MVを考える(という名の吉本坂好きの話)
音楽がMVと分かちがたくなっている昨今。
MVの内容を考慮しないと音楽は評価できないのか?いやMVがないと評価できない曲って完成品と言えるのか?みたいな疑問は尽きない。
そんなことを考える一つの材料になる曲の話をしたい(おっ!こういうお題目をつければ好きな音楽の話をしてもいいと思ってるオタクだ!)
吉本坂46『不能ではいられない』(2019年)
いわゆる坂道グループだが、吉本興業所属であれば男性も既婚でも加入できる異色のグループだ。この曲はメンバーの中でも特にダンスが得意なメンバーなどで構成されたユニット「RED」の曲。
まずはMVを見てもらいたい。
メンバーとか知らん人が見たらまず思うことは「いろんな人がいる…」とかだと思う。いろんな人がいる。男女混合、最初から恋愛禁止なんかを謳わなければこんなアダルティーな表現ができるんだなぁと思う人もいるかもしれない。
そして、MVに大量に出てくるメンバー外の恋人たち。男女もいれば女女もいる。男男もいる。愛と性の賛歌というか、性別とか年齢とか知らんとにかく愛し合ってんだろ?じゃあ触れてみちゃえよ!みたいなムードだ。
それでは、次に歌詞だけを読んでみよう。
……。
ゴリッゴリに「男」の歌やんけ。
この歌詞を持つ曲があって、さぁMVだってなった時に「クライマックスは女性と女性がキスをします」ってなるのすごくない???
メンバーの衣装も、男性が女性ものっぽい服装をしていたり、女性が男性っぽい服装をしていたり、どっちでもなかったり、間違いなく意識的に「性別」を取り扱っているように見える。
この曲はフロントが4人という構成なのだけれど、池田直人さんはコントで女装をしているし、いわゆる美容男子だ。光永さんはショートカットでかなりボーイッシュ。榊原徹士さんは女性的な雰囲気もある美人。小寺さんはこのMVでほぼ唯一ぐらいに完全に”黒”で女性らしい衣装を着ているので、何らかの意味を読みとれるかもしれない。間奏の振り付けとか見ると。
これは個人的な感覚ではあるが、「男らしさ」、特にその上で「性」を匂わせてる曲って、イマドキ流行らなくない?という気はする。加えて言えば、吉本坂は男女混合。単純に考えて、女性ファンの比率が女性オンリーのグループに比べて上がることが予想できる。男性視点の歌詞の曲を聞くとき、抱く感想が男女で全く同じということはないだろう。
そこにこれだけゴリッゴリに「男」の曲を持ってきた秋元康の意図はわからないが、このMVがあるかないかで曲の印象は大きく変わるように思う。MV見ながら詞の「男の本能」とか「種の保存」とか聞き取ってはぁそういう内容ね!と感じる人はそう多くないんじゃなかろうか。広義の愛と性の歌だ。
個人的には、MVのような含みがあった方が好印象を持てるなぁとは思う。MVがあってよかった。こういうパターンもある。
吉本坂、単純にいろんな人がカッコよく踊るとカッコいいということが染みるので良い。いろんな人が並ぶと均質の人間が並ぶより「なんだかすごそう」なのだ。
これに近いものがある。
「吉本興業のみ」という排他性をもったことでむしろ芸人から振付師、新喜劇にアイドルまで性別も年齢も幅広くなっちゃったところが面白いところ。
あと芸人さんって表情のつくり方というか、引き込み方みたいなものが上手なんだろうなぁというのは印象的。
おすすめのMVも貼っておこう。
こっちはうって変わって、男女別の構成。
これは男女ペアのダンスっていいな~~~~という気持ちにさせてくれる。混成グループっていいよな~(最後はただのオタクのしみじみ)
今日はここまで。ありがとうございました。