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年齢相応のボールを投げること(朗読その3)
1983年から2021年3月まで特別支援学校に務めていました。2021年3月に定年退職。運動やコミュニケーションに大きな制約があるお子さん(重度重複障害児という表記には違和感を感じるようになりました)からとても多くのことを学びました。そのことを書き綴っていきたいと思います。
物語の山場になると体を動かしたLさん
Lさんは運動や感覚、コミュニケーションの制約が大きい方でした。
ご家庭の了解を得て、Lさんには丁度流行っていた「ハリーポッター(第1 巻賢者の石)」の読み聞かせを始めました。ハリーポッターの物語は、各章にも小さな盛り上がりがいくつも埋め込まれています。Lさんは盛り上がるところに差しかかると体をよじるように力を入れているのが伝わってきました。
Lさんは気になること、伝えたいこと等があると、常時装着しているパルスオキシメーターの酸素飽和度を下げることによってアラームを鳴らして家族を呼んでいました。
ハリーポッターの読み聞かせを始めてしばらくした頃に、お母様が「テレビから「ハリーポッター」という声が聞こえてくるとアラームを鳴らす」というお話しをうかがいました。興味や期待感を深めてもらっていると推察していました。
途中からは、読み聞かせの時に、iPadを使って読んでいるところのページが見えるようにしました。Kindleで購入すると、本のページの背景の色や文字の大きさを調整できるようになっていたから活用してみました。
第1巻を読み終えると第2巻と、読み進めていきました。Lさんは好奇心が旺盛で、知りたいことのかたまりでした。それ以降のエピソードは後日書き留めたいと思います。
補記:機能的な(相手に伝わりやすい方法で伝えることができるような)コミュニケーション、特に発信が容易でないお子さんは大勢いらっしゃいます。その中で、常時装着しているパルスオキシメーターのアラームを使って注意喚起するお子さんがある程度いらっしゃると考えています。パルスオキシメーターには、酸素飽和度の値と心拍の値にアラームを設定することができます。容易に運動を起こすことができない状態で編み出した手立てであると思っています。