。
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買い物中のフリーレンが、お店の中の誰かと目が合ったのかもしれません。
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こちらは街の住民でしょうか。このように、扉絵は誰かの視点になっていることがあります。
誰の視点なのか
しかし、奇妙な点もあります。なぜかフリーレンだけと目が合う場合が多いのです。
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この扉絵ではフリーレンだけがこちらを見ており、シュタルクはそんなフリーレンを、『どこを見ているのだろう』といった表情で見ています。
しかも、視点の位置が高く、見下ろすような角度です。フリーレンと目が合っている以上、フリーレンは誰かを認識しています。でも、人が居るような位置ではない。
最初に考えたのは、これはフリーレンを見守るヒンメルの視点なのではないかということでした。生涯、フリーレンだけを想い続けたヒンメルが、その死後もフリーレンを見守り続けているとしたら。そしてそのヒンメルの気配にフリーレンだけが気づいているのだとしたら。作品のテーマにも通じるように思います。
しかし、異なるパターンも存在します。
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こちらは勇者一行。ヒンメルがいます。フリーレンと目が合っているのに、その視点はヒンメルではない。では誰なのか。フリーレンを大切に想っている、ヒンメル以外の人物。フリーレンの師匠である大魔法使いフランメでしょうか?
しかし、フランメが登場する扉絵も存在します。
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この扉絵にはフランメもゼーリエもいます。ということはこの二人の視点ではありません。
ただ、どの場面でも、フリーレンを見守っているような視点が多いように感じます。もしかしたら、時にはヒンメル、時にはフランメ、あるいはフリーレンの両親など、フリーレンの事を大切に想っているいろいろな人の視点なのかもしれませんね。
設定の余白
「葬送のフリーレン」は物語の構成が練り込まれており、伏線も多いです。さらに、細かく作り込まれた説得力のある設定である上に、様々な考察の余地がある設定の余白のバランスも絶妙です。扉絵ひとつ取ってみても想像が尽きません。
ゲームにおいても数多くの考察がされる作品は名作です。そういった魅力的な世界を私も作っていきたいと思います。